背景:右室流出路–肺動脈領域の術後再治療介入は未だに解決しなければならない課題である.本研究では,全国アンケートを利用し,レジストリから抽出の困難な本再介入の実態を調査し,医療経済的観点からの影響を調査した.
方法:日本小児循環器学会によるウェブアンケート(2020年2月)による実態調査を実施し,大阪医科薬科大学病院における再介入医療費調査を算出した.
結果:31施設(日本小児循環器学会評議員が在籍する手術実施49施設,回答率63.3%)から回答を得た.直近3年間での当該手術総数は2,520件(自己心膜54.4%,polytetrafluoroethylene 35.8%,ウシ心膜9.8%)であり,段階的手術を除いた再介入は500件(再手術47.6%,カテーテル治療52.4%)であった.すべての材料に共通する再介入の三大原因は,材料劣化,内膜過剰増生,および非伸張性であった.実際の再介入治療費は平均約600万円/件で,アンケートからの実施数を乗じると31施設では約10億円/年,全国90の手術実施施設では約30億円/年と試算された.
結語:当該領域の術後再治療介入は医療経済上も看過できない課題である.更なる回避には手術術式および手術材料の最適化と改良が引き続き必要と考えられた.
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