大気環境学会誌
Online ISSN : 2185-4335
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46 巻 , 2 号
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あおぞら
総説
  • 坂本 和彦
    46 巻 (2011) 2 号 p. 61-69
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    我が国における微小粒子状物質(PM2.5)質量濃度のモニタリングやその化学成分の測定に関して、試料の捕集や分析方法に関する最近の状況を概説した。近年のPM2.5の主要化学成分は硫酸塩、硝酸塩、アンモニウム、有機炭素と元素状炭素である。それらの粒子状物質のサンプリングや化学成分の測定に関わるアーティファクトの回避・抑制をするために、本総説ではアニュラー・デニューダー-フィルターパック(AD-FP)を用いる幾つかのPM2.5サンプリング法ならびに熱分離反射光補正炭素分析法やエアロゾル質量分析計による高時間分解での粒子組成モニタリングについて紹介した。また、これらの利点や限界とともにPM2.5の測定に関する今後の課題について考察した。
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  • 武林 亨, 朝倉 敬子, 山田  睦子
    46 巻 (2011) 2 号 p. 70-76
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    2006年以降、PM2.5の環境基準値またはガイドライン値が米国、WHO、日本等で設定された。そのリスク評価は、疫学的および毒性学的レビューに基づくものである。PM2.5の健康影響を明らかにした疫学研究は、ハーバード6都市研究、アメリカ対がん協会研究が1990年代半ばまでに相次いで報告され、以降、それらの拡張研究、再解析研究、あるいは他の前向きコホート研究により、10-15μg/m3 周辺の比較的低濃度のPM2.5曝露が心血管疾患死亡と関連することが示唆されている。また短期曝露影響についても、北米での複数都市研究で心血管疾患死亡との関連が観察されている。しかしながら日本では、このような低濃度PM2.5曝露群を含む集団での疫学知見はない。またこれまで実施された調査の報告では、心血管疾患との関連は観察されていない。心血管疾患による死亡の構造あるいはその危険因子の分布パターンが、日本とアメリカで異なることはよく知られており、日本で、低濃度地域を含む疫学研究の実施が必要である。また高感受性群である小児肺機能発達についても、比較的低濃度領域のPM2.5曝露との関連がアメリカの小児を対象としたコホート研究で示唆されている。同様に日本での疫学研究が必要である。
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  • 若松 伸司
    46 巻 (2011) 2 号 p. 77-83
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    大気微小粒子状物質(PM2.5)は死亡率の上昇等、人の健康に悪影響を及ぼすのみならず、視程障害や景観悪化等の生活環境の質 (QOL) を低下させる。また森林生態系への悪影響や農作物の減収が懸念される。PM2.5は都市や地域の大気環境質に影響を及ぼすばかりではなく、大気の放射収支を変えることにより地球の気候変動にも直接的、間接的に影響を及ぼす。しかし、その影響の程度はPM2.5の構成組成や立体的な分布状況等により異なるので影響評価には不確実性が大きい。日本では人への健康影響の観点から2009年9月にPM2.5の環境基準が定められたが、この環境基準制定の背景を理解するためには米国におけるPM2.5に関わる疫学調査研究や環境基準設定の経緯等、国外の動向を知ることが有用である。PM2.5は単独な物質で構成されてはおらず、発生源は人為起源や自然起源の両方にあり生成機構も多岐に亘る。影響にはガス状物質と微小粒子状物質の相乗作用が大きいと考えられるので、正確な測定による実態の把握が焦眉の急を要する課題となっている。PM2.5の対策を効果的に進めて行くためには、発生源と環境濃度の関連性を知ることが重要であり、このためにはPM2.5を含む大気環境の測定、モニタリング、成分分析やモデリングが必要となる。このような問題意識を踏まえ、本総説ではPM2.5に関わる海外の状況を米国、欧州について紹介し、加えて日本での検討経緯を概説すると共に、PM2.5の測定、モニタリングや成分分析の課題を展望する。
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  • 伏見 暁洋, 森野 悠, 高見 昭憲, 大原 利眞, 田邊 潔
    46 巻 (2011) 2 号 p. 84-100
