堆積学研究
Online ISSN : 1882-9457
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78 巻, 2 号
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カバーストーリー
研究報告
  • 松尾 遼, 小松 俊文, 松田 博貴, 前川 匠, 稲田 稔貴, 高嶋 礼詩, 山田 敏弘, マーク ウィリアムズ, グエン ダック フォン ...
    2020 年 78 巻 2 号 p. 55-75
    発行日: 2020/02/25
    公開日: 2021/10/26
    ジャーナル フリー

    中部ベトナムのクアンビン省には,フラニアン·ファメニアン(F-F)境界を挟むソムニャー層が分布している.模式地におけるソムニャー層(Xo 1〜39)は,炭酸塩岩類からなり,層厚は約6.3mで,生物片に富む明灰色のグレインストーンとワッケストーンからなるユニットI (Xo 1〜13)と生物片に富むパックストーンとワッケストーンが優勢なユニットII (Xo 14〜28),化石が乏しく弱い平行葉理が発達する灰色〜暗灰色の泥灰岩で特徴づけられるユニットIII (Xo 29〜39)から成る.ユニットIIでは,腕足類やアンモノイド,オウムガイ,二枚貝,テンタキュリトイド,ウミユリ,アクリタークなどが産出する.フラニアン階の年代指標として重要なコノドントのPalmatolepis linguiformisは,ユニットIIの上部に含まれている.ユニットIIIからは,ファメニアン階最下部を示すPa. triangularis帯に特徴的なPa. delicatulaが産出する.安定炭素同位体比の2つの顕著な正の偏移が確認でき,下位の偏移はユニットIのPa. rhenana帯にピークがあり,上位の偏移はF-F境界の直下(Xo 28)にピークがある.生層序のデータに基づくと,これらの偏移は下部·上部ケルワッサー事変を示す.ユニットIIの上部(Xo 16〜23)では,門や綱レベルで多様性の高い生物群集が確認でき,これは下部ケルワッサー事変後,海洋の生態系が一時的に回復したことを示すだろう.上部ケルワッサー事変後,最下部ファメニアン階の海洋生物の多様性は明らかに減少している.

  • 清野 隆太, 松田 博貴, 黒川 将貴, 西田 英毅, 八木 正彦
    2020 年 78 巻 2 号 p. 77-89
    発行日: 2020/02/25
    公開日: 2021/10/26
    ジャーナル フリー

    天草諸島では,以前より白亜系姫浦層群や古第三系白岳層で油徴·油臭があることが知られている.本研究では,油徴が確認された姫浦層群泥質岩の石油生成ポテンシャルの検討を目的として,姫戸町小島周辺に分布する泥質岩の有機地球化学的分析を実施した.その結果,油徴周辺の泥質岩の全有機物量(TOC)は0.65〜1.10wt.%,遊離炭化水素量(S1)は0.02〜0.13mgHC/gRock,熱分解炭化水素量(S2)は0.12〜0.36mgHC/gRock,熱分解二酸化炭素量(S3)は0.12〜0.63mgCO2/gRockであった.また熟成度を表すTmaxは460〜534℃であった.以上から,本地域の姫浦層群泥質岩は,既に過熟成に達しているものの,現在も相当量の有機物を含んでいることから,初生的には石油生成ポテンシャルは高く,生成された炭化水素は既に移動した可能性が示唆される.

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