本研究における目的は, 統合失調症圏患者における重篤な自殺企図発生の関連因子を明らかにすることである.2003 年1 月1 日から2021 年12 月31 日に, 自傷行為または自殺企図を主訴に精神科救急を受診した統合失調症圏患者546 名を対象とした.飛鳥井の分類に従い,患者を自殺の絶対危険群(n = 265)と相対危険群(n = 281)に分類し比較した結果,重篤な自殺企図である絶対危険群と,35 歳未満(OR = 2.05),精神科病棟入院(OR = 5.13)または救急センター病棟入院(OR = 5.41)は正の関連性があり,企図手段としての薬物(OR = 0.244),刃物・鋭利な道具による自傷(OR
= 0.390)は負の関連性を認めた.自殺未遂を起こした患者は, その後の自殺のリスクが高い. 統合失調症圏患者の重篤な自殺企図に関与する因子を明らかにした本研究の結果は今後の自殺予防の推進に役立つであろう.
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