教育心理学研究
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24 巻, 1 号
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  • 情報的機能と記憶機構
    野村 幸正
    1976 年 24 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 1976/03/30
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    言語強化の情報的機能を明確にするために, 実験1では, 直後強化と延滞強化とを比較し, 後者の有効性を明確にした。そして, この事実をBuchwald (1963) の理論を確認するものと解釈した。さらに, 実験IIでは, 情報機能を学習すべき項目に関する情報と正反対への情報とに分離し, 前者の有効性を対再生方式による対連合学習事態で検討した。そして, この情報の効果は課題要求によって異なり, さらにまた, その効果は学習初期ではRの, 学習後期ではWの言語強化を受ける項目数によって変化することを明確にした。最後に, 直後強化か延滞強化かに関する問題を, 短期貯蔵と長期貯蔵との関連から検討した。
  • 因子分析モデルによる反応歪曲の検出
    辻岡 美延, 藤村 和久
    1976 年 24 巻 1 号 p. 8-16
    発行日: 1976/03/30
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    1 筆者らのYG性格検査に関する確認的因子分析に基づいて, YG12尺度のプロフィールの組成を再現するための因子分析モデル公式が考案された。
    2. このモデル公式によっていくつかの個人プロフィールが説明され, その際, SD因子群による反応の歪曲度をあらわすFS (Faking Score) や本来的気質因子の機能する成分の大きさを示すMS (Model Score) および誤差成分の大きさの指標となるAMS (AntiModel Score) などが定義され, それらを評価する公式が考案された。
    3. このモデル公式のあてはまりの良さがAMSや独自因子の得点の分布により検証された。
    4. 標準状況12尺度の情報のみから, 歪曲成分をとり除いた真の気質因子成分のプロフィールが高い精度で求められることが証明された。
    5. このモデル公式による個人のYGプロフィールの分解と合成による, 個々人のYG検査結果の分析的総合的診断方法が考案され, この方法の将来における一般利用への可能性と留意事項が検討された。
    6. 本研究は明示的に, 続らによるYG性格検査の批判的研究 (1970, 1971) への反証となっている。すなわち, YGプロフィールは少なくとも気質7因子構造空間での事象であることが明らかにされた。
    7. SD因子の順逆機能についての注意が喚起された。(5) 8. 個人の質問項目への反応setの素朴さを測定する指標として一致得点 (CS) が提案された。
    9. 3種のSD因子を評価するための短縮版の作成が提案された。
  • 特に体積と重量の概念的未分化について
    森 一夫
    1976 年 24 巻 1 号 p. 17-25
    発行日: 1976/03/30
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    物質観の発達をとらえるにあたって, まず幼児の物質観は素朴実在論的物質観であると措定する。これは, 外界に実在する物質を知覚されるとおりのままの固まり (mass) としてみて, 物質の内的構造の把握にまでは至らないから,(1) 物質の表面的属性だけで判断するために重さの概念は見かけの大きさに従属していて, したがって重量と体積とは概念的に未分化である。(2) 自らの意識に反映されたとおりのままの物質としてとらえているため, 欲求の度合に応じて物質の大きさの知覚に差異が生じる。このような基本的仮説に基づいて実験を行ったところ, 次のような知見が得られた。
    1. 3才児と4才児では大きい球を重いと判断する傾向が認められる。つまり幼児に関する限り, 視覚が介在すると反Charpentier効果ともいうべき傾向が認められる。これは幼児の場合, 重量が見かけの体積に依存しそいるため, Charpentier効果に優先してこれと逆の結果が現われたものであろうと考えられる。
    2. 4・5才児にpositiveな価値をもつ刺激としてビスケットと,偽ビスケットの2次元的形態の大きさを評価させたところ, 後者よりも前者の方を大きく知覚している。また4・5才児ともビスケットを過大視している。さらに4・5才児に同一標本を, 一方ではpositiveな刺激として「チョコレート」と教示し, 他方のグループではnegativeな刺激として「苦い薬」と教示して3次元的形態の大きさを評価させたところ, 前者の方が後者の場合よりも大きく知覚している。また, 前者の場合には刺激体を過大視しているが, 5才児では後者の場合を実物よりも過小視している。
    3. 「大きい物体は重く, 小さい物体は軽い」と判断している4才児が, 体積と重量との量的矛盾関係, すなわち「大きいが軽く, 小さいが重い」ことを知覚的体験して, 「大きい」「小さい」「重い」「軽い」という言語でこれを表現できた場合, もはや見かけの体積 (かさ) に惑わされずにかなり正確に重さの弁別が可能になる。そして, このとき重さの弁別に際してCharpentier効果が認められる。
  • 佐藤 正二, 前田 健一
    1976 年 24 巻 1 号 p. 26-34
    発行日: 1976/03/30
