日本地球化学会年会要旨集
2015年度日本地球化学会第62回年会講演要旨集
選択された号の論文の303件中51~100を表示しています
G14 初期地球と生命起源の地球化学
  • 原田 真理子, 古川 龍太郎, 横堀 伸一, 田近 英一, 山岸 明彦
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G14 初期地球と生命起源の地球化学
    セッションID: 1C13
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
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    地球大気中の酸素濃度は,原生代の初期(約21億年前)と末期(約6億年前)にそれぞれ急上昇したことが地質記録から示されている.本研究では,シアノハ?クテリアの酸素代謝に関わる酵素の発現量変化から、これらの酸素濃度上昇イベントに関する情報を得ることを試みた.酸素濃度に応じて発現量が変化すると予想されるRubisCO (ribulose 1,5-bisphosphate carboxylase/oxygenase)およびSOD (Superoxide dismutase)について,過去の遺伝子発現量を分子系統解析により推定したところ,両者は原生代の初期および末期の酸素濃度上昇イベントと同時期に分岐した系統群において,大量発現するようになったことがわかった.タンパク質の祖先型プロモーター配列は,過去の地球環境化学変動を読み解く良い指標となることが期待される.
G11 地球内部流体の化学
  • 吉田 健太, 平島 崇男, 大沢 信二, 小林 記之, 三島 壮智, 千眼 喜照
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G11 地球内部流体の化学
    セッションID: 1C14
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
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    高圧型変成岩と石英脈と流体包有物を用いて,沈み込み帯深部流体の化学組成を検討した.西南日本の三波川変成帯において採取した石英脈はその組織から,完晶質なP-type,変形の卓越するD-typeに分類することが出来た.変形組織などからP-typeの脈に捕獲されている包有物は変成ピーク時前後に捕獲されたものであると考えられる一方で,D-typeの石英脈に伴われる包有物は岩体上昇の後期に浅部流体の浸潤により捕獲されたものと考えられる.P-typeの脈はNa-Clを主成分とする比較的塩濃度の高い水溶液包有物(5-10 mass%)を伴う一方,D-typeの脈中の包有物は希薄な水溶液(<5mass%)でありHCO3が卓越する傾向がある.これらの流体包有物のB-Li-Cl組成に注目したところ,全ての試料に関して,海水と比較して(B+Li)/Clの比が高く「有馬型熱水」のものと似通っていることがわかった.
  • 中村 仁美, 千葉 紀奈, 常 青, 中井 俊一, 風早 康平, 岩森 光
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G11 地球内部流体の化学
    セッションID: 1C15
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
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    非火山地域である有馬温泉には,塩濃度及び酸素ー水素同位体比が高く,沈み込むスラブ起源と考えられる温泉と,それらの値が低く,より天水に近いと考えられるにも関わらず,炭酸を含むガス成分及び3He/4He同位体比が高い冷泉とが混在する(Kusuda et al., 2014; Nakamura et al., 2014).しかし,それらの起源と関係性については未解明な点が多い.
    本研究では,深部起源と考えられている有馬型塩水を含む8つの泉源(金泉・炭酸泉・銀泉・極楽・御所・稲荷金泉・天神・うわなり)における希土類元素(REEs),特にランタノイド系列の組成を決定し,それらの上昇過程と起源・関係性について制約することを試みた.その結果,約1キロ弱四方の狭い有馬温泉域に,4つの異なるREEパターンを見いだし,2つのREE起源物質と2つの帯水層の関与により説明できることが分かった(Nakamura et al., under review).
  • 臼井 寛裕
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: 基調講演
    セッションID: 1C16
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
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    揮発性元素は,惑星集積時およびその後の火成活動による脱ガスを通じて大気組成を変化させ,生命の存在条件と密接な関係を持つ表層環境に大きな影響を及ぼすことが知られている。本研究では,太陽系内および惑星表層圏で大きな同位体変動を持ち,水の起源や進化を調べる上で優れた化学的トレーサーである水素同位体に着目した。水素同位体システマティクスを,地球化学的特徴の異なる複数の火星隕石に適用することで,(1)火星の水の起源,(2)火星マントルの含水量,および(3)火星玄武岩マグマの地殻同化作用を明らかにした。
  • 清水 健二, 伊藤 元雄, 浜田 盛久, 高橋 栄一
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G11 地球内部流体の化学
    セッションID: 1C17
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
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    NanoSIMSによる火山ガラス中の揮発性物質量(水、二酸化炭素、フッ素、塩素、硫黄)とリン含有量の分析法確立のため、標準ガラス試料の作成、値付けを含めた開発と、適切な測定条件で分析した結果、二酸化炭素以外は原点付近を通る直線性のよい検量線が得られた。
G7  マントル物質の化学とダイナミクス
  • 石川 晃, 越田 渓子, 小宮 剛, 宇都宮 敦, Maria Luisa Tejada, 鈴木 勝彦, 佐野 貴司
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G7  マントル物質の化学とダイナミクス
    セッションID: 1D01
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
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    地球上最大規模の火成活動の産物であるオントンジャワ海台を構成する各種ソレアイト質玄武岩(Kroenkeタイプ、Kwaimbaitaタイプ、Singalloタイプ)のRe-Os同位体、強親鉄性元素濃度(Os, Ir, Ru, Pt, Pd, Re)データを「カリアスチューブ分解-同位体希釈法」により系統的に取得した。その結果、3つのタイプの玄武岩は、強親鉄性元素濃度とパターンにより、明瞭に区別されることが判明した。本発表では、観察された濃度変動に寄与したプロセスを他の元素との相関関係を基に考察し、LIPsにおける大量マグマ生成/進化/噴出に伴う強親鉄性元素移動メカニズムを一般化することを試みる。
  • 仙田 量子
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G7  マントル物質の化学とダイナミクス
    セッションID: 1D02
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
