日本画像学会誌
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44 巻, 6 号
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論文
  • 久保 昌彦
    2005 年 44 巻 6 号 p. 408-415
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    ハイファイカラー用の色変換処理においては,測色的色再現と色分解の連続性および墨量/特色量の調整の実現が課題であった.本論文では,測色的色再現と色分解の連続性および墨量/特色量の調整を保証する色変換処理方法と,その色変換精度および色分解特性の評価結果について述べる.本論文で提案する新規色変換アルゴリズムは,(1) L*a*b* 信号を入力とする関数により墨および特色に関するUCR 率を設定する部分,(2) L*a*b* 信号と墨および特色に関するUCR 率から墨量および特色量を決定する部分,(3) L*a*b* 信号と墨量および特色量から YMC 信号を決定する部分,より構成される.本アルゴリズムにより測色的色再現と色分解の連続性および墨量/特色量の調整を実現することができた.
  • 八木 均, 真常 泰, 大岡 青日, 斉藤 三長, 石井 浩一, 額田 秀記, 細矢 雅弘
    2005 年 44 巻 6 号 p. 416-428
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    複数色のカラー画像を感光体上に重ね現像した後,記録媒体に一括転写するIOI(Image-on-Image)カラープロセスは高速,高画質でコンパクトなカラープリンタを実現できる可能性を有している.しかしながら,乾式トナーを用いたIOI プロセスでは幾つかの本質的な課題を抱えており,高画質カラーの実現は困難と思われる.我々は液体トナーを用いることにより,乾式IOI における問題点を解決し,オフセット印刷機並みの高画質なカラー画像を実現した.本稿では,液体トナーIOI プロセスが理想的なカラープロセスであることを,乾式との比較を交え,実験と理論の両面から明らかにする.また,本プロセスを用いた2種類のプロトタイプ機を紹介する.
  • 真常 泰, 八木 均, 高橋 正樹, 石井 浩一, 高須 勲, 細矢 雅弘
    2005 年 44 巻 6 号 p. 429-436
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    2540dpiの単一画点という微小な領域に対する液体トナーの現像過程を理論的に解析した.その結果,画点形成の素過程において,周辺部から中心に向かって徐々にトナー粒子が凝縮していくということがわかった.このような挙動は,粒子の自由度が高い液体現像特有の現象であると思われる.さらに,本解析から得られた画点径の現像バイアス依存性は,実際に出力した画像から得られたデータと良く一致しており,その妥当性が確認できた.また,線幅10μm のマルチラインの現像についても解析を行い,ライン画像特有の現象を見出すと共に,さらなる高解像度化への指針を得た.このように,直径10μm 以下という微小な画点や,線幅10μmのマルチラインを再現できる液体トナープロセスの優位性を理論と実験の両面から証明した.
  • 石井 浩一, 高橋 正樹, 永戸 一志, 樋口 和彦, 細矢 雅弘, 小俣 公夫
    2005 年 44 巻 6 号 p. 437-444
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    液体トナーを用いた電子写真記録技術により解像度の極めて高い高精細な画像出力を実現することができた.同技術は,露光装置としての2540dpiの解像度を有するレーザ・スキャニング・ユニット(LSU)と,電界を一切使用しない画像転写方式を採用する.筆者らは高精細な画像の出力にあたり,これら高解像度露光技術の最適化手法を検討し,転写技術の有効性確認を行った.その結果,高解像度LSU のビーム特性を考慮した理論解析においては,ビームプロファイルのMTF と最大パワーから得られる評価値が,出力サンプルの解析からは輝度分布の標準偏差が,最適なフォーカス状態の決定指標になることを突き止めた.さらに転写前後の画像状態を比較することにより,本転写技術も高精細な画像出力に大きく寄与していることが分かった.高精細画像出力のためのこれら技術を最適化してフルカラー画像の出力を行ったところ,オフセット印刷と同等以上の高画質なカラー画像を得ることができた.
  • 周 曄, 関 俊紀, Shirley Manoj SOMASIRI, Ketepe Kankanamalage Chamili KUMAR, ...
    2005 年 44 巻 6 号 p. 445-449
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    各種導電性を有する材料からなる粒子について,電圧を印加した電極間での挙動が高速度カメラで観察されている.粒子が電極間を上下運動することが観察され,運動の様子が形態的に3つに分類され,それぞれの運動のメカニズムが粒子の接触時間と電荷の緩和時間との比の観点から考察されている.また,粒子の運動から粒子の電荷が求められ,金属からなる粒子では,ほぼ外部電界で誘導される飽和電荷となっていることが得られている.
  • 北野 賀久, 江前 敏晴, 磯貝 明
    2005 年 44 巻 6 号 p. 450-456
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    電子写真とオフセット印刷における印刷前用紙表面形状と印刷物表面形状の関係について解析した.グロスが異なる4種類のコート紙を用いて,印刷前後の2次元的な表面形状画像間でピアソンの相関係数を計算したところ,オフセット印刷ではキャストコート紙以外は非常に相関が高く,電子写真ではすべての用紙種で相関が低かった.電子写真では,起伏が大きくグロスが低い用紙でさえも,高い相関が得られないことから,印刷物表面形状に与える用紙表面形状の影響が小さいことが明らかとなった.また用紙表面形状を入力,印刷物表面形状を出力とした時の伝達関数を算出した.2つの印刷方式を比較すると,低周波数域ではインキやトナーにより形成される形状に差があり,高周波数域では用紙表面の細かい起伏がインキやトナーによりどの程度埋められるかに差があることがわかった.さらにトナー量を少なくすることで,より用紙表面形状に近い印刷物表面形状が得られることを定量的に明らかにした.
