視覚の科学
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32 巻, 3 号
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巻頭言
総説
  • 田中 靖人
    原稿種別: 総説
    2011 年 32 巻 3 号 p. 51-58
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/11/22
    ジャーナル フリー

    視覚神経系を研究するときに,どのようなモデルに基づき,どのような視覚刺激を使うか,というのは視覚科学の中心課題の一つである。視覚刺激には,バー刺激,サイン波刺激,ランダムドット刺激,テクスチャー刺激,色刺激,運動刺激,文字刺激などがある。これらの刺激に共通する情報要素はなんだろうか?どのような情報理論に基づきこういった視覚情報を記述できるであろうか。その答えは,歴史的にはガボール変換とその応用に見い出された。この論文ではこうした経緯をレビューする。まずガボール変換を数学的に定義した後,こうした変換が実現する視覚的要素(方向,空間周波数,位置など)で構成されたガボール視覚刺激を定義する。更に,こうしたガボール刺激の神経科学における役割を論じ,最後に視覚科学における応用手法について解説する。

原著
  • 広川 英一
    原稿種別: 原著
    2011 年 32 巻 3 号 p. 59-66
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/11/22
    ジャーナル フリー

    目的:術後の倒乱視化群と術後直乱視群の遠見裸眼視力を比較する。

    方法:2008年に屈折矯正術を受け自動屈折計で術前に直乱視(軸=0±15°),かつ術後3カ月で乱視度が−1 diopter(D)の直乱視171眼と倒乱視(軸=90±15°)124眼の遠見裸眼対数視力(logMAR)を求め,両群の最良視力を比較した。

    結果:直・倒乱視群は等価球面度がそれぞれ(−0.25±0.5D),(+0.25±0.5D)のとき,最良視力を示した。最良のlogMAR(平均,95%信頼区間,標本数)はそれぞれ直乱視(−0.152,−0.170~−0.133,106),倒乱視(−0.168,−0.190~−0.146,60)で統計的有意差はなく(p=0.294),臨床的差も無視できる。

    結論:術後の直・倒乱視群間で最良到達遠見裸眼視力は同じである。直・倒乱視間で最良視力が得られる等価球面度は異なる。

  • 藤田 徹也, 中嶋 芳雄, 高松 衛
    原稿種別: 原著
    2011 年 32 巻 3 号 p. 67-74
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/11/22
    ジャーナル フリー

    Web Content Accessibility Guidelines(WCAG)2.0輝度コントラスト比の達成基準を評価するため,World Wide Web(Web)セーフカラーの分光放射輝度を測定し,日本工業規格(JIS)の年代別分光視感効率より年代別輝度を計算した。理論値との輝度比は,加齢により緑・青系統のhue, saturation, value(HSV)色相領域では減少することが明らかとなり,とくに50歳代以降において青(HSV色相240°)近傍における低下が顕著であった。また黒に対する年代別輝度コントラスト比を求めた結果,輝度コントラスト比増減率の分布は加齢により分散傾向を示し,70歳代では140色中47色が10%以上の減少率となった。WCAG 2.0は加齢による感度低下を考慮した場合でも,適合条件が変化する色が少ないことから,適切な輝度コントラスト比を確保している。ただし,青近傍の領域の色を使用する場合は,輝度コントラストの減少に注意が必要である。また高齢者および低視力者に対して情報提示を行う場合は,黒に対してHSV輝度204以上の色の使用が適切であることが明らかとなった。

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