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    火山岩中の白金族元素の挙動を知ることは、その火山岩の起源マントルやあるいはマグマがどのように形成されたのかを知る手がかりになると考えられている。オフィオライトやアルプス型かんらん岩などの中では、白金族元素はクロムスピネルや硫化物に濃集しているが、火山岩中では同様の濃集鉱物自体、例えばクロムスピネルは苦鉄質-超苦鉄質のコマチアイトやボニナイトなどあるいはオリビンのインクルージョンとしてしか発見されないなど、その挙動も含めて未解明の部分が多い。そこで、火山岩中の白金族元素の挙動と島弧形成初期からのマグマソースの変遷を探るため、伊豆ボニンマリアナ弧に産出する島弧形成初期に噴出したボニナイトとそれに次いで噴出したソレイアイトおよびそれらに含有されているクロムスピネルの白金族元素濃度の分析を行った。
  • 越田 渓子, 石川 晃, 鈴木 勝彦, 小宮 剛
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G7  マントル物質の化学とダイナミクス
    セッションID: 1D03
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
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    アカスタ苦鉄質岩の形成年代および起源物質の化学的・同位体的特徴から冥王代マントル進化を推定することを目的に、最も二次的な元素移動の影響が少ないと考えられる試料に対し、全岩の強親鉄性族元素濃度とRe-Os同位体測定を行った。
  • KADHIM Imad, HADI Ayten, 淺原 良浩, 山本 鋼志
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G7  マントル物質の化学とダイナミクス
    セッションID: 1D04
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
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    Jurassic and Cretaceous granitoid bodies are widely distributed in the Sanandaj-Sirjan Zone (SaSZ) of the Zagros Orogen. The Shalair Valley granitoid plutons in NE Iraq are located within Iraqi Zagros Suture Zone which is considered as an integral part of SaSZ in Iran, and several types of granitoid are distributed there. In this study, we reported radiometric ages and chemical and Sr-Nd isotopic features of the Shalair Valley granitoids.
  • 遠山 知亜紀, 折橋 裕二, 新正 裕尚, 角野 浩史, 岩森 光, 村松 康行
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G7  マントル物質の化学とダイナミクス
    セッションID: 1D05
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
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    近年、ハロゲンは沈み込みプレートから放出される流体等による物質循環を探るトレーサーとして注目されている(e.g., Sumino et al., 2010)。しかし、その研究例はまだ少なく、特に大陸弧火成作用におけるハロゲンの挙動についてはほとんど明らかになっていない。

    Southern Volcanic Zone (SVZ) (南緯33°-46°)は南米大陸の南部アンデス弧・第四紀火山地域に位置し、南に行くほど沈み込むナスカプレートの年代が若くなっていることから、その最南端南緯46°のHudson火山からアンデス弧沿いの南緯34°までの火山フロント上の第四紀火山についてハロゲン分析を行うことで、年代の異なるプレートの沈み込みを反映したハロゲン組成の変化に関する新しい知見を得られる可能性がある。そこで、本研究はSVZの13の代表的な火山から採取された火山岩中のハロゲン濃度の分析を行った。本発表では、脱ガスの影響が最も少ないと考えられるFについて注目し考察する。
  • 町田 嗣樹, 平野 直人, 角野 浩史, 平田 岳史, 米田 成一, 加藤 泰浩
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G7  マントル物質の化学とダイナミクス
    セッションID: 1D06
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
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    北西太平洋のプチスポットについて、3カ所の火山フィールドにおいて採取された約170個の玄武岩試料の全岩化学組成(主要・微量元素,SrおよびNd同位体組成)と40Ar/39Ar年代値データセットを構築し、火山の地理的分布と合わせて包括的に解析した。

    その結果、プチスポットマグマはリソスフェア-アセノスフェア境界に存在する孤立したメルト池に由来し、メルト池はプレート運動によって引きずられて移動しており、移動するスピードはプレート運動のスピードよりわずかに遅いと考えると、整合的に火山活動およびマグマ組成の時空間変化を説明できることが判明した。
  • 久保 俊智, 鍵 裕之, 篠崎 彩子, 岡田 卓, 中野 智志, 中尾 愛子
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G7  マントル物質の化学とダイナミクス
    セッションID: 1D07
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
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    窒素は、地球深部での存在状態や存在量は未知の部分が多い。本研究では上部マントルの主要構成成分である橄欖石を窒素とともに高温高圧下におくことで、窒素と橄欖石の反応性について検証した。高圧発生にはダイヤモンドアンビルセル (DAC) を用い、レーザー加熱を行った。全ての実験において加熱中心部が黒色に変化し、急冷後に試料の蛍光強度が著しく上昇した。圧力指標としてルビーを加えた試料については窒化珪素の生成が示唆された。このことから Al の存在下では窒化物が生成される可能性が示された。
  • 下田 玄, 小木曽 哲
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G7  マントル物質の化学とダイナミクス
    セッションID: 1D08
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
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    マントル端成分であるHIMU, FOZO, PREMAの成因を海洋地殻のリサイクリングにもとづき議論した。海洋地殻の生成場である中央海嶺でのマグマの分化過程と海洋地殻の脱水の場で沈み込み帯での過程を考慮に入れた地球化学的モデルを構築した。
  • 岩森 光, 中村 仁美, 吉田 晶樹, 柳 竜之介
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G7  マントル物質の化学とダイナミクス
    セッションID: 1D09