Imaging Today
『画像関連の計測機器とその周辺技術』
  • 池崎 和男
    2005 年 44 巻 6 号 p. 458-466
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    熱刺激電流(TSC)スペクトルスコピーの概要と,TSC を高分子フィルム状試料および粉体試料へ適用した例を紹介した.球晶化したポリプロピレンフィルム試料に,TSC 法と帯電電荷の熱クリーニング法や帯電領域の可視化などの方法を併用することで,電荷トラップを試料高分子の分子集合状態と関係付けられることを示した.また,電荷制御剤(CCA)を添加したトナー用バインダー樹脂の粉体に対してもTSC 法を適用して,CCA のキャリヤとの摩擦帯電に対する役割を調べた.その結果,CCA 自身が固有の電荷トラップをもつことがTSC スペクトルからはっきりわかる例と,CCA 自身は電荷トラップをもつようには見えない場合があることが判明した.
  • 近藤 泰志, 三田 裕也
    2005 年 44 巻 6 号 p. 467-475
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    独自の構造を持つ高速撮影専用のIS-CCD(画素周辺記録型撮像素子)を搭載した高速度ビデオカメラHyperVision HPV-1を開発した.この装置は,最高撮影速度100万コマ/秒で連続100コマの超高速撮影が可能である.解像度は約8万1千画素であり,全ての撮影速度で解像度の劣化が無く,高画質な撮影を高感度で行うことができる.高速度ビデオカメラHPV-1の紹介とこの高速度ビデオカメラを用いた高速撮影の例について解説する.
  • 森 瑛二郎
    2005 年 44 巻 6 号 p. 476-488
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    向きにより色が変化して見える表面の増加にともない変角分光測色の重要性が増している.このようなフロップ色だけでなく,表面の基本的光学特性である反射光や透過光の空間分布特性と分光分布特性が測定出来る変角分光測色は,アピアランス(見え)に関わる基本的な測定法としても重要で,その測定値は,形や色だけでなく質感もより本物らしい立体画像が求められるコンピュータグラフィック(CG)のデータベースとしても利用されている.本稿では変角分光測色の対象となる表面の反射光・透過光の空間分布と分光分布等の一般的な光学特性と,変角分光測色値を理解するのに必要な測定原理や測定値の基準や開き角等の基礎知識と,注意点を解説する.実際の変角分光測色システムの例として,一般的なGCMS-3B 型や本格的な三次元測定が出来るGCMS-11型等を,変角目視観測装置としてDV-10型を,測定例としてブロンズ現象1)の場合を紹介する.
  • 石川 典夫
    2005 年 44 巻 6 号 p. 489-498
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    色彩画像情報を取り扱う際に必要な表色および測色の基礎知識について,ヒトの色覚の仕組みと対応付けてCIE 表色系の基本を紹介し,表色の理論をどのように具現化して測色器が構成されているかを解説する.また,色の見え方が観察条件に依存して多様に変化する現実に対して,測色器がどのように観察条件を規約して的確な色情報の授受を可能にしているかを述べるとともに,観察条件とも密接な関係をもつ測色の誤差要因について触れる.最後に画像情報分野での応用が期待される二次元測色器の例を紹介する.
  • 松長 紀雄, 廣内 恭一
    2005 年 44 巻 6 号 p. 499-504
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    近年,工業分野における非接触3次元測定装置の利用に注目が集まっている.本稿では,コニカミノルタセンシングの製品であるVIVID 9iを取り上げて非接触3次元測定装置の概要について説明を行っている.非接触3次元測定装置では,対象物を部分ごとに分割測定することによって広範囲または対象物全体の測定が可能である.対象物全体の3次元データを得るためには,複数の測定データの位置合わせを行うためのデータ処理技術が必要である.3次元データ処理技術としては,ポリゴン化,ノイズ除去,データ位置合わせ,データ統合,データ補正などがある.生産・製造分野での利用事例として,モデリング,リバースエンジニアリング,CAT などの例を紹介している.
  • John C. BRIGGS, Ming-Kai TSE
    2005 年 44 巻 6 号 p. 505-513
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    While color and density have been synonymous with print quality for a long time,the importance of other print quality attributes such as sharpness and details,and printing artifacts such as bleed, edge acuity, banding, and gloss non-uniformity can hardly be overemphasized. The growing recognition of the importance of such “non-color and density” attributes has been partly driven by the introduction of many digital printing processes that exacerbate such print quality (PQ) problems. To advance digital printing technology and to solve PQ problems,a necessary first step is to objectively quantify the critical print quality attributes beyond density and color, hence creating a demand for new tools other than the familiar densitometer or spectrophotometer. Responding to this need, image analyzers have been developed in parallel with the development of the digital printing industry over the last two decades. The early image analyzers were typically large tabletop units that were often installed in a central laboratory and required the support of a specialist. Bringing the technology of PQ analysis to a much broader community of users, a handheld image analyzer called the Personal IAS was introduced by QEA in 2001. This batterypowered, portable instrument makes it possible for the first time to make objective print quality measurements anywhere,including in the field and on the production line. This paper describes the design of the instrument and demonstrates its capabilities by means of a series of practical applications in digital printing.
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