I課題と方法
社会変化にともなう教育計画をたてるにあたって「社会変化-教育課題」という公式の媒介項として「児童の恒常的生活場面の構造の変化」を入れるという操作を試みようとする.その実証的研究として福岡県の離島の電力線開通にともなう社会変化のうち,テレビ視聴を中心とするマスコミの領域における変化をとりあげた.この発表でとりあげた問題は次の二つである.
1) テレビ視聴,つまりマスコミヘの接触の増加との関係において生活構造,価値観等の変化をとらえること.
2) マスコミの影響が第一次集団のオピニオンリーダーのパターンの違いによって異なるであろう,またその学校教育との関係はどうか.その実態をとらえること.
II 子どもの生活構造の変化とその人間形式的意義
子どもの生活構造はテレビ視聴により全般的に変化したが,視聴時間の長短により生活構造変化のパターンごとにその家庭内人間関係,価値観等に差異がみられる.また長時間視聴者は空想志向型であり,短時間視聴者は現実志向型である.
III テレビ視聴を規制する島内の人間関係的諸要因
島内のリーグの影響はローカル型,つまり島内志向型が文配的であり,それはナショナルないしコスモポリタン的な学校教師の影饗と対立する.リーダーは世代により志向に違いがみられ,老人層はよりローカル的であり壮年層はよりコスモポリタン的であって,社会変化にともなって学校に提起してくる教育要求にも世代差がみられる.
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