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究は選択的注意仮説の検討という観点から, 子どもの偶発学習におよぼす中心刺激と偶発刺激との空間的距離およびカテゴリー類似性の効果を発達的に検討するために行われた。カテゴリー類似性の要因は, 中心刺激と偶発刺激に同じカテゴリーに属する事例を用いる群 (類似群) と同じカテゴリーに属さない事例を用いる群(非類似群)を設定することによって操作された。また空間的距離の要因は, 中心刺激と偶発刺激との空間的距離が接近している群 (接近群) と分離している群 (分離群) を設定することによって操作された。これら2つの要因の組合せによって4つの群を構成し, 各群ごとに幼児, 小学2年生, 小学5年生それぞれ8名ずつを割りあてた。まず各被験者に大きさの異なる2つの線画が対にされていることを練習用カードを用いて教え, 大きい線画 (または小さい線画) だけをたくさん覚えるように教示した。その後, 中心刺激および偶発刺激となる16の線画を提示ボードで同時に提示し, これを4回繰り返した後で中心刺激と偶発刺激の想起が行われ, 続いて手掛かり想起が行われた。
    結果は次の通りである。すなわち, 中心学習量はどの群においても常に小5が幼児や小2よりも多く, また群別にみるといずれの群間にも差はなかった。偶発学習量は接近一類似群で小5が幼児や小2よりも有意に多く, 分離一類似群, 分離一非類似群, 接近一非類似群では各年齢を通じてほぼ一定であった。これらの結果から, 中心刺激と偶発刺激との刺激接近も, カテゴリー類似性を高めて課題統合を行うことも, 共に子どもの偶発学習を促進させる効果をもつけれども, 接近一類似群において見出された偶発学習の年齢差を規定している要因はカテゴリー類似性であることが明らかにされた。
    カテゴリー類似性による統合課題である接近一類似群の偶発学習に年齢差が生じたという結果は, 選択的注意説を主張したHagenらの結果と一致しない結果であった。そこで, 過去の諸研究において偶発学習に年齢差がなかったのは, 年長になるほど選択的注意の方略を使用するからでなく, 年長児にとっても学習を促進させるための方略を使えないような課題が用いられていたからであると解釈された。そして最後にどの条件においても中心学習に有意差がなかったという結果から, 中心学習が偶発学習とは独立の過程によって生じることを指摘した。
  • 明田 芳久
    1976 年 24 巻 1 号 p. 35-44
    発行日: 1976/03/30
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    児童の道徳判断の発達に関するPiagetの研究, 態度変化に関する諸研究をふまえて, 自己と逆の道徳判断をロールプレイングによって他者に表明した場合.
  • 母親の子どもに対する行動と態度の一貫性の検討-
    渡辺 恵子, 柏木 恵子
    1976 年 24 巻 1 号 p. 45-56
    発行日: 1976/03/30
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    1. 本研究は, 幼児に対する母親の養育行動と養育態度の一貫性を検討する。すなわち, 母親の積木分類課題における教授スタイル (行動) と面接・質問紙法による教育観 (態度) の対応関係を, 子どもの統制法および子どもの反応に対するフィードバックの方法について分析検討する。
    2. 教授スタイルとしての統制法については, 間接統制タイプ, 間接かつ直接統制タイプ, 直接統制タイプ, 中統制タイプおよび弱統制タイプの5つのタイプを定義し, それぞれの母親をタイプ分けした。フィードバックの方法については, 肯定タイプ, 肯定かつ否定タイプ, 否定タイプ, 弱タイプの4つのタイプを定義し, それぞれの母親をタイプ分けした。
    3. 教育観の指標としては, 統制のタイプに直接関連する指標として, 言語環境, 直接教授, 内発性重視の3指標と, その背景にある指標として, 親の関心介入, 教育参与, 親要因重視対素質要因重視, 発達期待の10指標の計17指標を用いることにした。また, フィードバックのタイプに関連する指標として, 肯定強化, 否定強化, 無強化 (2), 言語による強化 (2) の計6指標を用いることにした。
    4. 教授スタイルと教育観の一貫性は, フィードバックの方法より統制の方法において, より顕著であった。教スタイルと一貫性のみられた統制の方法の指標は, 言語環境, 直接教授, 内発性重視, 親の関心・介入, 親要因重視および全般的期待水準である。フィードバックの方法では, 言語による強化の指標においてフィードバックのタイプと若干対応がみられた。
  • 速水 敏彦
    1976 年 24 巻 1 号 p. 57-61
    発行日: 1976/03/30
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    YG性格検査の下位尺度, G尺度とD尺度について再検査効果の生起の有無をみようとした。また, この際, 再検査効果の大きさに影響を及ぼす要因として, 擬装項目の多少と社会的望ましさ傾向をとりあげた。検討の結果, 主に次のようなことが指摘された。
    1. 内面的項目からなり, しかも再検査の際, 再認率の高いD尺度では有意な再検査効果が認められたが, 外面的項目からなり再検査の際, 再認率の低いG尺度では, 有意な再検査効果は認められなかった。また, D尺度では, 2回目の内部一致性の方がやや高まる傾向がみられた。
    2. 再検査効果の大きさに影響すると考えられた, 擬装項目の多少, 社会的望ましさ傾向の要因は2つとも関連が見出されなかった。
    しかし, ここでの再検査効果の検討方法は不十分なものであるので, 今後, どのような方向で研究をすすめていくのかが討論された。
  • 1976 年 24 巻 1 号 p. 68-
    発行日: 1976年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1976 年 24 巻 1 号 p. 68a-
    発行日: 1976年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    Vol. 23 (1975) No. 4 p. 206-210
    修正箇所:その他 左側
  • 1976 年 24 巻 1 号 p. 68b-
    発行日: 1976年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
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