Thermal Medicine
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25 巻 , 4 号
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Original Paper
  • 炭 親良, 末包 明夏
    2009 年 25 巻 4 号 p. 89-103
    発行日: 2009/12/20
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    これまでに, 著者らにより, 肝や乳房等のヒトin vivo軟組織の癌病変の鑑別診断を実現するべく, 組織内の歪計測に基づく様々なずり弾性率再構成法が開発されている. 組織内歪は超音波や核磁気共鳴イメージングに基づいて計測される. また, ずり弾性率再構成は, 加熱治療の治療効果として, 組織変性や組織凝固を捉えることにも応用されている. 本稿では, 以前に著者らにより開発されたずり弾性率再構成法が, 関心領域内に存在する静的または動的な圧や力ベクトルなどの任意の力源をずり弾性率と共に再構成できる方法に拡張されている. 元のずり弾性率再構成法では, 力源が関心領域の外に存在する場合においてのみずり弾性率の再構成を可能とするものであった. 本稿では, この力源をずり弾性率以外の慣性や平均垂直応力などと一つにして再構成することも提案されている. ずり弾性率の再構成そのものを目的とした場合には, これにより計算時間が格段に短縮される利点がある. さらに, 本稿では, シミュレーションにより, これらの拡張された再構成方法が強力焦点超音波 (high intensity focus ultrasound : HIFU, 治療だけでなく組織を変形させるためにも使用される) や静的コンプレッサー, バイブレーター, 心臓の動きや脈などの力源をずり弾性率と共に再構成できる潜在能力を有することが確認された. これらの再構成法の拡張により, 深部組織を対象とすることが容易になり, また, 治療実施 (治療超音波放射) 時のイメージングが可能になるなど, ずり弾性率再構成の応用範囲が広範化されるであろう. また, 力源が再構成されることにより, 心臓などの動的やその他静的な組織の培養を含めてactivityを細胞レベルで評価することが可能となり, また, 超音波ビームフォーマーをデザインするためやHIFU治療や組織変形を制御するための点拡がり関数などの評価が可能となろう.
  • 久保 允則, 三本 直樹, 平嶋 拓, 森田 恵美, 新藤 康弘, 加藤 和夫, 高橋 英明, 宇塚 岳夫, 藤井 幸彦
    2009 年 25 巻 4 号 p. 105-114
    発行日: 2009/12/20
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    本論文は, 脳腫瘍温熱治療を目的として, 形状記憶合金製針状アプリケータの加温領域を拡大するための新しい加温方式について述べている. ここで述べられている本研究の目的は, 3 次元人体解剖学的脳モデルを用いて, 有限要素法により加温領域拡大の可能性を示すことである. RF刺入式温熱治療の大きな欠点の一つは, その加温領域が狭いことである. この問題を克服するために, 我々はすでに形状記憶合金製の新しい針電極を開発している. 2 次元MRIおよびX線CT画像から再構成された3次元人体解剖学的脳モデルに本手法を適用した場合のSAR分布がコンピュータシミュレーションによって解析されている. このSAR解析結果によれば, その加温領域は腫瘍部に集中することがわかり, 他の部位に異常加温の発生する可能性のないことが示された.
     これらの結果は, 形状記憶合金製針状アプリケータを用いて提案された本加温方式が脳腫瘍の侵襲的な温熱治療に有効であることを示唆している.
  • 土岐 敦, 高橋 昭久, 橘 俊一
    2009 年 25 巻 4 号 p. 115-122
    発行日: 2009/12/20
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    ハイパーサーミアは42.5度以上の温度下でも正常細胞が生存しているのに対し, がん細胞の多くが死滅することを利用したがん治療の一つであり, 放射線や抗がん剤に対するがん細胞の感受性を高める. しかしながら, ハイパーサーミアは通常のがん治療で施行されることは少なく, 殊に進行肺癌において, ハイパーサーミアと放射線治療や化学療法とを併用した治療は殆ど行われていない.
     我々は2008年4月までに60症例を超える肺癌患者にハイパーサーミアを施行してきた. これらの患者のうち, 当院で診断し, 初期治療から標準化学療法とハイパーサーミアを併用した非小細胞肺癌患者は30症例あった. このレポートで, この30症例の治療成績を報告する.
     年齢は39-83歳であり, 平均年齢は65.1歳であった. 男性が28例であり女性が2例であった. 組織型は腺癌が21例, 扁平上皮癌が9例であった. Stage分類ではStage IIBが1例, IIIAが3例, IIIBが11例, IVが15例であった. 施行された化学療法はPAC+CBDCA, MVP (VNR+MMC+CDDP), CDDP+GEM, CDDP+CPT-11, およびTS-1単剤投与であった. ハイパーサーミアはそれぞれの抗がん剤の投与に併せて施行された. これらの治療は特に大きな副作用を起こすことなく, 安全に施行することができた. この標準化学療法とハイパーサーミアの併用療法の生存率は1年生存率89%, 2年生存率64.5%, 3年生存率32.5%であり, 生存期間中央値は27ヶ月と非常に良好なものであった.
     これらの結果から, 標準化学療法とハイパーサーミアの併用療法は肺癌の生存率を上げる可能性が大であり, 肺癌の標準治療の一つとして行われることを推奨する.
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