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    粒径2.5μm以下の粒子(PM2.5)に対する大気環境基準が、2009年9月に新たに設定された。PM2.5の濃度はSPMと同様に年々低下してきているが、都市部を中心にPM2.5の環境基準の達成は容易でなく、その実態を把握して効果的な対策を講じることが必要とされている。しかし、PM2.5は燃焼で発生する粒子や二次生成粒子が主体で、その組成や由来・動態が複雑である。多様な燃焼発生源から様々な炭素成分や灰分からなる粒子が発生する。窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)、様々なガス状有機物などからの二次粒子の生成は、特に有機物に関して極めて複雑で、不明な点が多い。アジア大陸からの越境汚染の影響が年々増しており、実態をさらに複雑にしている。本稿では、国内外の都市におけるPM2.5実態解明のための既存の研究例を観測とモデルの二つの視点から整理するとともに、近年著者らが行った関東地方における広域、高時間分解、多項目観測と、それに基づくレセプター解析、それらとモデルシミュレーションの比較検討などの試みを紹介する。また、越境汚染に関して、これまでに得られている知見を概観しつつ西日本で行っている観測やモデルシミュレーションを紹介する。最後に、これらに関する今後の課題を整理することで、PM2.5の実態解明への道筋を考察する。
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原著
  • 茶谷 聡, 森川 多津子, 中塚 誠次, 松永 壮
    46 巻 (2011) 2 号 p. 101-110
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    3次元大気シミュレーションにより、2005年度の日本三大都市圏PM2.5濃度に対する発生源・越境輸送の感度解析を行った。各発生源の感度は、その排出量を有無とした計算ケースにおける濃度計算値の差から算出した。PM2.5濃度に対する発生源の感度には地域や季節による明確な違いが見られた。大阪・兵庫圏では国外の人為発生源の感度が高かったが、愛知・三重圏、首都圏、東京23区の順に小さくなる一方、国内発生源の火山、船舶、自動車排気、自動車以外燃焼、NH3の感度が高くなった。季節による気象条件の違いにより、夏には火山と船舶、春と秋には国外の人為発生源、冬には大阪・兵庫圏と愛知・三重圏では国外の人為発生源、首都圏と東京23区では国内発生源の感度が高かった。火山、船舶、国外の人為発生源はSO42-、国内の自動車排気、自動車以外燃焼はNO3-、NH4+、元素状炭素(EC)、一次排出有機粒子(POA)、生物起源やVOC蒸発は二次有機粒子(SOA)に対する感度が高かった。また、NO3-、NH4+に対するNH3の感度が高く、かつ強い非線形性を示した。ただし、シミュレーションによるPM2.5濃度計算値は年間を通して3~4割の過小評価であり、EC、有機炭素(OC)の過小評価がその主要因となっている可能性が高い。実大気中でEC、OCに影響を及ぼしている発生源の感度も必然的に過小評価になっており、今後のシミュレーションの改良が必要である。
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  • 兼保 直樹, 高見 昭憲, 佐藤 圭, 畠山 史郎, 林 政彦, 原 圭一郎, 河本 和明, 山本 重一
    46 巻 (2011) 2 号 p. 111-118
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    わが国のPM2.5汚染状況にアジア大陸起源の汚染物質が与える影響を明らかにするため、五島列島福江島(人口4万人)と、その北東約190 kmに位置する福岡市(人口144万人)、および福江島の東約100 kmにある長崎市(人口40万人)における2009年度のPM2.5濃度を比較した。春季にみられた福江島・福岡での1時間値の挙動の類似は、夏季、秋期、冬季にも同様にみられ、長崎でも測定が始まった10月からの測定値は福江島・福岡とほぼ一致した変動を示した。これらの変動は、主として寒冷前線後面型、あるいは移動性高気圧周辺流型といった総観規模気象に駆動された長距離輸送により生じていた。夏季には、時折通過する低気圧による輸送による濃度上昇の他、梅雨前線の北側に入った際に濃度上昇が顕著にみられた。また、秋季に4~5日間にわたって高濃度が続いたイベントでは、長距離輸送によるPM2.5の流入の後、移動性高気圧下の静穏状態によって維持されていた。黒色炭素粒子濃度は、月平均でみると福岡において福江島よりも濃度が高い月が多く、都市大気汚染による付加分を認めることができるが、その値は最大で1.2 μg m-3程度であった。2009年度の観測結果では、福岡などの九州北部地域におけるPM2.5の濃度および時間変動は、長距離輸送された広域的な汚染に年間を通して事実上支配されており、国内の都市毎で発生した汚染は、PM2.5濃度としてはきわめてわずかにしか寄与しいていない可能性が示された。
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ノート