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    若い玄武岩質溶岩組成の大規模データベースを構築し、多変量統計解析により独立な組成空間基底ベクトルの抽出と化学的解釈を行った。その結果、マントルは、「Dupal anomaly」のような南北分割ではなく、「日付変更線付近を境とする東西半球構造」を持つことが分かった。また、この構造は、2.5~9億年前の間、東半球に分布していた複数の超大陸に向かっての沈み込みと親水成分の集中に関連すること、およびマントル東西半球構造が内核の地震波速度構造と酷似し、マントルの長波長対流パターン・温度分布が、核にまで影響を及ぼしている可能性があることが分かった。大陸の離合集散を含むマントル対流モデルは、大陸集合時の「沈み込み帯のかき集め」が、超大陸下に効率的な親水成分集中と冷却をもたらすことを示している。東半球に濃集する親水成分は、地球ニュートリノの偏在をもたらす可能性があり、これは日本とイタリアの検出器を用いて検証可能である。
  • 兼岡 一郎
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G7  マントル物質の化学とダイナミクス
    セッションID: 1D10
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    地球の大気・海洋中などの揮発性成分は、従来地球形成時に取り込まれた成分が、地球史初期の地球内部からの脱ガスによって形成されたとして説明されてきた。しかし最近は、マントル中の白金族元素などの存在度パターンなどを説明するために提案されたlate veneerによって、水などの揮発性元素なども二次的に地球にもたらされたとのモデルが提案されてきている。地球の希ガス同位体比の変動などは、地球内部からの脱ガスを前提として説明されてきており、late veneerの影響は考慮されてきていない。本講演では、late veneerと希ガス同位体比の関連性について検討する。
G2  古気候・古環境解析の地球化学
  • 栗田 直幸, 中塚 武
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G2  古気候・古環境解析の地球化学
    セッションID: 1D11
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    長野県南部で採取された木曽ヒノキの酸素同位体データを数値モデルを使って再現し、その変動因子の解明を行った。1961年から1979年までの観測された酸素同位体比の年々変化は、数値モデルをつかって合理的に再現することができR=0.68)、この結果を使った解析から、この変動は樹木が根から給水した水(起源水)の同位体比の年々変動を反映していることを明らかにした。さらに、この起源水の同位体比が北太平洋10年規模振動に応答して変化していることを発見した。これらの研究成果は、樹木年輪セルロースの酸素同位体比が気候変動の指標であることを裏付ける直接的な証拠である。
  • 長島 佳菜, 鈴木 克明, 入野 智久, 原 由香里, 多田 隆治, 中川 毅
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G2  古気候・古環境解析の地球化学
    セッションID: 1D12
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    アジアダスト輸送の長期変動とその変動要因を解明するため、福井県・水月湖で採取された年縞を持つ堆積物を用いて、過去100年あまりのダスト沈積フラックスの復元を行った。水月湖の堆積物中には、ダスト以外にローカルな砕屑物の寄与が予測されるため、本研究では砕屑物の粒度分析およびXRDを用いた長石のタイプの測定を行い、砕屑物に占めるダストの割合の計算を行った。ダストの割合と砕屑物フラックスから求められたダスト沈積フラックスは、1926-1951, 1975-2004年に増加し、数十年スケール変動が卓越することが分かった。ダスト沈積フラックスが多い年と少ない年の違いについて、500hPaの気圧や水平風のコンポジット解析を行った結果、フラックスの増加年には、アリューシャン低気圧が強化する傾向と、偏西風が低緯度側で強化する傾向が見られ、数十年スケールで変動するアリューシャン低気圧に伴う偏西風の変動がアジアダストの輸送経路を変化させている可能性が示された。
  • 入野 智久, 吉川 久幸, 根本 和宏, Luo Chao, He Mengying, Zheng Hongbo, 齋藤 京太, 鈴木 克明 ...
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G2  古気候・古環境解析の地球化学
    セッションID: 1D13
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    古海洋環境変動解析において,化石生物起源炭酸塩から(温度効果を補正した)酸素同位体比を復元することで,過去の塩分のプロクシとすることが広く行われる.特に東シナ海においては,揚子江河川水の影響による塩分低下の程度をモニタすることで,東アジア夏季モンスーン変動を復元できると期待されるため,同海域における海洋表層水酸素同位体比変動の要因を正しく理解することが必要である.本報告では,揚子江流域淡水および東シナ海黒潮流軸域海水の安定水素・酸素同位体比および塩分の季節変動を調べることで,海水酸素同位体比に現れる淡水の影響を評価し,東シナ海における同位体比の塩分プロクシとしての意味を再考する.
  • 淺原 良浩, 竹内 晟也, 安田 友紀, 原田 尚美, 小野寺 丈尚太郎, 長島 佳菜, 申 基澈
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G2  古気候・古環境解析の地球化学
    セッションID: 1D14
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    海洋の鉄の供給源や循環過程の解明は、生物生産を議論する上で重要である。海水中の鉄は植物プランクトンの成長に不可欠な元素であるが、溶存態鉄だけでなく粒子態の鉄も一次生物生産に寄与していることが指摘されている。海洋の沈降粒子は、円石藻、珪藻、鉄マンガン酸化物などから構成されており、これらの物質は海水から様々な形態の鉄を取り込んでいる。本研究では、沈降粒子中の炭酸塩、鉄マンガン酸化物、生物源オパール、有機物の各成分に含まれる鉄に注目し、これらの鉄安定同位体比を明らかにした。さらに、各成分の鉄同位体比をネオジム同位体比、ストロンチウム同位体比、微量元素組成と対比することにより、海洋における鉄の化学・生物過程を推定した。
  • 赤木 右
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G2  古気候・古環境解析の地球化学
    セッションID: 1D15
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    マンガンクラスト中に記録されている過去5000万年以上にわたる海洋のネオジム同位体比を最近発見された珪藻海風化作用と従来の陸で行われる陸風化作用を用いて新たに解釈した。二つの風化作用はそれぞれ海洋ケイ酸濃度と大気二酸化炭素濃度の関数で表されると仮定した。これらの変数は多くの時間で強くカップリングしていたが、そのカップリングは過去300万年前に崩れている。これが意味することを氷期の到来の観点から議論する。
  • 横山 祐典
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G2  古気候・古環境解析の地球化学
    セッションID: 1D16
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    観測されている現在進行中の全球的な海水準上昇が、氷期終焉後に130mほど上昇した海水準上昇の延長線上に位置づけられるのか,人為起源の温室効果ガスが大気中に放出された後の特異的なイベントであるのかを明らかにするために,温暖期の海水準変動の理解を行うことは,今後の氷床安定性を議論する上でも重要な科学的な課題である.本発表では, まず特に南極氷床の融解史について注目し,日本の沿岸域で得られたデータを基に, 氷床融解終焉のタイミングの決定について紹介する. さらに気候外力としての氷床融解と完新世の古気候情報との関係性について, 近年得られたモンスーン変動の復元記録や琉球列島のサンゴ礁記録とエルニーニョとの関係などを紹介しながら検討する.
