視覚の科学
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43 巻, 3 号
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総説
  • ―茶色い光は知覚されない―
    吉澤 達也
    原稿種別: 総説
    2022 年 43 巻 3 号 p. 57-61
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/01/06
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    色覚は網膜上の錐体細胞からの情報が反対色メカニズムによって処理されることによって生起される。では対象の色の見えは,この神経メカニズムを介してその対象からの光のみにより決定されているのであろうか。

    普段我々が色を知覚する状況では物の表面からの反射光に対する知覚が多い。一方で,光源に対しても色の知覚が生じる。もし,両者が同じ分光エネルギー分布を持つ光であれば,錐体細胞にとってはどちらの場合も同じである。そしてその情報のみで色の見えが決まっていれば,両者の間に差はない。しかし,私たちは対象が発光しているのか,それとも物体からの反射光として対象を知覚しているのか,その違いを多くの場合区別できている。この違いは色の見えのモードという概念で説明できることが知られている。ここでは,この色の見えのモード生成機序と物の表面を知覚させる質感に関する近年の知見を紹介する。

原著
  • 小野 喬, 高田 慶太, 徳田 祥太, 向坂 俊裕, 森 洋斉, 子島 良平, 岩崎 琢也, 宮田 和典
    原稿種別: 原著
    2022 年 43 巻 3 号 p. 62-69
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/01/06
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    目的:全層角膜移植(Penetrating Keratoplasty: PK)術後における視機能の長期的な変化を検討すること。

    対象と方法:水疱性角膜症に対するPKの術後に角膜形状解析を経時的に行った症例を対象とした。術後10年までの角膜形状解析におけるフーリエ解析の各成分を後ろ向きに解析した。

    結果:124眼112人(年齢:71.3 ± 11.2歳)が対象となった。10年間で拒絶反応は9.7%,移植片不全は30.6%に生じ,縫合糸の抜糸を39.0%で行った。角膜中心6 mm径のフーリエ解析において,球面成分は術後4年以降も緩やかに増加した。一方で,正乱視成分や非対称成分は術後早期から安定して推移していた。高次不正乱視成分は,術後早期に減少し,術後1年以降で大きな変動は認められなかった。

    結論:PK術後長期にわたって角膜の球面性は変化し続ける。フーリエ解析による角膜形状解析は,角膜移植術後の角膜乱視の評価において有用であると考えられた。

  • 中塚 秀司, 半田 知也, 伊藤 博隆, 渡邊 智人, 杢野 久美子
    原稿種別: 原著
    2022 年 43 巻 3 号 p. 70-74
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/01/06
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    目的:弱視患者のコントラスト感度における波長制御レンズ(NeoContarst®レンズ)装用の効果について検討した。

    方法:対象は弱視治療歴のある不同視弱視患者12名(9.2 ± 4.1歳)である。コントラスト感度検査にはCSV-1000HGTi(Vector Vision社)を用いて,健眼屈折矯正下,弱視眼屈折矯正下,弱視眼屈折矯正+NeoContrast®レンズ装用下の3条件下で測定した。

    結果:弱視眼屈折矯正+NeoContrast®レンズ装用下のコントラスト感度は弱視眼屈折矯正下のコントラスト感度より有意に高値を示し(p=0.01),健眼屈折矯正下のコントラスト感度の近くまで向上した。

    結論:NeoContrast®レンズ装用により弱視眼のコントラスト感度の向上に寄与できる可能性が示唆された。

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