視認時間を分析する目的で,ハーバード式タキストスコープに改良を加えて,350 luxの照度のもと,ランドルト環による5 mにおける視認・明視時間を求めた。視標は0.1~1.0までの100 msec刻みで瞬間提示した。被検者は大学・高校生(学校視力検査において裸眼視力が左右とも1.0を有する者)の75名である。実験結果が1.0に満たなかった眼,著しく明視時間の延長を示す眼は除外して分析し,次の結果が得られた。
1)視認時間は200~300 msecを要し,ぼけ像のすべて,明視像の一部を構成する。
2)明視時間は視標の縮小に伴い増加を示し,視標1.0(視角1分)では1,000~1,500 msecを必要とし,日常視における調節時間および調節微動に対応すると推察される。
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