  • 青柳 治叡, 沢田 健, 風呂田 郷史, 入野 智久, 五十嵐 八枝子
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G2  古気候・古環境解析の地球化学
    セッションID: 1D17
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    古植生復元のために花粉・胞子、小型~大型植物体の化石が使われるが、近年、植物バイオマーカーによる方法が提案・検討されている。本研究では、海洋堆積物から古植生復元を試みた。試料として、2013年の IODP Exp.346航海でU1423 siteから採取された深海掘削堆積物コアを用い、鮮新世~現在 (~約 4.5Ma) の期間に着目して研究を行った。n-アルカンの平均鎖長を示す指標である ACL は全体的に 29 に近づくように変化し、これは木本性植生の増加を示唆する。裸子植物由来のジテルペノイドと被子植物由来のトリテルペノイドの相対比から得られる裸子/被子植物比も変動する。ジテルペノイド全体の持つ芳香環の平均を示した平均芳香環数は 北半球の氷床形成が始まったとされるNHG 期間と同調して増加する傾向を示した。これは北半球の寒冷化に伴い、北東アジア域の冬季モンスーンが強化され、ジテルペノイドの続成生成物の供給が増したためと推論している。
G5  海洋における微量元素・同位体
  • 村田 レナ, 高野 祥太朗, 宗林 由樹, 平田 岳史
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G5  海洋における微量元素・同位体
    セッションID: 1E01
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
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    タングステン(W)は、現在の海洋において表層から底層までほぼ一様の鉛直濃度分布をとるが、海底熱水系周辺などでは挙動が異なる。Wは複数の安定同位体をもつので、同位体比を分析することで、海洋と大陸および堆積物の間のフラックスをより精密に評価できると考えられる。しかし、海水中のW濃度は約50 pMにすぎず、その同位体比を測定できる方法は存在しない。そのため、マルチコレクター型ICP質量分析装置(MC-ICP-MS)を用いる正確で簡易な海水中W安定同位体比分析法の開発を目的とした。MC-ICP-MSによる測定のためには、Wを海水5 Lから5000倍濃縮しなければならない。本研究では、キレート吸着剤 NOBIAS CHELATE-PA1(日立ハイテクノロジーズ)によるWの濃縮分離、および陰イオン交換樹脂 AG1-X8による精製を検討した。また、実際の海水を試料としたときの結果についても発表する。
  • 高野 祥太朗, 宗林 由樹, 上原 渉, 申 基澈, 谷水 雅治, 平田 岳史
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G5  海洋における微量元素・同位体
    セッションID: 1E02
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    海洋において、Ni、Cu、Znは、微量栄養素として、または様々な地球化学的な過程のトレーサーとして重要な役割を担う。Ni、Cu、Zn同位体比は、供給源によって異なる。 また海洋における物理的、化学的および生物学的過程において同位体比が変化する。そのため、濃度に加えて安定同位体比を分析することで、微量金属の生物地球化学循環をより詳細に知ることができる。海水中Ni、Cu、Znは微量であり、高濃度の塩が同位体比測定を妨害するため、同位体比測定に先立って分離濃縮が必要である。本研究では、エチレンジアミン三酢酸基を配位子に持つNOBIAS Chelate PA-1キレート樹脂(Hitachi High-Technologies)とAG MP-1M陰イオン交換樹脂(Bio Rad)を用いて迅速かつ精密な海水中Ni、Cu、Zn同位体比分析法の開発を行った。
  • 天川 裕史, 余 采倫, 沈 川洲
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G5  海洋における微量元素・同位体
    セッションID: 1E03
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
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    南インド洋2測点(ER-11およびER-12)と南大洋1測点(ER-14)におけるNd同位体比の深度プロファイルを明らかにした。

     測点ER-11は表層の200 mまでのイプシロン値は-13から-11.5であり、水深1000 mまで徐々に値は上昇する。水深1000 m前後の値は-8であり、これは南極中層水の値を反映しているものと考えられる。1000 m以深大きな同位体比の変化は認められない。一方、測点ER-12は、表層はER-11より低く深層にかけて徐々に値が減少する。水深1000 mから3000 mの間では、同一の水深ではER-12はER-11に比べ低い値を示す。これは、ER-11に比べER-12は南大洋起源の低い同位体比を示す水塊の影響をより強く受けているためと考えられる。測点ER-14については、これまでの南大洋の報告例同様イプシロン値は-9から-8の極めて均一な値を示した。
  • 鈴木 勝彦, Adam D. Sproson, David Selby, Kevin Burton
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G5  海洋における微量元素・同位体
    セッションID: 1E04
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
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    海藻,特に褐藻は,海水中のOsを比較的吸着している。海水のOsは濃度が低く,分析が困難である。そこで,海藻のOs同位体比から海水のOs同位体比を決める。現在の海水のOs同位体比は1.0で高いが,精錬所,廃棄物処分場,触媒を使用する化学工場から排出される物質中のOs同位体比は低いために,これらの起源からのインパクトは容易に検出できる。実際,東京湾で採取された海藻はOs同位体比が低く,人為起源物質の影響を受けている。
  • 武内 章記
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: 基調講演
    セッションID: 1E05
