都市計画論文集
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48 巻, 3 号
選択された号の論文の159件中151~159を表示しています
  • 評価者の地域特性が評価に与える影響
    奥田 紫乃
    2013 年 48 巻 3 号 p. 1059-1064
    発行日: 2013/10/25
    公開日: 2013/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では、被験者の地域特性が景観評価にどのように影響を及ぼすのかを明らかにすることを目的とし、京都・高山における町家ファサードを対象とした主観評価実験を行った。実験では、京町家および高山町家の40種の実験画像を評価対象とし、京町家及び高山町家に慣れ親しんでいる事を条件に、京都府出身・在住の20代女性18人、及び岐阜県出身・在住の20代女性18人、計36人を被験者とした。評価実験の結果、わかりやすさ(明瞭性)評価においては、各地域における町家ファサードデザインの特徴が認められる1条件において、被験者の地域特性の違いが評価に影響することが示されたが、ほとんどの条件においては被験者の地域特性の違いによる評価の差異は見られなかった。また、入りやすさ(親和性)、及び落ち着きやすさ(休息性)においては、被験者の地域特性の違いによる評価の差異は全く見られなかった。一方、地域らしさ(地域性)や好ましさ(総合評価)、及び各地域におけるふさわしさ(適性)においては、各地域における町家ファサードデザインの特徴が認められる2~3の条件において、被験者の地域特性の違いによる評価の差異が認められた。
  • 国道36号線札幌・千歳間に着目して
    山崎 嵩拓, 坂井 文, 越澤 明
    2013 年 48 巻 3 号 p. 1065-1070
    発行日: 2013/10/25
    公開日: 2013/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    日本全国で景観に関する取り組みは活発化しつつあるが、特に交通量の多い主要幹線道路の沿道では、全国に画一的な景観が形成されるなどの課題が生じている。そこで本論では、北海道の主要空港アクセス道路である国道36号線札幌・千歳間に着目、景観関連施策と土地利用実態の調査及び分析から沿道景観特性を明らかにし、主要幹線道路沿道における良好な景観形成の方策の考察を行った。研究により主要幹線道路の沿道景観では、1.自治体ごとの沿道景観の変化、2.主要幹線道路を挟む沿道景観の不調和、3.多様な景観構成要素に対する制度の個別対応の3点を主な課題として挙げ、今後の取組みとしてガイドラインや地域地区制度をはじめとする制度の活用方法に関する提案を行った。
  • 名古屋市 中区錦二丁目地区を対象として
    森田 紘圭, 加藤 博和, 村山 顕人, 柴原 尚希, 林 良嗣
    2013 年 48 巻 3 号 p. 1071-1076
    発行日: 2013/10/25
    公開日: 2013/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    低炭素社会を実現する1つのコンセプトとして、「クオリティ・ストック」という概念に着目し、街区群における各建物の更新を予測し、その性能変化を予測するモデルを構築した。具体的には、1)街区群における空間構成から住民のQOL(Quality of Life)を評価し、2)その結果を受けて建物の建替時期を予測し、3)CO2排出量および市街地維持コストを評価するモデルとした。さらに、開発されたモデルを用いて、名古屋市の都心部に位置する錦二丁目地区においてケーススタディを実施した。その結果、お個々の建物が個別に更新を進める場合より、地区全体で計画的な更新を進めた方が住民のQOLが増加し、それにより建物の寿命が増加することで、CO2排出量や市街地維持コストの低減につながることが明らかとなった。
  • ウルビーノ歴史的地区におけるData修復再生をめぐる論争を事例に
    清野 隆
    2013 年 48 巻 3 号 p. 1077-1082
    発行日: 2013/10/25
    公開日: 2013/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、イタリア共和国のウルビーノ歴史的地区において生じたData修復再生論争を通じて、イタリアにおける歴史的建造物の修復をめぐる景観保全の現代的課題について論じている。ウルビーノ歴史的地区は1999年に世界文化遺産に登録されており、イタリア国内法によって、歴史的地区の景観は保全されている。しかし、1999年に施工が始められたData修復再生がウルビーノ歴史的地区の景観を損なうとの主張が発生し、当該プロジェクトの是非が議論されるに至った。そこで本研究は、歴史的建造物の修復のあり方と修復が景観及ぼす変化の2点に着目して、当時の新聞や雑誌記事の文献調査、ウルビーノ市当局へのヒアリング調査、当該プロジェクトに携わった建築家へのヒアリング調査を行い、論争の経緯と争点を明らかにして、歴史的建造物の修復と景観保全の現代的課題を明らかにしている。
  • 歴史地区の整備事業における建築専門家の建築デザイン決定への関与と課題
    北尾 靖雅
    2013 年 48 巻 3 号 p. 1083-1088
    発行日: 2013/10/25
    公開日: 2013/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本論文は、小規模な都市の歴史地区のためのデザイン・コントロールシステムとその現在の課題を建築文化的遺産の観点から議論する目的である。この議論を展開するために、景観形成の先進国であるドイツのヘッセン州の3つの小規模の都市を対象に調査研究を実施することとした。そこで、3つの都市の歴史地区の景観形成に貢献している技術官僚や建築家にインタビューをし、以下の課題を調査分析した;1)デザイン・コントロールシステムのタイプ、2)デザイン・コントロールシステムの背景、3)歴史地区の建築物の改修事業の実例を調べた。その結果、歴史地区のデザインコントロールに関する重要な論点が現在のアーバンデザインの方法にあり、専門家(文化的な遺産を含む)とクライアントの間における議論の重要性が歴史地区の真正性に関連している事を把握した。ドイツの小規模都市の事例から今後のデザイン・コントロールシステムを検討する事ができるといえる。
  • -モントルイユ市Murs à pêchesのPLUの策定を事例として-
    熊澤 貴之
    2013 年 48 巻 3 号 p. 1089-1094
    発行日: 2013/10/25
    公開日: 2013/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では,フランス都市計画における合意形成に向けたアソシアシオンによる保全活動の実態,考え方,技術的支援,市政に与えた影響を考察した結果,次の4点が明らかになった.1)アソシアシオンと市が協働する関係である時,合意形成に向けた粘り強い話し合いによって双方の妥協点を見出す解決がとられたこと.一方,アソシアシオンと市が妥協点を見出せず,衝突する関係である時,裁判所などの第三者機関による判決で解決すること.2)アソシアシオンのメンバーの生きがいや価値感の共有,目標像の明確化がまちづくり運動の原動力になること.3)専門的な技術的支援を受けたアソシアシオンは益々まちづくり活動を高めること.4)アソシアシオンの積極的な保全活動は市に住民と協働で計画する住民協働プラットフォームの構築を促したこと.