  • 宮嶋 洋子, 松田 和秀
    46 巻 (2011) 2 号 p. 119-123
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    関東地域のPM2.5に与える長距離輸送の影響を調べることを目的として、東京の郊外に位置する多摩地域において、2010年2月20日から4月22日の間、PM2.5およびその無機イオン成分濃度の観測を実施した。PM2.5質量濃度の測定は、フィルター振動法(TEOM)により行い、除湿システムを取り付け、センサー部の温度を35℃に設定した。さらに24時間毎にPM2.5をフィルターに捕集し、無機イオン成分濃度の測定を行った。観測期間中、PM2.5の平均値は13 μg m-3、日平均値の最大値は32 μg m-3であった。測定した無機イオン濃度の総和がPM2.5濃度に占める割合は期間平均で49%であり、その中でSO42-の占める割合が最も高かった。大規模黄砂の影響を受け3月20日にPM2.5の顕著な増加が見られた。この時、Ca2+およびSO42-が期間最大値を示し、黄砂粒子および硫酸アンモニウム粒子等の長距離輸送に起因する増加と考えられた。全期間の後方流跡線解析から、大陸の汚染物質排出量が多い地域に起点を持つ気流時には、それ以外の気流時に比べPM2.5、SO42-、NH4+が有意に高く、その原因は東京のローカルな汚染よりも、大陸および西日本からの長距離輸送によるものである可能性が示唆された。本観測では、硝酸塩粒子の長距離輸送の影響は顕著には見られなかった。
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技術調査報告
  • 上野 広行, 秋山 薫, 石井 康一郎, 三好 猛雄, 横田 久司, 名古屋 俊士
    46 巻 (2011) 2 号 p. 124-130
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    東京都内4地点においてPM2.5の連続測定を行うとともに、そのテープろ紙を用いて夏季のSO42-,WSOC等の水溶性成分の濃度変化を調べた。また、ローボリュームエアサンプラーによるPM2.5の測定及び成分分析を行い、連続測定機の測定値を確認するとともに、OC中のWSOCの割合を求めた。夏季のPM2.5濃度は、OX高濃度日が続くと右肩上がりに増加する傾向にあった。PM2.5中の主成分であるSO42-とWSOC濃度はOX濃度とともに高くなる傾向にあったが、WSOCについてはOX濃度が高く光化学反応の進行が進んだ地点において濃度が高くなる傾向がSO42-よりも明確に認められた。すなわち、東京都内においても有機物の酸化による二次生成が起こっており、今回解析した事例ではその量はPM2.5の10%程度に及ぶと考えられた。WSOCとバイオマス燃焼の指標とされるK+の相関関係は冬季には都心においても高かったが、夏季には明確な関係は認められず、VOC等の二次生成であることを示唆していた。
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  • 米持 真一, 梅沢 夏実, 長谷川 就一, 松本 利恵
    46 巻 (2011) 2 号 p. 131-138
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    2009年4月から1年半の間,異なる2つの手法でPM2.5の並行測定を行った。一つは環境省により定義された標準測定法(Run 2ref)であり,もう一つは,これと捕集期間,フィルター材質,調湿条件が異なる方法(Run 1)である。PM2.5サンプラーとして2台のPartisol Plus 2025(Thermofischer Scientifc)を用いた。解析の対象として,2009年9月から2010年8月の358個の1日単位捕集の試料と,51個の週単位捕集の試料を用いた。質量濃度と水溶性無機イオンの比較を行ったところ,質量濃度ではRun 1とRun 2refはほぼ一致した(Run 1/Run 2ref = 0.97, s.d. = 0.16, n = 51)。月別の質量濃度比は2009年9月-2010年2月及び4月は1.00±0.05であったが,その他の月は0.88-0.93であった。粒子体が半揮発性を有する塩化物イオンと硝酸イオンでは,Run 1/Run 2refは冬季に増加,夏季に低下した。粒子体が安定して存在する硫酸イオンのRun 1/Run 2refは,予想に反して0.35-0.82となった。付加的実験により,捕集後にサンプラー内に保存されたフィルター及び粒子に,夜間に前駆物質である二酸化硫黄が溶け込むことによると考えられる硫酸イオンの濃度増加が確認された。全ての季節で,水溶性無機イオンの濃度差の合計は,質量濃度の差を上回っていた。この原因として,恒量化の湿度とフィルター材質の差に起因する湿度の影響が考えられた。
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