日本顎関節学会雑誌
Online ISSN : 1884-4308
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24 巻, 2 号
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原著
  • 河島 睦, 小倉 直美, 阿久津 美和, 伊藤 耕, 近藤 壽郎
    2012 年 24 巻 2 号 p. 91-99
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/10/02
    ジャーナル フリー
    顎関節において比較的高頻度に発症する病態に顎関節内障と変形性顎関節症がある。両疾患とも滑液中からinterleukin(IL)-1βとtumor necrosis factor(TNF)-αが検出される。本報告では,顎関節内障患者滑膜由来の培養ヒト顎関節滑膜細胞(滑膜細胞)にIL-1βまたはTNF-α単独刺激に加え,IL-1β+TNF-α共刺激を行い,IL-6 cytokine familyおよびそのreceptorの遺伝子発現を測定し,各刺激間で比較検討した。無刺激滑膜細胞と比較し,滑膜細胞は各刺激によりIL-6,leukemia inhibitory factor(LIF)遺伝子発現上昇およびタンパク質産生量の増加が認められた。その上昇率および増加量はIL-1β+TNF-α共刺激時で最も高かった。また,滑膜細胞ではgp130,LIF receptor, oncostatin M receptor,IL-11 receptor遺伝子が恒常的に発現していた。IL-6およびLIFは関節の炎症および組織破壊に関与するとされており,顎関節滑液中にIL-1β,TNF-αが共存する場合,滑膜細胞はIL-6やLIFの産生がさらに上昇することが示唆された。
症例報告
  • 森 悠衣, 赤峯 勇哲, 後藤 基宏, 窪 寛仁, 大西 祐一, 岩崎 春美, 中嶋 正博, 覚道 健治, 秋山 広徳, 四井 資隆, 清水 ...
    2012 年 24 巻 2 号 p. 100-104
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/10/02
    ジャーナル フリー
    患者は38歳女性で開口障害と左側顎関節痛を主訴に来院した。MR画像にて両側非復位性円板前方転位,closed lockを認め,パンピングマニピュレーション施行後,一時的には十分な開口距離を得られ関節痛も軽減したが,関節痛が増悪し,開口距離の低下と電撃様の関節痛と前頭部の自発痛を呈した。そこで洗浄療法,スプリントのさらなる咬合挙上,ヒアルロン酸ナトリウム連続注入療法を施行するも奏功せず,関節円板の癒着を疑い,鏡視下剥離授動術を施行した。両側に滑膜炎と癒着病変を認め,特に左側は著明であった。術後開口訓練を積極的に行い,術後7週で開口距離53 mm,術後3か月には電撃様関節痛が完全に消失した。術後より不安症状が強く,心療内科での加療後不安症状の軽減に伴い関節痛も軽減した。
  • 高原 楠旻, 今井 英樹, 中川 聡, 角倉 可奈子, 小村 健
    2012 年 24 巻 2 号 p. 105-110
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/10/02
    ジャーナル フリー
    今回われわれは,陳旧化した片側性顎関節脱臼に対し,関節隆起形成と上関節腔線維性癒着の剥離によって整復が可能となった1例を経験したので,その概要を報告する。患者は78歳,女性。1か月以上持続する閉口障害のため紹介にて来院した。右側顎関節前方脱臼を認め,非観血的整復を行うも整復不能であったため,全身麻酔下に顎関節観血的整復を行った。現在,脱臼の再発を認めておらず,良好な顎運動が得られている。
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