日本古生物学會報告・紀事 新編
Online ISSN : 2186-0963
Print ISSN : 0031-0204
ISSN-L : 0031-0204
1980 巻, 118 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
  • 坂上 澄夫
    1980 年 1980 巻 118 号 p. 269-290
    発行日: 1980/06/30
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    二畳系と三畳系の境界問題に関連して, イラン中部アバデー地域の二畳紀こけ虫化石の生層序学的研究を行った。識別されたこけ虫化石はアルメニアズルファ地域のGnishik-Khachik-Lower Dzhulfian階から報告されたものと密接な類似性をもち, またパミール, ソルトレンヂ, カシミール, 南シナ, チモールの二畳紀こけ虫化石とも共通種を含んでいる。4新種を含む15種すべてについて古生物学的記載を行った。
  • 加瀬 友喜, 前田 晴良
    1980 年 1980 巻 118 号 p. 291-324_1
    発行日: 1980/06/30
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    千葉県銚子地方の前期白亜紀層より得られた保存良好な軟体動物化石を検討した結果, 10新種を含む11属12種の腹足類化石(Calliostoma? ojii KASE, sp. nov., Ataphrus (s. str.) nipponicus KASE, sp. nov., Hayamia rex KASE, sp. nov., Hayamia choshiensis KASE, sp. nov., Amberleya (Eucyclus) japonica KASE, sp. nov., Oolitica sp., Metriomphalus nagasakiensis KASE, sp. nov., Perissoptera elegans KASE, sp. nov., Pietteia cretacea KASE, sp. nov., Ceratosiphon densestriatus KASE, sp. nov., Vanikoropsis decussata (DESHAYES) and Eriptycha japonica KASE, sp. nov.を識別・鑑定したので記載する。これらの中には, 腹足類の系統分類学上, 注目すべきいくつかの種が含まれている。Hayamia属は殻の外形, 表面装飾, 楕円形のフタを持つこと, および内唇の中央部に凹みを持たない点でNeritopsinae亜科の他の属から区別され, さらにHayamia属のフタはNaticopsis属のそれに類似する。以上の事実は, Hayamia属とNaticopsis属の親密な類縁関係が暗示され, Hayamia属がNeritopsis属とは異なった系列に沿って進化したことを暗示する。Pietteia cretaceaは翼状に伸びた外唇に直交する棘を持つ特異なモミジソデの一種類で, 従来本属はジュラ紀にのみ知られていたが, 今回の報告により, 前期白亜紀にも存在することが明らかになった。Ceratosiphon属はCOSSMANN (1907)以来Tessarolax属のシノニムと見なされてきたが, 両属が独立の属であることを示した。銚子層群産腹足類群の中には, フランスやイギリスのバレミアン, アプチアンあるいはアルビアンのものと共通, あるいは近縁な種が多く含まれている。
  • 松本 達郎, 勘米良 亀齢, 太田 喜久
    1980 年 1980 巻 118 号 p. 325-338_1
    発行日: 1980/06/30
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    九州の八代層には白亜紀の動植物化石が産することは周知だが, その頭足類化石について記載がなかった。ここに5種を識別し, その産出地点と層位を明記し, 松本が古生物学的記載を行なった。それらは(1) Heminautilus akatsui, (2) Brewericeras enorme, (3) Prolyelliceras (?) sp., (4) Epileymeriella aff. hitzeli, (5) Platiknemiceras caseyiである(n.sp.)。(1)は殻形はParacenocerasに似るが, 装飾と縫合線からH.属とした。(2)はB. hulenenseに似るがLeconteites的の性状を一部に示す。(5)はP.属(通例平滑)だが弱い肋がある。これらは八代層中部層に産し, 菊石からはアルビアン下部が指示される。少数の標本ではあるが, 従来本邦に未知の種であり, とくに(2)の北太平洋区要素と(5)のテチス海区要素とが(1) (3) (4)のような広域的の属とともにこの地区で出会っている事実は異る地理区間の対比上重要である。又非海生貝化石や植物化石の時代論に対しても有効な化石群である。
feedback
Top