我が国においては毎年2000~3000名の小児が小児がんを発症している。白血病はもっとも頻度の高い小児がんであり,小児がんの約40%,1000名前後が毎年発症すると推計されている。今日,小児の白血病は不治の病ではなくCurable disease(治癒可能な疾患)としてとらえられている。この治癒率の向上は多くは1960年代以降に導入されたTotal therapy(集学的治療)の概念に基づく多施設共同研究による,エビデンスの積み重ねが大きな推進力となった。抗がん剤などの,白血病そのものに対する治療に加え,抗生物質などの支持療法の進歩,無菌環境の整備といった環境要因,造血幹細胞移植などの新しい治療法の導入などが,その背景にある。
現在,我が国においては,小児の白血病の治療は殆どの場合,全国的な多施設共同研究組織に属する白血病治療施設において前方視的な臨床研究として実施されている。本稿では小児白血病治療の進歩と現状について概説する。
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