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    近年、水銀汚染は地球規模の環境問題として対策および研究が進められている。特に魚介類に含まれるメチル水銀は、水俣病の原因となった有害物質であり、その強い毒性が知られている。自然界には、火山や熱水活動から放出される自然由来の水銀と、火力発電所等の産業活動に伴って人為的に排出される水銀が存在する。こうした水銀は主に無機形態の水銀であるが、水銀循環の過程で、嫌気性細菌による有機化が知られており、人間活動による水銀汚染の進行が懸念されている。本講演では、こうした水銀の海洋環境における形態変化と生物移行について紹介する。
  • 三輪 一爾, 小畑 元, 鈴木 崇史, 乙坂 重嘉
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G5  海洋における微量元素・同位体
    セッションID: 1E06
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    ヨウ素の放射性同位体I-129の海洋への主な放出源はSellafield(英)とLa Hague(仏)にある核燃料再処理施設であり、放出されたI-129の多くは北海を経て北極海に流入している。その後I-129の一部は北極海北西部に位置するチャクチ海に流入すると推測されているがその実態はわかっていない。そこで同海域におけるI-129の鉛直分布と水塊構造からI-129流入の可能性を評価した。チャクチ海におけるI-129濃度と水温塩分の分析の結果、チャクチ海内の水塊によるI-129濃度に有意な差はなく、北極海からチャクチ海へI-129を高濃度に含む海水が流入している可能性は低いことが示唆された。
  • 金 泰辰, 武田 重信, 蒲生 俊敬, 小畑 元
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G5  海洋における微量元素・同位体
    セッションID: 1E07
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    亜鉛は生体内では鉄についで存在量の多い重金属元素と言われている。海洋植物プランクトン中においても、亜鉛は炭酸脱水酵素の一部であるとともにアルカリホスフォターゼに含まれ、リン酸エステルの分解にも関わっている。海水中の亜鉛は外洋域においては栄養塩型の鉛直分布を示し、濃度レベルは10-10 -10-9M程度となっている(Bruland et al., 1994)。また、海水中ではその98%以上が有機錯体を形成しているという報告(例えば、Bruland 1989; Ellwood and van den Berg 2000)もあるが、その詳しい挙動は十分に解明されていない。本研究では沿岸熱水活動が報告されている長崎県橘湾において海水を採取し、海水中の亜鉛の存在状態を調べた。
  • 中山 典子, 時枝 隆之, 加西 眞由子, 鈴木 麻彩実, 金 泰辰, 蒲生 俊敬, 小畑 元
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G5  海洋における微量元素・同位体
    セッションID: 1E08
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    酸化的雰囲気の湖沼におけるナノサイズ分画および未濾過のサイズ分画毎の酸揮発性硫化物(AVS)濃度をPurge and Trap-GC-FPD法ではじめて明らかにした。千葉県手賀沼の4地点で水試料を採取し、採水後その場で直ちにフィルターろ過を行い、<30 nm、<200 nmおよび未濾過の3つのサイズ区分に分画した。未濾過試料中の全AVS濃度は0.6-1.4 nmol/kgで、高濃度メタンが通年観測されているハス群集地点で最も高い値が観測されたものの、測点による大きな違いは見られなかった。サイズ分画ごとのAVS濃度は、ハス群集地点を除いてほぼ同じ濃度比であり、全AVSの80%以上が<30nmのサイズ分画に存在し、30-200 nm、>200 nmのサイズ区画には、共に全AVS濃度の約10%しか存在していなかった。一方、ハス群集測点では、AVS濃度のサイズ別存在比が他の3測点と大きく異なり、30-200 nmサイズ区画に占める割合が全AVS濃度の80%以上であった。
  • 鈴木 麻彩実, 小畑 元, 蒲生 俊敬
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G5  海洋における微量元素・同位体
    セッションID: 1E09
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    東京近郊および人為的汚染が比較的少ないと考えられる岩手県大槌湾において水試料を採取して白金を測定し、その挙動を比較することにより、白金の循環過程を解明する。採取した水試料は、ろ過を行った後、陰イオン交換樹脂カラムを用いた濃縮分離法を使用して白金を濃縮し、四重極型ICP質量分析計 (ICP-MS) で測定した。東京の多摩川では、上流では濃度が低く、下流では急激に濃度が上昇し、人為的影響が示唆された。大槌湾の河口域では湾内で塩分の上昇に伴って一時的に濃度が上昇する傾向が見られた。観測の結果から、河川水中で粒子態のPt(OH)2として存在する白金が溶存態のPtCl5(OH)2-へ変化する反応速度は遅いと考えられた。
  • 小平 智弘, 堀川 恵司, 脇坂 恵都子, 張 勁, 村山 雅史
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G5  海洋における微量元素・同位体
    セッションID: 1E10
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    近年浮遊性有孔虫のBa/Ca比が海洋古塩分のプロキシとして注目されている。浮遊性有孔虫殻のBa/Ca比は,海水のBa/Ca比を直接記録し,独立した古塩分のプロキシとなる。本研究では,まず東シナ海における海水のBa/Ca比と塩分の関係を調査した。2013年夏季では,黄海と東シナ海ではBa/Ca比と塩分の関係に違いが見られ,黄海表層は東シナ海に比べ高いバリウム濃度を示した。本研究ではBa/Ca比と塩分の間に特に高い相関が見られた東シナ海東部の表層においてBa/Ca‐塩分関係式を構築した。
  • 大澤 里美, 黒柳 あずみ, 鈴木 淳, 川幡 穂高
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G5  海洋における微量元素・同位体
    セッションID: 1E11
