日本画像学会誌
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45 巻, 2 号
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原著論文
  • 前田 昌孝, 小澤 哲, 竹内 学
    2006 年 45 巻 2 号 p. 90-96
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/08/11
    ジャーナル フリー
    電子写真プロセスにおいて,回転する導電性ローラーによって運ばれる電荷のつくる電位分布を,精度よく容易に解析するための手法を提案した.この手法は流体解析で用いられている平滑化関数を用いた粒子法であるSPH法をベースにした.電位の方程式と連続の方程式は,粒子ではなく計算点として離散化した.この手法の静電界と伝導電流の計算における有効性を,厳密解をもつモデルで確認した.ローラー回転による電荷の移動は,計算点の移動で表した.この手法では,平滑化のため,ローラー表面の電荷がローラー表面外側にも広がって蓄積されるので,表面近傍の計算点密度を高くし,外側に広がった計算点も同時に移動させることで精度を上げた.最後に,この手法を用いてドラムとの間に電圧を印加した導電性ローラーの表面の電位分布をローラー抵抗,回転速度をパラメーターに計算しその依存性を得た.
  • 松岡 敬介, 斉藤 了一, 小寺 宏曄
    2006 年 45 巻 2 号 p. 97-102
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/08/11
    ジャーナル フリー
    色域写像法(GMA)は,異種メディア間での高品質な色再現を図るための主要な技術である.これまでのGMA の最も典型的なアプリケーションは,広色域のディスプレイ画像を狭色域のプリント色域内に圧縮写像する処理に見られる.筆者らは,逆に狭色域から広色域への「伸張」GMA が,不完全な照明下や退色した画像にとって有効であることを報告した.本論文では,画像源がもつ色域とデバイスの色域との相対関係から,「圧縮」もしくは「伸張」を自動選択できる機能を備えた双方向GMA を提案する.提案方式では,r-imageと呼ぶ単純な放射距離を用いたGBD(色域境界記述子)によって,画像とデバイスの色域外郭を記述する.本稿では,画像とデバイスの各r-imageを参照して,「圧縮」か「伸張」のいずれを適用すべきかの論理的決定法を検討し,異なるデバイスに適用した色域伸張結果の効果について紹介する.
  • 稲永 宏, 中塚 慎一, 唐沢 光幸, 坂本 順信
    2006 年 45 巻 2 号 p. 103-108
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/08/11
    ジャーナル フリー
    マルチビーム走査は,レーザプリンタにおける光走査装置の高速化・高解像度化を実現するための有効な手段である.我々はビーム本数を増やす手段として,今回1チップ5チャンネルアレイレーザダイオードを開発し,プリンタへの適用を検討した.発振波長は635nm である.
    635nm の短波長レーザは半導体の特性上,駆動時の電流による発熱で光出力が減少する割合,ドループ率が大きい傾向にある.ドループ率が大きいと,レーザプリンタにおいて走査方向の濃度ムラが発生し問題となる.
    これに対し,しきい値電流と端面反射率の最適化,ツェナーダイオードの定電圧効果を利用した駆動回路の改良により,ドループ特性の改善を図ることができた.
    また,I-L 特性やチャンネル間での波長誤差,動作寿命など,レーザプリンタ用として必要な,その他の特性も満足していることを確認した.
  • 平林 純, 田上 智博, 久郷 晴美
    2006 年 45 巻 2 号 p. 109-120
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/08/11
    ジャーナル フリー
    Gloss values of various electrophotographic prints and papers are obtained by employing Ray-tracing method based on measured three-dimensional shape. Cook-Torrance reflection model is used for the calculation of micro-reflection light. The comparison results between calculated gloss values and measured values are studied. In addition to the calculation of gloss values, “print” images which contain both gloss reflection and diffusion color are created by composing gloss images and scanned color images. The rendered “print” images show how those look like from arbitrary view points. And, the prototype of interactive “HANDHELD PRINT” display system is developed. The system can be used as a substitution of “electrophotographic prints with handheld”. By using the system, electrophotographic prints can be examined in various conditions, and compared with other print materials and other many display devices.
