原子間力顕微鏡や走査型トンネル顕微鏡に様々な手段で温度計測機能を付加することで,走査型熱顕微鏡が開発されてきた。SThMは100nm以下の空間分解能で試料表面の温度や物性値の分布を計測することが可能である。熱計測における空間分解能の大幅な向上は,例えば微小電子デバイスや集積回路,複合材料,局所的な触媒反応など,従来不可能であったサブミクロン構造物の熱的な直接観察を可能とするだろう。本稿では,様々な手法のSThMの特徴と現状を概説し,特に将来性の有望な熱電対型SThMについて詳しく説明する。さらに,高い空間分解能を持ちかつ正確に試料の実温度を計測する能動型計測法について紹介する。
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