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    今日、浮遊性有孔虫の殻中のδ18Oを用いた海水温の復元は、広く用いられているにもかかわらず、δ18Oから海水温を復元する方法の評価は不十分である。例えば、有孔虫の生息域の季節性や、個々の有孔虫の大きさ(size effect)、炭酸塩形成時に有孔虫の生体内で起きうる同位体分別(vital effect)が殻のδ18Oに与える影響については十分に考察されていない。本研究では北海道沿岸の太平洋域におけるセジメントトラップから得られた各種有孔虫(Neogloboquadrina pachydermaおよびGlobigerina bulloides)の殻中のδ18Oを季節・大きさごとに分析した。またそこから推定される海水温と、実測値の海水温を比較することで、海水温推定への影響を評価した。
  • 南 秀樹, 高松 将輝, 鈴木 麻彩実, 小畑 元, 中口 譲
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G5  海洋における微量元素・同位体
    セッションID: 1E12
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    北部北太平洋の深海底において、生物活性微量金属元素(Fe、Mn、Cu、Zn、Baなど)の堆積物中での現在の挙動を明らかにし,生物生産のプロキシである有機態炭素(TOC),炭酸カルシウム(CaCO3),オパール(Opal:Biogenic-Si)などのデータと共に解析することにより,海底環境や微量金属元素を用いた古環境復元についての情報を得る。
  • 鈴木 博貴
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G5  海洋における微量元素・同位体
    セッションID: 1E13
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    海水は地球上のすべての元素を含んでおり、主要元素が海洋に均一に分布するのに対し、微量元素の濃度と分布は海洋と地殻および大気との境界での物質収支(河川、大気塵、熱水活動など)や海水の循環、化学反応、生物活動などの影響を受け様々に変化している。微量元素の中で生物にとって必須性又は毒性の高い元素を生物活性微量金属(bioactive trace metals)と呼んでいる。生物活性微量金属は様々な形態で海水中に存在し、それによって化学反応性や生物に対する効果が異なる。そのため海洋学における海水・物質循環のトレーサー、生物地球化学における海洋生物の微量栄養塩および古海洋のプロクシとして重要である。特にAl, Mn, Fe, Cu, Zn, Cd, Pbなどの微量元素は国際共同観測計画GEOTRACESにおいてキーパラメータに選ばれている。そこで本研究では日本海での生物活性微量金属の存在状態について調べ、その分布と挙動について検討する。
G15 海洋化学・大気化学(全般)
  • 澁江 靖弘
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G15 海洋化学・大気化学(全般)
    セッションID: 1E14
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    Lewis達は電解質水溶液の凝固点降下度を0℃における水溶液の浸透係数や水の部分モル相対エンタルピーとその温度に関する微分係数,純水中での氷の融解熱と相変化に伴う定圧熱容量の変化量などを用いて,凝固点降下度を質量モル濃度から計算する式を与えた。その後,Lewis達の計算式を電解質水溶液に適用した報告がいくつか行われている。Lewis達の式は0℃における水溶液の性質を低温側に外挿して凝固点降下度を計算するものであり,あくまでも外挿式にすぎない。さらに,0℃における水溶液の熱的性質に関する測定報告が少ない。このため,0℃における値を25℃など高温領域での測定値から求めることが行われている。本講演でも同様に行う。そして,NaCl(aq)とKCl(aq)にLewis達の計算式を適用して求めた計算値と測定値とを比較した結果を示す。
  • 岸部 克也, 寺門 靖高
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G15 海洋化学・大気化学(全般)
    セッションID: 1E15
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    過去の海水中の希土類元素濃度を推定する際に必要となる海水と炭酸カルシウムの間の分配係数は、希土類炭酸塩の溶解度積と関係すると考えられ、この関係性は炭酸カルシウム中への希土類元素取り込みの機構やそれを支配する要因を解明する手がかりになる可能性がある。しかし、希土類炭酸塩の溶解度積を報告している論文は少なく、文献間でも大きな差が見られるため、本研究において希土類炭酸塩の飽和溶液と固相の分析から希土類炭酸塩の溶解度積を測定した。溶解度積は軽希土から重希土にかけて滑らかに上昇する傾向が見出されたが、炭酸塩の化学組成や形状は様々であった。溶解度積は溶液と平衡になった後の結晶の形状に影響する可能性が考えられる。
  • 西野 博隆, 赤木 右
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G15 海洋化学・大気化学(全般)
    セッションID: 1E16
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    ケイ酸の鉛直分布は単調に増加せず、濃度極大を持つ傾向があるが、それをもたらす要因について定量的な説明は与えられていない。近年報告された珪藻凝集体の溶解速度論に基づいた凝集体沈降溶解モデルと海洋鉛直方向の拡散を模した一次元拡散モデルを用い、海水中のケイ酸濃度の極大値とその濃度との関係を調査した。珪藻凝集体の溶解速度定数と海水柱のケイ酸総量を変化させて計算した結果、溶解速度定数を大きくするとより浅いところに濃度極大が現れ、海水柱のケイ酸総量を大きくすると濃度極大が現れる深度が大きくなった。ケイ酸の総量と濃度極大の深度の関係は観測された関係をよく再現した。
  • 清水 悠作, 大木 淳之, 久万 健志, 大西 広二, 亀井 佳彦, 小林 直人
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G15 海洋化学・大気化学(全般)
    セッションID: 1E17
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    CH2I2、C2H5Iなど揮発性有機ヨウ素化合物(volatile organoiodine compound:VOI)は、海から大気へヨウ素を供給するキャリアーとして機能する。本研究では、VOIと生物生産性や有機物分解との関係を調べるために、北海道噴火湾で2012年3月から2014年12月の隔月に海水を採取し、海水中VOI濃度をパージ&トラップ-ガスクロマトグラフ-質量分析法で測定した。