  • 小鍛冶 徳雄
    2006 年 45 巻 2 号 p. 121-126
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/08/11
    ジャーナル フリー
    磁気プリンタの黒画像領域と白画像領域において磁性トナーに働く磁気力について,有限要素法による電磁界シミュレータと近似式とを用いた計算によりシミュレーション解析を行った.1ドットの黒画像に対して記録媒体に1/2ドット幅の磁化反転間隔の磁気潜像を設定し,1ドットの白画像に対して記録媒体に3/2ドット幅の磁化反転間隔の磁気潜像を設定した.黒画像領域では,トナーは記録媒体の磁化反転部近傍で強く記録媒体と引き合い,磁化反転間隔の間では隣りあうトナー同士がお互いに強く引き合ってトナーブリッジを形成する.更に白画像領域における磁化反転部近傍のトナーが記録媒体と強く引き合って黒画像の一部となり,黒画像は広がる.白画像領域では磁化反転部近傍のトナーが黒画像の一部となる分狭まり,磁化反転間隔の間では隣りあうトナー同士で引き合う力が弱くてトナーブリッジを形成しない.その結果,紙の上では黒白それぞれ1ドット分の画像が得られると考えられる.
  • 須賀 淳, 竹内 学, 菅波 敬喜, 小口 寿彦
    2006 年 45 巻 2 号 p. 127-132
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/08/11
    ジャーナル フリー
    In order to study the tribocharging mechanism of electrophotographic toner, particles of trianilinotriphenylmethane (TATPM) (positive type Charge Control Agent, CCA) were externally added at the interface between CCA-free model toner and carrier, and toner charge generated by agitation was investigated. The amount of generated positive charge q/m on the CCA-free model toner was larger than that on conventional pulverized toner in which almost all TATPM particles exist in the toner inner part. It was confirmed that the charging mechanism of the CCA-free model toner by the TATPM particles externally added at the interface between toner and carrier is as follows: a)during the toner-carrier mixing process, small size TATPM particles are produced and adhere onto the carrier particle surface, b) a charge exchange between the adhered TATPM particles and carrier particle surfaces occurs, and TATPM particles acquire positive charge, c)positively charged TATPM particles are transferred from the carrier particle surface to the toner particle surface,and finally the CCA-free model toner acquires positive charge. The amount of TATPM deposited on the carrier surface was determined by the absorption at 602nm with the TATPM/ethanol solution extracted from a carrier/ethanol dispersion. The relationship between the amount of TATPM on the carrier surface and the amount of positive charge on the toner is also discussed.
解説論文
  • 山口 留美子, 佐藤 進
    2006 年 45 巻 2 号 p. 133-139
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/08/11
    ジャーナル フリー
    液晶セルにおいて,方位角アンカリング力制御による配向分割技術を,偏光潜像形成に適用した.ツイステッドネマティック(TN)液晶セルにおいて,方位角アンカリング力とねじれ角の関係を,トルクバランス方程式から理論的に導いた.次に,紫外線照射による架橋反応に伴い,高分子膜の方位角アンカリング力が増加することから,液晶セルに対する照射時間を変えることで,ねじれ角を0°から約90°の範囲で制御可能であることを示した.さらに,白黒写真の印画紙への焼付け工程と同様に,マスク(ネガフィルム)を介しての液晶セルへの紫外線露光,熱現像により,ねじれ角の異なる配向分割領域を容易に作製できることも明らかにした.配向分割処理が行われた液晶セルは,自然光のもとでは一様に透明であるが,平行偏光板間に挿入したとき,用いたマスクの反転画像(ポジティブ像)が可視化される.この液晶配向分割技術により,連続的な中間階調と3000dpiを超える高い分解能を有する潜像の形成が可能である.
Imaging Today
『最近のカラー画像記録装置』
  • 丸田 貴之, 山田 一成, 朝田 賢一郎, 大橋 理人, 吉田 佳樹, 神谷 拓郎, 工藤 宏一, 高山 英之
    2006 年 45 巻 2 号 p. 141-147
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/08/11
    ジャーナル フリー
    imagio Neo C600シリーズは,高生産性,高画質,高信頼性を追求し,オフィスが求めるパフォーマンスに対応したデジタルフルカラー複合機である.主な特徴は,以下の通りである.
    1) 高速コントローラと新規4連タンデムエンジンとの組み合わせで,高生産性の実現.
    2) 新規小粒径キャリアと新規粉砕フルカラーオイルレストナーの搭載及び高精度位置合わせ制御による高画質化の達成.
    3) 新開発ハードタイプ非接触ローラ帯電方式,高耐久感光体,高耐久現像剤及び中間転写ベルト上P センサ搭載によるプロセス制御の採用により,高信頼・高安定化の達成.
