日本顎関節学会雑誌
Online ISSN : 1884-4308
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15 巻, 2 号
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  • 小見山 道, 荒井 眞喜, 川良 美佐雄, 浅野 隆, 鈴木 浩司, 小林 平, 福本 雅彦, 小林 喜平, 大竹 繁雄
    2003 年 15 巻 2 号 p. 173-177
    発行日: 2003/08/20
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    本研究では, 僧帽筋上部において高張性食塩水 (6%) の注射により実験的筋痛を誘発し, その痛みの強度および開口域に及ぼす影響について, 生理食塩水 (0.9%) の注射をコントロールとして検討した。被験者は, 健常有歯顎男性8名 (年齢26.8±2.4歳) を選択した。高張性食塩水0.5mlを左側僧帽筋上部中央に注射後, 痛みの強さを示すVAS値は, ただちに上昇し, 64.1±16.8mm (30秒後) をピークとして以後は徐々に減少した。生理食塩水注射後も同様に, VAS値はただちに上昇し, 18.6±14.1mm (30秒後) をピークとして以後は徐々に減少した。しかしながら, 注射直後から270秒後にかけて高張性食塩水注射後のVAS値はコントロールに比べて有意に大きな値を示した (p<0.01)。開口域は, 高張性食塩水注射前は53.2±5.2mmであったが, 注射直後にただちに減少し, 47.4±4.8mmを最小値として以後は徐々に増加した。コントロールにおいては, 注射前は54.1±4.6mmであり, 注射後も特に減少傾向を認めなかった。注射直後から60秒後にかけて, 高張性食塩水注射後の開口域はコントロールよりも有意に小さい値を示した (p<0.05)。
    以上のことより, 開口障害の原因が頸肩部にある可能性が示唆され, 顎関節症患者における頸肩部の診査の重要性が確認された。
  • 畑 毅, 細田 超
    2003 年 15 巻 2 号 p. 178-183
    発行日: 2003/08/20
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    保存療法により加療した15歳以下の顎関節突起骨折患者10例の平均9年経過後の機能的予後を検討する目的で, アンケート形式による経過観察を行った。Spiessl&Schrollによる顎関節突起骨折の分類 (1972年) では骨片の転位なしは3例, 転位のある低位骨折は4例, 転位のある高位骨折は3例であった。開口域は全例で三横指以上で, 安静時疼痛はみられなかった。顎運動痛は9例はなく, 1例でときどき骨折側にみられた。関節雑音は8例はなく, 2例でみられた。咀嚼困難は9例はなく, 1例 (精神発達遅滞を伴う) でみられた。中富の後遺症判定基準 (1964年) でみると, 完全治癒8例, 障害Iは2例であった。障害Iの1例は下顎頭と関節円板に高度な変形がみられた。保存療法による小児顎関節突起骨折の長期経過後の機能的治癒は良好であったが, 骨変形を後遺したときはさらに長期の経過観察が必要である。
  • 由川 哲也, 由良 晋也, 馬渕 亜希子, 堀向 弘眞, 出山 文子, 門脇 繁, 井上 農夫男, 戸塚 靖則
    2003 年 15 巻 2 号 p. 184-189
    発行日: 2003/08/20
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    顎関節におけるプレドニゾロンの関節腔内投与において, 短期的治療効果を評価する目的で慢性クローズド・ロック症例30名30関節を対象として, パンピング療法とパンピング・プレドニゾロン注入療法後の開口域増加量と関節痛の改善率について検討した。
    対象症例をパンピング療法群 (非使用群) 15関節, パンピング・プレドニゾロン10mg注入療法群 (ステロイド注入群) 15関節の2群に分け, 術後4週間までの開口域増加量と関節痛 (VAS: 0~100) の改善率, 累積有効率について検討した。
    開口域増加量については, 2群ともに術後有意に改善しており, 2群間に明らかな差は認められなかった。開口時痛と咬合時痛に関しては, 2群ともに術後有意な改善を認めたが, 2群間の比較では, ステロイド注入群は非使用群と比べ関節痛改善効果が有意に高かった。
    以上の結果より, 慢性クローズド・ロック症例に対し, プレドニゾロン10mgを上関節腔内に投与すると, 関節痛改善効果が高くなることが明らかとなった。
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