日本画像学会誌
Online ISSN : 1880-4675
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62 巻, 2 号
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論文
  • 中山 信行, 長尾 剛次, 小早川 周平, 三橋 利彦
    2023 年 62 巻 2 号 p. 100-107
    発行日: 2023/04/10
    公開日: 2023/04/10
    ジャーナル フリー

    エンボス紙などの表面凹凸に起因して発生する転写むらは,特にプロダクション機などで大きな課題となっており,様々な改善策が検討されてきている.このような転写むらの改善のため,転写むらを予測する技術の開発に取り組んだ.表面凹凸に依存する転写効率の変動と,二次転写圧力によって用紙を圧縮変形させて転写効率の変動を軽減する効果を再現するため,エンボス紙の圧縮変形解析と,一次元電界解析による転写力解析をベースとする転写性予測モデル・ツールを開発した.転写性の予測では,転写力から転写されるトナー数を計数して転写効率を算出した.非線形なエンボス紙変形の特徴を実験と解析から明らかにし,さらに加圧による用紙の変形によって転写性が改善する効果を示した.

  • 長尾 剛次, 鈴木 渡, 大森 雅夫, 中山 信行
    2023 年 62 巻 2 号 p. 108-113
    発行日: 2023/04/10
    公開日: 2023/04/10
    ジャーナル フリー

    2つの異なる放電モードを考慮した新たな放電モデルを開発した.電子写真帯電工程や転写工程におけるバイアスローラを用いた放電系では,放電はパッシェン放電則に則って発生すると考えられてきた.実際に,電子写真に関わる放電解析では,パッシェン放電則に基づいたシミュレーションが行われている.一方で,放電には複数のモードがあることが実験的に観測されており,ローラ-平板放電系に対して,強放電モード,弱放電モードの2形態が存在することが報告されている.平行平板の測定系において,これらの放電形態に着目した放電電流計測を実施し,パッシェン則における放電閾値に加えて新たな放電閾値を抽出した.2つの放電モードからなる放電則を反映した電界シミュレーションにより,強放電モード,弱放電モードを特徴づける放電パルスの空間分布の差異を再現した.

Imaging Today
  • 小沢 啓祐
    2023 年 62 巻 2 号 p. 115-120
    発行日: 2023/04/10
    公開日: 2023/04/10
    ジャーナル フリー

    元々,食品の表面に文字やロゴ,柄を表現をするには焼き印や型押しが主流で,色合いや形状も単純なものが多く,同じ物を大量に作ることが主流であった.しかしながら昨今の食品業界はニーズも多様化し,特に国内の菓子業界に関しては,消費者の目を引くために様々な柄や文字を食品に印刷する可食印刷が主流になりつつある.中でも,可食インクを搭載したフードプリンターは,デジタル化が進む現代において,個別ニーズに特化した商品を生み出す上で重要な役割を果たしている.弊社もその一旦を担い,2005年から食品業界における可食印刷の市場向けにフードプリンタの開発,販売をしてきた.本稿では,「付加価値を生み出すフードプリンター」と題し,弊社が開発してきたフードプリンターを紹介する.

  • Parinya PUNPONGSANON, Yamato MIYATAKE, Daisuke IWAI, Kosuke SATO
    2023 年 62 巻 2 号 p. 121-127
    発行日: 2023/04/10
    公開日: 2023/04/10
    ジャーナル フリー

    We present a method that utilizes the infill parameter in the 3D printing process to embed information inside the food that is difficult to recognize with the human eye. Our key idea is to utilize the air space to generate a specific pattern inside the food without changing the model geometry. As a result, our method exploits the patterns that appear as hidden edible tags to store the data and simultaneously adds them to a 3D printing pipeline. Our contribution also includes the framework that connects the user with a data-embedding interface through the food 3D printing process, and the decoding system allows the user to decode the information inside the 3D printed food through backlight illumination and a simple image processing technique. We demonstrate our method through the example application scenarios.