    4) 減容ソフトトナーカートリッジ,自動サイズ検知トレイの採用によるアプライアンス性の向上.
    5) リコー初のRoHS指令に対応した使用禁止物質の全廃.
  • 福原 政昭
    2006 年 45 巻 2 号 p. 148-153
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/08/11
    ジャーナル フリー
    ApeosPort C 6550は,通常のオフィスに設置できるサイズでありながら,カラー毎分50枚の出力という高い生産性と,高画質を達成した複合機である.高画質化の注目すべき技術としては,面発光レーザVCSELを採用して2400dpiの画像画き込みを実現するとともに,その2400dpi画き込みを利用した高解像度デジタルスクリーンおよびデジタル画素位置制御技術である.また,高速化の技術としては,前述の面発光レーザ,新重合トナー,及び改良したベルトニップ定着である.トナーは従来の重合トナーに比較して色域拡大と光沢度をアップし,溶けやすくした新重合トナーを採用した.本解説では,これらの高画質化技術と高速化技術について述べる.
  • 豊吉 直樹, 森上 祐介, 中根 英治, 米田 哲, 田中 雅樹, 金井 伸夫, 大南 泰一
    2006 年 45 巻 2 号 p. 154-165
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/08/11
    ジャーナル フリー
    2004年,我々は世界最速のA 4フルカラープリンタを開発し市場投入した.本マシンは世界最速の出力枚数を誇るだけでなく,高生産性やコンパクト性など世界トップの機能や品質を多く搭載したコニカミノルタプリンタのフラッグシップ機である.これらを支えるのは,現像・転写・定着・光学・画像技術・駆動をはじめとするコニカミノルタの最先端の技術であり,我々はこれらをタイムリーにお客様に提供することが使命である.magicolor5400シリーズで達成した技術開発について報告する.
  • —a-Siドラム対応フルカラー現像システム—
    桝田 恒司
    2006 年 45 巻 2 号 p. 166-172
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/08/11
    ジャーナル フリー
    キヤノンが2004年発売した電子写真式フルカラー複合機iR C 6800は,フルカラー機ではキヤノンで初めてa-Si(アモルファスシリコン)感光ドラムを搭載している.iR C 6800のコンセプトは,「オフィスでのカラーシフトを加速させるべく白黒機を置き換え可能であること」である.このコンセプトの実現のために,高表面硬度,リニアなE-V 特性,帯電・光劣化少,高誘電率,という特徴を有するa-Si感光ドラムを選択した.さらに,a-Si感光ドラムに適合した現像方式として,やはりキヤノンで初めて黒は磁性一成分ジャンピング方式と色は二成分方式の組合せ(ハイブリッドエンジン)を採用した.さらに,色現像は,高抵抗・低磁化キャリアによる軽圧縮型である
  • 石田 英樹, 近藤 浩人, 渡木 龍司
    2006 年 45 巻 2 号 p. 173-179
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/08/11
    ジャーナル フリー
    京セラミタ(株)はa-Si感光体とLED ヘッドを組み合わせたタンデム方式のカラープリンタにおいて,高品質かつ長寿命を達成した.またa-Si感光体における層構成と潜像形成の関係をシミュレーションと実験の両面から確認し,感光体の最表面層であるa-SiC : H 層の研磨量と潜像形成との関係を明らかにした.
  • 池嶋 昭一
    2006 年 45 巻 2 号 p. 180-185
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/08/11
    ジャーナル フリー
    A3縦サイズの紙に150ppm の印字速度で印刷できる二色印刷機リソグラフMZ 770を商品化した.感熱孔版印刷の簡便性と迅速性という特徴を活かしつつ高速性を実現しているリソグラフMZ 770の機能を紹介するとともに,そこに搭載している主要な技術について解説する.
  • 野呂 浩司
    2006 年 45 巻 2 号 p. 186-193
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/08/11
    ジャーナル フリー
    ダイレクトイメージング方式は,7色の乾式トナーを使用するユニークなデジタルプリント方式である.潜像を作成せずに現像媒体上に直接画像を生成することから名付けられた.そのもっとも大きな特徴は品質の安定性である.本稿ではダイレクトイメージング方式を支えるモノコンポーネントトナー並びにカラーコピープレスもあわせてご紹介する
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