    春季植物プランクトンブルーム終了後の5月以降にVOI濃度は急激に増加し始め、6月から7月に年間ピークに達した。ピーク深度はVOI成分により異なった。このようなピーク深度の違いは、生成メカニズムの違いを示しており、こうした海水中VOIの生成メカニズムの違いは、大気への放出特性にも反映されると考えられる。
  • 吉川 知里, 笹井 義一, 本多 牧生, 眞壁 明子, 豊田 栄, 吉田 尚弘, 小川 奈々子, 大河内 直彦
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G15 海洋化学・大気化学(全般)
    セッションID: 1E18
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
     本発表では、好気的外洋域である西部北太平洋の亜寒帯と亜熱帯の定点(K2: 47N,160E・S1: 30N, 145E)へ海洋生態系-同位体分子種モデルを適用した結果を報告する。モデルは濃度・同位体比・同位体分子種比ともに観測値を概ね再現でき、同モデルによる年平均N2O放出量は、K2で32 mgN/m2/yr、S1で3 mgN/m2/yrと見積もられた。また、モデルと各種同位体比分析の結果との比較から、K2では主に硝化によって、S1では硝化と硝化菌脱窒によってN2Oが生成されていることが示唆された。
  • 山本 彬友, 阿部 彩子, 重光 雅仁, 岡 顕, 高橋 邦生, 大垣内 るみ, 山中 康裕
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G15 海洋化学・大気化学(全般)
    セッションID: 1E19
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    地球温暖化は海洋中の溶存酸素を全球的に減少させると考えられており,海洋生態系や物質循環への影響が懸念されている.簡略化モデルを用いた先行研究では,酸素濃度は1000年以上減少し続け,全球平均濃度は30%程度減少すると予想されている.しかし簡略化モデルを用いているため不確実性が大きいと考えられる.

    本研究では,より現実的な海洋循環を表現するGCM(MIROC3.2)とoffline海洋物質循環モデルを用いて温暖化実験(2, 4倍CO2実験)を2000年積分し, 酸素濃度の変化を計算した.

    最初の500年では,先行研究と同様に海水温上昇と成層化により溶存酸素は全球的に減少した.しかしその後,表層の酸素減少とAMOCの減少は続いているにも関わらず,中深層の酸素濃度は全球的に回復し,最終的に全球平均の酸素濃度は産業革命前の濃度よりも高くなった.この酸素回復はウェッデル海における深層対流が一時的に停止した後に回復することで,深層に酸素が送り込まれた為に引き起こされることが分かった.
  • 中村 俊夫, 太田 友子
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G15 海洋化学・大気化学(全般)
    セッションID: 1E20
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    名古屋大学では1983年から,大学周辺大気の自動車排気ガス等による汚染の程度や状況を調査する目的として,名古屋大学東山キャンパス内の松葉を採集しその14C濃度経年変動を調査してきた.松の木などの常緑樹木は,4月になって一斉に芽吹き新葉片を形成して光合成を行いながら生長する。従って,新芽の松葉を避けて,その前の1年間に生育した松葉が明確に選別できる。これらの松葉は,前年の4月頃から,秋頃に生長が終わるまでの間に大気中のCO2を光合成で固定したもので,葉片の生長期間内の平均的な大気14CO2濃度を示していると考えられる。本研究では,1983年以降に形成された松葉の14C濃度を比較して,経年変化や松の生育場所による14C濃度の違いなどを検討する.
  • 下島 公紀
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G15 海洋化学・大気化学(全般)
    セッションID: 1E21
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    大気中に増加し続けるCO2の放出量削減の有効な手段として、海底下地層への回収CO2の貯留(海底下CCS)が注目されている。海底下CCSに伴う貯留CO2の漏洩に対し、その漏洩検知・モニタリング手法について、英国で実施されたCO2漏出実験での成果を踏まえ、今後に実施される海底下CCSにおけるCO2の漏洩検知およびモニタリングの手法について紹介する。
ポスター発表(第一日目)
S1  鉱物資源の地球化学~陸上鉱床から海底鉱物資源まで~
  • 戸塚 修平, 堤 彩紀, 石橋 純一郎, 島田 和彦, 野崎 達生, 高谷 雄太郎, 山崎 徹, 高井 研, 熊谷 英憲, 川口 慎介, 宮 ...
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: S1  鉱物資源の地球化学~陸上鉱床から海底鉱物資源まで~
    セッションID: 1P01
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
     2014年7月9~26日の18日間、戦略的イノベーション創造プログラム「次世代海洋資源調査技術」における「海洋資源の成因に関する科学的研究」の一環として、沖縄トラフ伊平屋北海丘における科学掘削調査 (CK14-04航海) が実施された。同海域のC9015B、C9015C及びC9016Bの各サイトにおいて採取されたコア試料から反射顕微鏡での観察とEPMAを用いて分析を行った。
     コア試料から硫化鉱物として、閃亜鉛鉱、黄鉄鉱、黄銅鉱、方鉛鉱が確認された。10 mbsf附近では粘土鉱物の同定結果から酸性変質粘土が見られることがわかっている。硫化鉱物(特に黄鉄鉱)はこの変質帯の12 mbsf附近で非常によく見られるため、酸性変質粘土帯に近接している硫化鉱物は酸性変質とかかわりがあることが示唆された。また40 mbsf付近で珪化が見られるとともに、それより下部で閃亜鉛鉱、黄銅鉱などの硫化鉱物の量が増えているため、珪化が硫化鉱物の生成にかかわっていると考えられる。
  • 藤原 泰誠, 豊田 新, 内田 乃, 石橋 純一郎
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: S1  鉱物資源の地球化学~陸上鉱床から海底鉱物資源まで~
    セッションID: 1P02
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    熱水起源の鉱石の年代測定について,硫化鉱物や重晶石を用いた年代測定が試みられてきたが,同様に熱水活動域に産する硬石膏を用いた年代測定はこれまで試みられたことはない.硬石膏の年代測定が可能になれば,熱水活動の変遷史をより詳細に議論できる可能性がある.