  • 中本 圭, 熊澤 洸平, 天野 宗佑, 唐澤 弘明, 山肩 洋子, 相澤 清晴
    2023 年 62 巻 2 号 p. 128-138
    発行日: 2023/04/10
    公開日: 2023/04/10
    ジャーナル フリー

    本研究では画像認識技術を用いて,一定期間の食事画像から精神的な健康の変化を読み取ることを試みた.そのために,食事項目19,012品目,食事画像7,834枚の食事記録とそれに紐づく同時期の精神状態のデータセットを作成した.この食事画像から算出された栄養価を用いて行った実験は,生活背景が同じ人々を抽出したサブグループにおいて,栄養価と精神状態の変化に有意な相関があることを示し,食事画像から推測される栄養価でも精神状態が予測できることを示唆した.また,食事画像から特徴量を抽出し,精神状態を予測する実験では,一人暮らしのデータセットにおいて,ストレスの変化をベースラインより遥かにいい精度で予測できることを示した.

  • 本部 勇真, 柳井 啓司
    2023 年 62 巻 2 号 p. 139-145
    発行日: 2023/04/10
    公開日: 2023/04/10
    ジャーナル フリー

    健康管理アプリケーションが流行し,健康への意識が高まっている中,料理のカロリー量計算を行う際には食事領域の判別が大事な要素となる.近年は深層学習によって領域分割の性能は飛躍的に向上している.しかしながら,食事画像に対する領域分割のためのデータセットは限られており,種類数も最大100程度と限定されている.一方で,領域分割データセット構築にはピクセルレベルのアノテーションが必要で多大なコストが掛かる問題がある.

    本稿では,我々が提案した,100種類の食事領域分割データセットで学習した事前学習モデルを使用することで,あらゆる食事クラスに対して追加データなしで領域マスクを高精度で推論するUnseen Food Segmentation (USFoodSeg) を紹介する.実験では未学習クラスの食事カテゴリに対してmean Intersection over Union (mIoU) 90を達成した.さらに,近年注目されている大規模視覚言語拡散モデルであるStable Diffusionの事前学習済みの知識を活用することで,学習不要であらゆるクラスに対して領域分割を可能とするStableSegを提案し,特に食事カテゴリに対して有効であることを示す.

  • 王 元元, 河合 由起子, 角谷 和俊
    2023 年 62 巻 2 号 p. 146-158
    発行日: 2023/04/10
    公開日: 2023/04/10
    ジャーナル フリー

    近年,広く普及している料理レシピサービスの多くは,ユーザが料理した内容を画像や動画とともに料理レシピデータとして投稿でき,またそれら投稿された大量の料理レシピデータから料理名などでキーワード検索できる.料理名による検索以外に,「手早くできる料理」や「嗜好を凝らした料理」,「定番の料理」や「意外性のある料理」といったさまざまな検索ニーズが高まり,国内外で料理レシピデータ分析に関する研究が活発に行われている.また,モバイル端末の普及により,料理レシピデータのテキストだけでなく,投稿されたショート料理動画の視聴ニーズが国内外で高まっている.本稿では,これまで著者らが取り組んできた料理レシピデータに固有の特性を分析する技術とそれを利活用した料理レシピの効果的な推薦方式について紹介すると同時に,特有の課題や今後の方向性を提示する.

  • 岡本 淳志, 井上 勝文, 吉岡 理文
    2023 年 62 巻 2 号 p. 159-164
    発行日: 2023/04/10
    公開日: 2023/04/10
    ジャーナル フリー

    近年,初心者をサポートするために,動画から自動で手順書を作成するシステムが注目を浴びている.自動レシピ生成システムもその一つであり,調理行動やその行動に関連する物体を認識することで実現されている.このようなシステムをより有用なものにするためには,大まかな行動からより詳細な行動,例えば“切る”という行動から,“千切り”や“みじん切り”といった細かな行動を認識できるようにする必要がある.しかし,このような詳細な行動では,用いる道具,例えば包丁が同じだけでなく,動作も行動間で非常に似通っているため,詳細調理行動認識は非常に難しいタスクとなっている.そこでこの問題を解決するために,我々は,食材の連続的な形状変化に着目する.本稿では,この情報を基に作成した新しいGAN (generative adversarial network) ベースの認識モデルを紹介すると共に,時空間モデルの手法と比較しつつその性能について紹介する.

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