生産研究
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67 巻, 1 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
特集 乱流シミュレーションと流れの設計(TSFD)
特集に際して
研究速報
研究解説
  • 有木 健人, 半場 藤弘
    2015 年 67 巻 1 号 p. 7-10
    発行日: 2015/01/01
    公開日: 2015/02/24
    ジャーナル フリー
    非一様乱流に対する統計理論的手法の一つを概説する.乱流が本来持つ共変性原理を保存するため,平均流に移流される座標系(平均Lagrange 座標)を解析の基礎に置くことが,本理論の特徴である.一様乱流における繰り込み摂動理論を,平均Lagrange 座標上で適用することで,非一様乱流の履歴効果を,一様乱流のそれと類似する形式で表現することが可能となる.本文中では,Reynolds 応力に本手法を適用し,Reynolds 応力の履歴表現を導出する.また,時間局所化を行うことで,一般化された非線形渦粘性モデルが導出されることを示す.
研究速報
  • 小山 省司
    2015 年 67 巻 1 号 p. 11-15
    発行日: 2015/01/01
    公開日: 2015/02/24
    ジャーナル フリー
    温度差のある鉛直壁に挟まれた流体による自然対流を乱流モデルによる数値シミュレーションで調べている.我々の知る限り当該流れ場の計算例は多くはないので,既存の乱流モデルを用いた場合に適切な結果が得られるのか確認する.使用した乱流モデルは,標準k−εモデル,殷ら(1989)による温度場2 方程式モデル,そして吉澤ら(2012)による3 方程式モデル(乱流粘性,運動エネルギー,そして散逸率)である.これらいずれのモデルでも平均速度と平均温度をある程度再現できることがわかった.特に,鉛直方向の熱流束モデルを補った吉澤モデルの結果は,DNS データと良く一致した.
  • 横井 喜充
    2015 年 67 巻 1 号 p. 17-23
    発行日: 2015/01/01
    公開日: 2015/02/24
    ジャーナル フリー
    太陽活動の周期を説明する新しいモデルが提案される.新しいモデルは従来のものと比較して二つの点で大きく違っている.第一に,乱流起電力の表式でヘリシティに関連する輸送係数αに加えて,クロス・ヘリシティ(速度=磁場相関)に関連する輸送係数γを考慮に入れる.これは非一様な大規模流れが乱流に及ぼす効果を取り入れるものである.第二に,輸送係数γは調整可能なパラメータではなく,方程式に基づいてγの時空ダイナミクスが磁場の発展と同時に取り扱われる.本研究での太陽活動周期への基本的シナリオは以下の通りである.トロイダル磁場が乱流クロス・ヘリシティの効果で誘起される.ヘリシティあるいはα効果によって,トロイダル磁場からポロイダル磁場が生成される.α効果によって生成されたポロイダル磁場は元々存在した乱流クロス・ヘリシティとは反対符号のクロス・ヘリシティを生成する(負のクロス・ヘリシティ生成).逆符号のクロス・ヘリシティが極性の反転したトロイダル磁場を誘起する.モデル方程式の固有値解析が行われ,上述したシナリオの妥当性が確かめられる.
研究解説
  • 有馬 雄祐, 大岡 龍三, 菊本 英紀, 山中 徹
    2015 年 67 巻 1 号 p. 25-30
    発行日: 2015/01/01
    公開日: 2015/02/24
    ジャーナル フリー
    建築は気候から多大な影響を受け,現在は地球温暖化といった気候変動が進行している.建築分野では気候に適した設計を行うために,気温や日射などの気象データを用いた熱負荷計算が行われる.現在の熱負荷計算では,各地域の過去の観測値を基にして作成された気象データを使用することが一般的である.しかしながら,建築物は長期にわたり使用され,その間に気候は変化する.現在から将来の気候へ適応し,建築のライフサイクルにわたる省エネを実現する建築設計にとって気候変動を考慮した熱負荷計算が必要である.そこで本研究では,全球気候モデルにより予測される将来気象データを領域気象モデルによって力学的にダウンスケーリングし,建築熱負荷計算のための近未来気象データを作成する.
