目的:両側筋突起切除術を施行した両側筋突起過長症患者の開口訓練に山形大学型開口訓練器(以下開口訓練器)を試用したので報告する。
症例:患者は32歳,女性。開口障害のため2011年6月に当院を受診し,X線CT検査により両側筋突起過長症と診断された。同年9月当院において同切除術を施行した。術直前の開口距離は32 mm,術直後は46 mmであった。
術後1週目から開口訓練器を用いた開口訓練を行った。メニューは最大開口位を10秒間保持することを3回繰り返し,それらを1セットとして,1日5セット行った。術後2か月目からは1セットを5回に増やし,さらに前方運動を追加した。
結果:退院時の開口距離は訓練前20 mm,訓練後は25 mmであった。開口距離は,術後3か月目には訓練前後ともに32 mmとなった。術後19か月目で訓練前後ともに38 mmであった。
結論:本開口訓練器では,上下顎の左右小臼歯間の多数歯が常に接触することにより,安定した作用点の維持と,ほぼ均等な力の伝達が可能である。さらに使用者の握力の調節により両側および片側の開口訓練が可能となる。本開口訓練器を両側筋突起切除術後の開口訓練に試用したところ,十分に使用に堪えたので報告した。
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