日本顎関節学会雑誌
Online ISSN : 1884-4308
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25 巻, 2 号
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症例報告
  • 藤田 温志, 鈴木 豊典, 新谷 悟
    2013 年 25 巻 2 号 p. 81-86
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/15
    ジャーナル フリー
    患者は認知症,パーキンソン病をもつ72歳の女性で,3か月以上も持続する閉口障害のため紹介にて来院した。パノラマX線写真,CT画像,MR画像にて両側顎関節前方脱臼が認められ,3週間の非観血的整復を行うも整復不能であったため全身麻酔下に関節隆起切除術を施行し,術後3か月間に及ぶ下顎牽引を行った。その後,顎運動に改善が認められ,脱臼の再発は認められない。
  • 村上 拓也, 越沼 伸也, 肥後 智樹, 山本 学
    2013 年 25 巻 2 号 p. 87-91
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/15
    ジャーナル フリー
    下顎骨関節突起骨折において,コントラアングルドライバーを用いた口内法による観血的整復固定術を施行した1例を報告した。顎顔面領域における骨折のなかでは下顎骨骨折が最も多くみられる。観血的整復固定術を行うには,口外法と口内法があるが,口外法は,顔面神経麻痺や皮膚瘢痕などのリスクがある。一方,口内法は皮膚切開,皮弁挙上の必要がなく,顔面神経麻痺や皮膚瘢痕が生じない。術野の明示は口外法に比較するとやや困難となるが,侵襲を最小限に抑えることが可能であり,今回の症例においては術後の機能障害もなく良好な結果となった。以上のことから,骨折部位が関節突起基底部より低位である症例では,コントラアングルドライバーを用いた口内法による観血的整復固定術は有用な方法であると考えられた。
  • 金澤 香, 中山 英二, 柴田 考典, 永易 裕樹, 有末 眞, 淀川 慎太郎, 飯野 光喜
    2013 年 25 巻 2 号 p. 92-96
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/15
    ジャーナル フリー
    目的:両側筋突起切除術を施行した両側筋突起過長症患者の開口訓練に山形大学型開口訓練器(以下開口訓練器)を試用したので報告する。
    症例:患者は32歳,女性。開口障害のため2011年6月に当院を受診し,X線CT検査により両側筋突起過長症と診断された。同年9月当院において同切除術を施行した。術直前の開口距離は32 mm,術直後は46 mmであった。
    術後1週目から開口訓練器を用いた開口訓練を行った。メニューは最大開口位を10秒間保持することを3回繰り返し,それらを1セットとして,1日5セット行った。術後2か月目からは1セットを5回に増やし,さらに前方運動を追加した。
    結果:退院時の開口距離は訓練前20 mm,訓練後は25 mmであった。開口距離は,術後3か月目には訓練前後ともに32 mmとなった。術後19か月目で訓練前後ともに38 mmであった。
    結論:本開口訓練器では,上下顎の左右小臼歯間の多数歯が常に接触することにより,安定した作用点の維持と,ほぼ均等な力の伝達が可能である。さらに使用者の握力の調節により両側および片側の開口訓練が可能となる。本開口訓練器を両側筋突起切除術後の開口訓練に試用したところ,十分に使用に堪えたので報告した。
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