海底面は海水と堆積物の境界であり, 海水中を沈降してきた粒子の多くはこの境界付近で分解・変質すると考えられるので, 物質循環において重要な境界面の一つである. この境界付近の堆積物の物性とその変化の詳細を明らかにするため, 放射線を用いた物性測定装置の開発を行なった. この装置では, ガンマー線により堆積物湿潤密度を, 中性子線により水分量 (間隙率) を測定できる. 東シナ海の陸棚から陸棚斜面域及び南太平洋の深海底から採取された試料の測定結果は, 深度0.5~1cm, 2cm, 6cm付近に物性変化パターンの変わる層準があることを示している. すなわち, 密度, 間隙率とも減少する最表層 (0-0.5あるいは1cm), 間隙率に対して密度が大きく変化する0.5あるいは1cmから2cmの間, 次に密度に対して間隙率が大きく変化する2~6cm, 密度, 間隙率とも変化の少なくなる6cm以下に区分される. これらの物性変化は, 堆積物の圧密と粒子の変質で説明できる可能性がある.
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