地理空間
Online ISSN : 2433-4715
Print ISSN : 1882-9872
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選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
  • 主体間の社会関係の影響に着目して
    加藤 悠太郎
    2024 年 17 巻 1 号 p. 1-19
    発行日: 2024/06/20
    公開日: 2025/02/07
    ジャーナル オープンアクセス
    2011 年3 月に発生した東日本大震災では,東北地方を中心に多くの人的・物的被害が生じた。本研究では,復興過程における主体間の社会関係に着目し,それが商業地・住宅地の空間構造に与える影響を明らかにすることを目的とする。研究対象地域である陸前高田市は,津波被害を受け,仮設住宅や仮設店舗が高台や郊外に設置されたことで,商業地・住宅地の一時的な移動が生じた。しかし,長期的な復興を検討する段階になると,商業者や市などの関係者は,既存の紐帯を活用したり新たに構築したりするようになり,これによって地域のレジリエンスを発揮し,新たな商業地の再建に成功した。一方で,住宅地は津波に対する安全性のために高台に移動した。そのため現在では,商業地と住宅地との間に空間的な分離が発生し,震災前とは異なる空間構造が形成されることとなった。
  • 秋元 菜摘, 小佐野 淳平
    2024 年 17 巻 1 号 p. 21-33
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/02/07
    ジャーナル オープンアクセス
    静岡県西部に位置する浜名湖では,自然を活かした観光振興やアプリケーションなどの利活用が目指されている。本研究では浜名湖弁天島エリアで,観光Web サイトやパンフレットに掲載されていない潜在的観光資源を再発見し,信頼できる背景地図上に提示することで,地域・環境学習に資する観光防災WebGIS を開発した。WebGIS の開発においては,資料調査と現地調査から得られた自然や文化に関わる潜在的観光資源(例えば,歴史的な句碑や地域の水産資源の養殖風景など)を含めるとともに,観光防災に対応するためにハザードマップや避難施設などを一括表示する機能も搭載した。現地でヒアリング調査を含む評価実験を行った結果,観光防災WebGIS を用いることで,利用者が地域や環境について理解を深めると共に,防災情報についても関心を高めることができることが示された。今後は地域の関係者と共に内容を改善することで,地域・環境学習により資することができると考えられる。
  • 北海道網走市を事例に
    渡邊 瑛季
    2024 年 17 巻 1 号 p. 35-49
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/02/07
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は,スポーツ合宿が盛んな北海道網走市を事例地域として,地方都市の宿泊需要に与えるトップアスリート層を主たる顧客とするスポーツ合宿の影響を考察する。網走市は,団体観光者数の減少に伴う新たな宿泊需要の獲得のため,1988 年から全国に先駆けてスポーツ合宿誘致政策をとった。その初期に来訪したトップアスリート層は網走市と宿泊施設に対し,トレーニング場所,宿泊,移動手段の面で一般の観光者とは異なるサービスと支援を求めた。両者はこれらに対応した結果,トップアスリート層が堅実な団体リピーターとなり,宿泊施設の客室稼働率の上昇に寄与した。また,地域を巻き込んだ高水準のサービスが創造され,更なる合宿需要を獲得するに至った。このことは,スポーツ合宿の誘致が,団体旅行を中心とした網走市の観光産業の構造を存続させていることを意味する。
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