この研究は, G. S. R.による情緒測定の応用的方法として, テレビドラマを心理的刺激条件としたとき, 被験者を集団的に測定して, その結果を考察したものであつて, G. S. R.のgroup measurementのひとつの試みとして妥当な資料がえられるかどうかを検討したのである。
みいだされた結果を要約すると次のようになる。
1テレビドラマ視聴時における個人被験者のG. S.R.を測定し, その記録を反応値によつて整理した結果, このドラマ内容の刺激因子に対応する反応として, 被験者の情緒表出をG. S. R.によつてとらえることができた。
2個々の被験者の皮膚電気抵抗値を, 直流電気抵抗とみて, これを並列に接続した回路構成によつて, 合成抵抗値を1人の被験者のそれと等しくし, 集団的にG.S. R.を測定した場合, R値を指標として記録を分析するならば, 妥当な資料として集団測定の記録を分析することができた。
3テレビドラマを刺激因子として, 上述の集団測定方式によつて集団G. S. R.を測定し, その記録をR値によつて集計整理した結果, 刺激因子に対応する被験グループの, 集団的情緒表出をとらえることができた。被験者個々の反応波自体のパターン, 発現時点, 反応時, 潜時等にはそれぞれ個人差があるが, R値による集計の結果, この指標が妥当かどうかを, 実験後に, 同時記録したテープを再生聴取させて再検討した結果, ドラマの刺激因子と集団G. S. R.値には対応があると判断された。
4したがつて, テレビ, 映画等の視聴時における感動を集団的に分析したり, 宣伝, 広告等の効果を集団的に判定する場合, 集団G. S. R測定の記録をRによつて整理して, 心理的な刺激因子を明らかにしようとする試みは, 妥当な方法であると判断してよい。
最後に, この実験研究に当たつて, 奥田教授, 狩野教官の御指導御助言に導かれたことを感謝していると同時に, 教室の諸学兄の御協力を謝したいと考えます。
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