教育心理学研究
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17 巻, 3 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 多変量解析法による
    本明 寛, 織田 正美
    1969 年 17 巻 3 号 p. 129-143
    発行日: 1969/09/30
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究の第1部では, 工業高校生203人を対象として. その知的能力, 興味, 向性 (外向性-内向性), 作業適性などの諸特性を合計25の下位尺度からなる各種の心理検査によって把握し, それらの結果に7教科の学業成績を含めたデータ (合計32個の変量) を主成分分析法 (principal component analysis)によって解析した。
    その結果,「理数科的思考」,「一般的適性」,「理数科的興味-文科的興味」など6つの主要な成分が抽出され, 第6成分までで全情報 (32個) の約90%を代表することがわかり, 第1~第3成分の成分得点にもとついて個々の生徒の諸特性の総合的評価と類型化を試みた。
    本研究の第2部では, 主成分分析の結果明らかにされた7教科の学業成績とその他の25個の変量との関係に関するいくつかの事実を参考にして, 知的能力, 興味, 向性, 作業適性など合計10個の変量の合成値によって学業成績の良否がどの程度判別できるかを判別分析法 (discriminant analysis) によって検討した。
    その結果, これらの合成値は数学と専門科目の成績に対して比較的高い判別力をもつが, 国語, 社会に対する判別力は低いことが明らかにされた。また判別における各変量の相対的影響度 (判別係数) をみると, いずれの教科の成績に対しても外向性がマイナスのウエイトをもつこと, および作業適性がプラスのウエイトをもつことが認められた。
  • 塗師 斌
    1969 年 17 巻 3 号 p. 144-155
    発行日: 1969/09/30
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    対人態度場面における「あばたもえくぼ」的現象が, 従来の態度構造理論や態度変容理論によって説明されるものであり, かつそれに対して非常に示唆的なものを与えているのではないかという観点に立ち, 学級集団構成員をとりあげて, その中で「好き」「嫌い」という感情的関係を有する対象人物に対する属性認知が価値によって大きく規定され, かつ感情的成分と認知的成分とが一貫性を保っている様相を明らかにしようとした。その際, 属性軸と価値軸との平面に四辺形的に表わされる24の対人形容語構造 (Fig. 1) を仮定し, これらの各形容語を対語にして得られるA, B, Cという三種の尺度が, それぞれ価値尺度, 価値と属性の混入尺度, 属性尺度となっているかどうか (仮説1) をPrincipal-Varimax法を用いて数量的に吟味し, その結果仮説1の立証された14構造の尺度を用いて, 被評定者をL群とDL群に分けた場合に,〔(1) 価値尺度AにおいてはL群は価値的に+, DL群は-の評定がなされ, 両群間の平均評定値の差は大きくなり,(2)尺度BとCにおける評定値間の関係は, L群ではBの方がCより高く, DL群ではその逆になり,(3) A, B, C間の評定パターンが, L群ではA B C, DL群ではA B Cとなる〕(仮説3) かどうかを検証した。その結果, 全般的に仮説3は立証されたが, ただ (3) のL群については, 属性の手がかりが評定をより価値的にしB A Cという仮説とは異った結果が得られた。
    なお形容語ハとニを対語にして得られる尺度DがAと対応関係をもつ価値尺度である (仮説2) かどうかも検討されたがその結果は仮説を立証するものであった。討論のところでは, こうした三種の尺度設定とOsgoodらのSemantic Differential Scale, EdwardsのSocial Desirabilityとの関連および対人属性認知の基本的次元についての考察がなされた。
  • 普通児との比較において
    田中 敏隆
    1969 年 17 巻 3 号 p. 156-164
    発行日: 1969/09/30
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 図形認知において精神年令を単位とした精薄児は, 生活年令を単位とした普通児に比較して, どの程度の遅滞と促進を示すかを研究することにあった。課題は, 菱形の模写, 類同視による方向認知, 図形分節 (重なり事物図形, 重なり幾何学図形, 埋れた図形) である。精薄児の精神年令は, 5才ないし6才である。普通児の生活年令は, 4才から8才にまたがっている。普通児の結果は, 筆者の前諸研究からのものである。
    (1) 菱形模写のユークリッド表現において精薄児MA6才は, 普通児CA5才よりも明らかにすぐれている。
    (2) 図形類同視における方向認知において精薄児MA6才は, 普通児CA6才よりも明らかな劣りが, そして, さらに普通児CA5才よりも劣りの傾向がある。
    (3) 図形分節における重なりの事物図形において精薄児MA5才は, 普通児CA5才よりも劣り, 普通児CA4才よりもすぐれている傾向が認められる。重なりの幾何学図形において精薄児MA5才は, 普通児CA5才よりも明らかな劣りがあり, 普通児CA4才との間に差がない。埋れた図形において精薄児MA5才は, 普通児CA5才, CA4才よりも明らかな劣りが見出される。
  • 文沢 義永
    1969 年 17 巻 3 号 p. 165-181
    発行日: 1969/09/30
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
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