岩手医学雑誌
Online ISSN : 2434-0855
Print ISSN : 0021-3284
76 巻, 5 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
Original
  • 阿部 崇臣, 福本 健太郎, 三條 克巳, 三田 俊成, 大塚 耕太郎
    2024 年76 巻5 号 p. 161-171
    発行日: 2024/12/01
    公開日: 2025/01/10
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究における目的は, 統合失調症圏患者における重篤な自殺企図発生の関連因子を明らかにすることである.2003 年1 月1 日から2021 年12 月31 日に, 自傷行為または自殺企図を主訴に精神科救急を受診した統合失調症圏患者546 名を対象とした.飛鳥井の分類に従い,患者を自殺の絶対危険群(n = 265)と相対危険群(n = 281)に分類し比較した結果,重篤な自殺企図である絶対危険群と,35 歳未満(OR = 2.05),精神科病棟入院(OR = 5.13)または救急センター病棟入院(OR = 5.41)は正の関連性があり,企図手段としての薬物(OR = 0.244),刃物・鋭利な道具による自傷(OR = 0.390)は負の関連性を認めた.自殺未遂を起こした患者は, その後の自殺のリスクが高い. 統合失調症圏患者の重篤な自殺企図に関与する因子を明らかにした本研究の結果は今後の自殺予防の推進に役立つであろう.
Case repoert
  • 三橋 伸行, 本多 孝之, 櫻庭 実
    2024 年76 巻5 号 p. 173-178
    発行日: 2024/12/01
    公開日: 2025/01/10
    ジャーナル オープンアクセス
    当院形成外科で行った5 年間における完全切断指再接着症例について報告する.2017 年1 月から2021 年12 月までの間に,当院形成外科で再接着を施行した完全指切断26 例33 指を対象とした.手術成績について診療録を後ろ向きに調査した.受傷機転は鋭的切断が18 指,鈍的切断が15 指であった.受傷から手術までの時間は中央値4 時間00 分であった.19 指に対し術後瀉血処置(平均6 病日)を施行した.術後結果は完全生着が17 指,全壊死9 指,部分壊死7 指であった.瀉血施行例の結果は,完全生着6 指,全壊死8 指,部分壊死5 指であった.平均年齢,手術までの時間,喫煙歴,静脈移植施行率については生着率に有意差を認めなかった.瀉血施行率と受傷機転で生着率に有意差を認めた.瀉血は静脈還流障害に対する救済手段の一つとしては有効だが受傷機転によっては効果が限定的となる可能性がある.
  • 村上 洋一, 石川 健
    2024 年76 巻5 号 p. 179-185
    発行日: 2024/12/01
    公開日: 2025/01/10
    ジャーナル オープンアクセス
    先天性回腸閉鎖(回腸閉鎖)の診断は腹部X 線検査と注腸造影検査によるが,超音波検査が診断に有用であった新生児例を報告する. 症例は正期産児で,胆汁性嘔吐で生後1日に当院に転院となった.腹部X 線検査で多発性の腸管ガス拡張像を,超音波検査で多発性の高輝度内容物が充満する嚢胞状に拡張した腸管,pseudokidney sign を示す腫瘤,腹水を認め,回腸閉鎖を疑った.注腸造影検査では,狭小結腸(microcolon)を認め,開腹手術で回腸閉鎖IIIa 型(離断型)と診断した.超音波検査所見における多発性の嚢胞状に拡張した腸管とpseudokidneysign を呈する腫瘤は,術中の回腸閉鎖部口側の拡張腸管と腫瘤状の回腸閉鎖遠位側盲端のそれぞれと一致した.病理検査で,腫瘤状の回腸閉鎖遠位側盲端内には索状物があり,この索状物は石灰化を伴い壊死性で,組織所見で消化管粘膜を認め,胎児期腸重積による回腸閉鎖と考えられた.胆汁性嘔吐を呈する新生児に対し,非侵襲的な超音波検査は回腸閉鎖の鑑別に有用と考えられた.
学位報告
feedback
Top