  • 倉澤 知久, 十代田 朗, 津々見 崇
    2013 年 48 巻 3 号 p. 1095-1100
    発行日: 2013/10/25
    公開日: 2013/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、1960年代以降現在まで旅行雑誌『旅』『旅行読売』『旅の手帖』の3誌に掲載された町並み観光地に関する記述を対象として、地域のイメージを類型化するとともに、町並み観光地の地域特性との関連を分析している。具体的には、町並み観光の時期区分をI~IVの4つに分け、以下の3点を明らかにしている。(1)雑誌で記述された町並みの《地域のイメージ》を用いて類型化し、時期区分ごとの281の町並み観光地を【異日常型】【活き活き生活型】【悠々生活型】【観光整備型】【イメージ記述無し】の5つにタイプ分類している。(2)町並み観光地の地域特性は、【都市観光型】、【郊外観光型】、【町並重視型】、【城下集落型】の4タイプに分類している。また、[都市観光型]と【イメージ記述無し】、[町並重視型]と【活き活き生活型】の組が、多くの期に登場し、地域特性とイメージの相性がよいと考えられる。(3)雑誌での登場回数が異なる地域を比較したところ、町並み観光地(町並みを観光資源と認知)として掲載されるためには、掲載以前の期間から町並みの保全・整備に取組み、町並みの価値を地域の人に伝えることが重要であると指摘している。
  • 橋口 結樹, 十代田 朗, 津々見 崇
    2013 年 48 巻 3 号 p. 1101-1106
    発行日: 2013/10/25
    公開日: 2013/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、一都六県における観光用公共レンタサイクルの運営実態、意図、地域特性を調査し、観光振興策として有効に導入・運営するための示唆を得ることを目的とする。インターネットによる網羅的調査、アンケートによる運営側の意識調査、地域特性として観光地タイプ分類とGISによる地域内交通モード分担の時間・空間的分析を行った。既往研究では利用者を対象とした調査や単一地域を対象としたものが主であり、複数地域を横断的かつ多角的に比較している点に本研究の独自性がある。調査の結果、1)全317市区町村中73地域で公共レンタサイクルが運営され、うち観光利用を主な目的とする地域が49地域となった。2)観光資源が豊富な地域では実施率が高くなる傾向にあるものの、観光資源に乏しい地域においても実施している地域は見られる。3)8割が地域内交通として期待している一方、ハード整備等コストのかかる整備に踏み切る地域は少ない。4)観光地タイプによって取り組む方向性やレンタサイクル活用の位置付けに違いが出ることがわかった。
  • 大山 雄己, 羽藤 英二
    2013 年 48 巻 3 号 p. 1107-1112
    発行日: 2013/10/25
    公開日: 2013/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究ではプローブパーソンデータを用いて,ゾーン内を回遊する歩行者の行動分析を行なった.GPS技術による位置データを基に,従来得られなかった経路や滞在時間を含む詳細な移動活動分析の可能性を示した.こうしたデータの有用性をもとに地区内を移動する歩行者行動を捉え,目的地だけでなくトリップ長,トリップ時間,そして行動範囲そのものが限定的であることを明らかとした.その要因として駐車場が細かく分散して存在することでエントリーポイントと目的地が近くなっていること,また逆にそうした駐車場が歩行者にとって好ましくない環境を生んでいる状況を把握した.さらに逐次的に移動先を選択する歩行者行動モデルをボロノイ分割ネットワークを用いて構築し,分析を行なった.結果,平面駐車場が滞在,移動先の空間どちらにとっても負に働くことが定量的に確認された.歩道幅員や百貨店などが正に働くことからも,駐車場の更新が歩行者の回遊性向上に寄与する可能性を示した.
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