Thermal Medicine
Online ISSN : 1882-3750
Print ISSN : 1882-2576
ISSN-L : 1882-2576
26 巻 , 1 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
Original Paper
  • 川島 大介, 曽我 実, 竹内 理香, 松本 英樹, 大塚 健三
    2010 年 26 巻 1 号 p. 1-17
    発行日: 2010/03/20
    公開日: 2010/04/24
    ジャーナル フリー
    腫瘍抑制遺伝子p53は転写因子をコードしており, ヒトの腫瘍では最も多く変異していることが知られている (約50%). この変異p53タンパク質の機能を回復することが一つのがん治療として考えられており, CP-31398, PRIMA-1やグリセロールといったいくつかの化学物質がその機能を回復することが示されている. 我々は本論文で, カルベノキソロン, ペオニフロリン, サリチル酸ナトリウムなどの分子シャペロン誘導剤が温度感受性変異p53タンパク質 (V143A) の機能を回復させることができるかどうかを検討した. p53の機能回復は, 活性型p53によって転写されるWAF1とMDM2の誘導により検出した. H1299/tsp53細胞を非許容温度である37°Cで培養するとWAF1とMDM2の発現は見られない. 温度を37°Cから許容温度である32°Cに移すと6-12時間当たりから徐々にWAF1とMDM2が蓄積してくるが, これはおそらく正常型p53が徐々に現れてきたからである. 37°Cで細胞を分子シャペロン誘導剤で処理しておいてから32°Cに温度を下げると, WAF1とMDM2の発現は3-6時間という早期に見られ, またその発現量もコントロールに比べて多くなった. 分子シャペロンの誘導をケルセチンやHSF1siRNAによって阻害すると, 誘導剤による促進効果は抑制された. また, 長時間 (48時間) にわたりカルベノキソロンによって分子シャペロンを高発現させると, 37°Cにも関わらず正常型p53が蓄積してきた. これらの結果は, 適度に高発現された分子シャペロンは変異p53タンパク質の正しい折りたたみと機能回復を促進することを示唆している.
  • 古谷 愛晴, 石黒 雅江, 岡田 秀親, 小島 清秀, 水谷 潤, 永谷 祐子, 大塚 隆信
    2010 年 26 巻 1 号 p. 19-29
    発行日: 2010/03/20
    公開日: 2010/04/24
    ジャーナル フリー
    高周波温熱療法 (Radiofrequency hyperthermia, 以下RF) は悪性腫瘍の治療法として広く用いられ効果を上げている. 腫瘍の原発巣に対して温熱療法を行った症例の内, 転移巣の縮小を見る症例がある. 本研究ではマウスの担癌モデルを用いて, 局所温熱療法による原発巣および転移巣の抗腫瘍効果を検討したので報告する. 6週齢の雌BALB/cマウスの左下肢に4T1/lucマウス乳癌細胞を接種し, 8 MHzの高周波温熱治療器を用いて週2回, 3週間の温熱治療を行った. また別のモデルとして腫瘍細胞接種後7日目に腫瘍中心部にドキソルビシン (doxorubicin, 以下DXR) を注入し増殖を抑制したモデルを作成した. 原発巣の腫瘍体積および重量の計測と転移巣の評価を組織学的に行う方法と, ルシフェラーゼによる蛍光活性を測定し評価した. 担癌マウスで脾臓の腫大を認めたため, 脾臓細胞内のリンパ球構成をフローサイトメトリーを用いて調べた. 原発巣の腫瘍体積および重量は, RFを行った群とDXRを腫瘍内注入した群で共に抑制されていたが, 肺転移は組織学的評価と蛍光活性を用いた評価とも, RFを行った群でのみ抑制されていた. 今回の実験では肝転移は認められなかった. さらにRFを行った群では生存期間の有意な延長を認めた. 脾臓細胞内のリンパ球構成では, RFを行った群でNK細胞数の有意な増加を認めた. 以上の結果から高周波温熱療法単独で, 腫瘍の縮小および肺転移の抑制効果が見られ, 生存期間も有意に延長を認めた. その機序については脾臓内リンパ球のフローサイトメトリーの結果からNK細胞の関与が最も考えられた.
  • 炭 親良, 金田 英哲, 高梨 雄貴
    2010 年 26 巻 1 号 p. 31-40
    発行日: 2010/03/20
    公開日: 2010/04/24
    ジャーナル フリー
    著者らにより, 強力焦点超音波 (HIFU) や穿刺型電磁RF波/マイクロ波加熱凝固治療などの加熱治療のモニタリングや治療計画, 診断に応用することを目的に, 組織の熱伝導率や熱容量, 熱拡散率などの熱物性を熱源/吸熱源や灌流などの物理量と共に, 非侵襲的に再構成する技法が報告されている. 組織内の温度分布は, 超音波イメージングや核磁気共鳴イメージングを用いて計測される. 加熱や灌流を止めて再構成を行った場合は, 熱物性のみが再構成される. しかし, 関心領域内には熱源が存在することも, また, 灌流を止めることのできない場合もあり, これらの場合においては, 独立した温度分布データを増やすことにより, 熱源及び灌流を同時に再構成することが可能となる. それら熱源及び灌流の再構成の実行可能性がシミュレーションにより実証されている. 方程式の数が多くなることにより灌流の再構成が不安定になることが確認されているが, 著者らの開発したregulationがその安定化に有効である.
Erratum
feedback
Top