  • 中島 慶悟, 大岡 龍三, 菊本 英紀
    2015 年 67 巻 1 号 p. 31-37
    発行日: 2015/01/01
    公開日: 2015/02/24
    ジャーナル フリー
    都市キャニオン内外における運動量の輸送機構及びRANS の予測精度について検討を行うためのLES データベースを作成した.LES データベースを参照データとして都市キャニオン内外におけるRANS の予測精度評価を行った.RANS は都市キャニオン内における平均風速の空間分布,乱れ性状を再現することができず,都市キャニオン内においてはRANS の予測精度は低下する.都市キャニオン内外における運動量の輸送機構及びそれに基づくレイノルズ応力のモデル化の妥当性について検討を行うためにLES データベースを用いてレイノルズ応力の収支構造の解析を行った.都市キャニオン内においてはレイノルズ応力の拡散項が大きくなり,移流項や拡散項のような非局所的な効果を無視する勾配拡散近似によるレイノルズ応力のモデル化は物理的に妥当ではない.したがって,都市キャニオン内においては移流項や拡散項のような非局所的な効果を表現することができる乱流モデルの適用が必要である.
研究速報
研究解説
研究速報
  • 喜田 壮馬, 島﨑 一夫, 矢島 康治, 大村 進, 小野 卓史, 大島 まり
    2015 年 67 巻 1 号 p. 55-58
    発行日: 2015/01/01
    公開日: 2015/02/24
    ジャーナル フリー
    上顎骨の移動が呼吸に与える影響は大きく機能的評価が必要であるが,上顎骨上方移動に伴う鼻腔の狭窄に関する報告は認められない.そこで,上顎骨上方移動を伴う顎矯正手術が鼻呼吸機能に与える影響を機能的に明らかにすることを目的に解析を行った.
    上顎骨を上方へ移動させる術式に,梨状孔下縁を切削するというオプションを加えることで,術後に鼻腔の圧力損失が低下するという結果を得た.さらに鼻腔前方1/3 で圧力損失が多く生じていることが分かり,同部位に対する術式などの配慮が鼻腔換気の観点から有益である可能性が示唆された.
  • 山出 吉伸, 加藤 千幸, 飯田 明由, 吉村 忍, 飯田 桂一郎
    2015 年 67 巻 1 号 p. 59-63
    発行日: 2015/01/01
    公開日: 2015/02/24
    ジャーナル フリー
    車室内空力騒音を広範囲な周波数帯域(100Hz ~4kHz)で高精度に予測することを最終目的とし流体・構造振動・音響の連成解析を実施した.はじめに車室内空力騒音の音源である,車体表面の圧力変動をLarge Eddy Simulation により計算し,次に圧力変動データを入力データとする構造振動解析により,各周波数帯域に対する車体内表面の振動加速度を計算する.最後に振動加速度から計算される粒子速度を境界条件として与えることにより,音響解析を実施し車内の音場を計算する.本稿ではこのうち,流体解析について報告する.解析対象は床下構造を簡略化した実車形状であり,主流速度は100km/h とした.流体解析では,4kHz に対応するスケールの渦のダイナミクスを直接計算するため解像度1.5mm,節点数50 億の計算格子(六面体要素)を用いた.予測された車体表面の圧力変動スペクトルは風洞試験とよく一致することが確認された.
  • パコ オリビエ, 加藤 千幸, 郭 陽, 山出 吉伸
    2015 年 67 巻 1 号 p. 65-70
    発行日: 2015/01/01
    公開日: 2015/02/24
    ジャーナル フリー
    近年,水力発電所の水車の開発では,部分負荷から全負荷までの広範囲な運転条件を対象としている.部分負荷の運転条件ではキャビテーションが発生し,流れが不安定な状態になり,最悪の場合,発電所全体を損傷する可能性がある.本論文は,FrontFlow/blue に沖田のキャビテーションモデルを実装し,その特性について調べた.まず,基礎検証としてクラーク-Y11.7 翼まわりの流れを対象にLES 解析を行い,その特性を調べた.次に,部分負荷条件(65%BEP)のフランシス水車を対象に,その予測性能について調べた.
  • 郭 陽, 山出 吉伸, 加藤 千幸, 太田 有, 岩瀬 拓, 高山 糧
    2015 年 67 巻 1 号 p. 71-75
    発行日: 2015/01/01
    公開日: 2015/02/24
    ジャーナル フリー
    遠心送風機の内部流れのラージ・エディ・シミュレーション(LES)は,部分的な流量で旋回失速した領域が生じる現象を分析するために実行された.送風機は,12 の羽根車ブレードおよび羽根がない拡散器を持っている.計算結果は,静圧ヘッド,羽根車アウトレットの速度分布,および失速セルの伝播速度について,実験との比較により有効にされた.実験および計算の中に,失速セルの伝播速度は羽根車回転スピードの約70% である.さらに,吸込ベルマウスから1 m 向こうであるサンプリングポイントの音圧レベル(SPL)は,ライトヒルの方程式をよって計算された.それにおいてソースが非圧縮性のLES から得られた.計算されたSPL は,実験的なデータと比較された.
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