    本研究では硬石膏のESR及び放射非平衡による年代測定を試みた.放射性核種の定量から228Ra/228Th年代として,2.3年と2.0年が得られた.また,ESR測定においてSO3-ラジカルと考えられる信号が観測された.γ線の吸収線量に伴い信号強度が増大したため,硬石膏を用いたESR年代測定が可能であると考えられるが,得られた年代はほぼ0年であった.これは,228Ra/228Th年代と同様の若い年代を示すという意味では調和的であるが,ESR法の下限についての詳細な議論が必要である.
  • 山岡 香子, Lin Ma, 臼井 朗
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: S1  鉱物資源の地球化学~陸上鉱床から海底鉱物資源まで~
    セッションID: 1P03
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    海底熱水噴出域の周辺には、熱水性のマンガン酸化物が分布することが知られている。これらのマンガン酸化物は、低温の熱水活動に伴って海底面付近に沈殿したと考えられており、海水起源のマンガン酸化物とは鉱物組成や化学組成が明らかに異なる。また、産状観察や構造解析にもとづき、海底面から下向きに極めて速い速度で成長するモデルが提唱されている。しかし、直接的に熱水性マンガン酸化物の年代分析を行った例は、1980年代に行われたU-Th年代の1例しか報告されていない。本研究では、伊豆小笠原海域で採取された熱水性マンガン酸化物についてU-Th年代測定を行い、成長速度を見積もることを試みた。さらに、すでに終息した熱水活動に伴って生成した「化石の」熱水性マンガン酸化物について、U-Pb年代測定を行った。
  • 町田 嗣樹, 藤永 公一郎, 石井 輝秋, 中村 謙太郎, 平野 直人, 加藤 泰浩
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: S1  鉱物資源の地球化学~陸上鉱床から海底鉱物資源まで~
    セッションID: 1P04
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    南鳥島の東約300 kmの排他的経済水域内に位置する小海山(比高約400 m、直径約5000 m)において、広大なマンガンノジュール密集域が発見された。マンガンノジュールの化学組成、および内部の層構造の特徴は、いずれも周辺海域および西太平洋に分布するマンガンクラストのそれらの特徴に類似する。つまり、南鳥島沖のノジュールは成長過程を通じて海水由来の鉄-マンガン酸化(水酸化)物の沈着によって形成されたものと考えられ、Co, Ni, Mo, and Wなどの有用金属元素のソースとして高いポテンシャルがあることが判明した。
  • Wang Quan, 眞中 卓也, 川幡 穂高, 山岡 香子, 鈴木 淳
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: S1  鉱物資源の地球化学~陸上鉱床から海底鉱物資源まで~
    セッションID: 1P05
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    海洋酸性化が海洋の石灰化生物や海水の化学組成に与える影響についてはこれまで多くの議論が交わされている。一方、マンガン団塊といった深海の堆積物に酸性化がどのような影響を与えるかについては、ほとんど分かっていない。本研究では海洋酸性化で起こる海水のpHの低下に着目し、マンガン団塊や遠洋性粘土などの深海堆積物サンプルから、pHに応答してどの元素がどの程度溶出するのかについて、溶出実験を通して考察した。Fe・Mn・Co・Ni・Li・Be・Sc・Y・Ba・Tl・U・Mg・Sr・Siといった元素はpHの低下に伴い溶出量が増加した。一方MoやV、そして毒性を持つCu・Zn・Cd・Pbなどの元素はアルカリ性の条件下で大きな溶出量が観測された。この溶出量の違いは各元素の吸脱着反応に起因していると考えられる。しかしこれらの元素の溶出量は非常に低く、酸性化が周囲の生態系に与える影響は限定的だと考えられる。
G1  大気微量成分の地球化学
  • 伊藤 彰記, 時 宗波
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: G1  大気微量成分の地球化学
    セッションID: 1P06
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    本研究の全球エアロゾル化学輸送モデルでは、鉱物起源および燃焼起源エアロゾル中の比較的不溶な鉄が無機および有機の酸性物質と化学反応し、溶出する過程を動的に表現している。数値予測実験結果から、1850年と2000年の間に経験した大気汚染によって海洋へと供給される水溶性鉄の供給量が2倍近く増加したことが示された。
  • 齋藤 あゆみ, 佐名川 洋右, 山本 祐平, 今井 昭二
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: G1  大気微量成分の地球化学
    セッションID: 1P07
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/09/03
    会議録・要旨集 フリー
    大気エアロゾルの除去過程として湿性沈着及び乾性沈着はどちらも重要である。

    主要成分におけるこれらを同時に採取した研究は多く報告されているが、微量重金属元素に関する報告は見られない。本研究では降雨時に大気エアロゾル中の微量重金属元素が湿性沈着と乾性沈着にどのように分配されているのかを明らかにすることを目的とし、湿性沈着と乾性沈着を同時に採取した。大気エアロゾル試料は全分解の処理を行いICP-MSを用いて重金属元素24種の濃度を測定した。発表では降雨イベント時前後における大気エアロゾル中重金属元素濃度の変動や土壌起の寄与に着目して考察を行い、重金属元素の湿性沈着と乾性沈着間の分配を定量的に報告する予定である。
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