日本画像学会誌
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48 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
原著論文
  • 小池 芳明, 堀内 隆彦, 斎藤 了一, 富永 昌治
    2009 年 48 巻 2 号 p. 84-91
    発行日: 2009/04/10
    公開日: 2009/04/13
    ジャーナル フリー
    人の視覚は,一時に105を超える明暗の変化を知覚でき,109以上の広いダイナミックレンジをもつ外界に順応するのに対して,デジタルカメラは明暗変化の激しいシーンを取得するのが困難である.Retinexアルゴリズムは,人の知覚に基づいた画像処理手法であり,コントラスト改善に有用である.MSR(Multi-Scale Retinex)モデルは,複数のSSR(Single-Scale Retinex)出力を合成することによって,SSR出力の問題点であったハローを軽減することに成功したが,演算量が大きいという問題点があった.本論文では,SSRモデルにおける周辺輝度場をBilateral filterで表現し,さらにダイナミックレンジを圧縮することによって,SSRモデルの演算量の小さい簡易な枠組みでハローを軽減できるRetinexの改善アルゴリズムを提案する.提案モデルは,陰影の激しい自然画像のダイナミックレンジの圧縮に安定に動作し,暗部の見えの改善に効果的であった.本論文では,HDR画像に対しても提案手法を応用することを試みて,有効性を検証している.
  • 鄭 京模, 小関 健一, 田中 康弘, 日暮 久乃, 江藤 桂
    2009 年 48 巻 2 号 p. 92-97
    発行日: 2009/04/10
    公開日: 2009/04/13
    ジャーナル フリー
    低温定着への応用を目指す電子写真システムの一部として,マイクロカプセルトナー(MCトナー)の評価を行う.融点が低い2種類のモデルトナーを作製し,それぞれをカプセル化した.それら4種類のトナーに対する各種の評価を行った.測定方法として,非MC型モデルトナーとMC型モデルトナーを比較しながら評価を行った.測定内容としてはすべてのモデルトナーに対してDSCの測定を行う.そして,レオロジー特性を評価するため,モデルトナーに対して流動特性を評価する.更に,定着性との相関について評価を行う.特に,測定温度やメラミン壁の影響について検討した.更に,モデルトナーに対する定着性の評価を行った.
    MC型モデルトナーは,非MC型モデルトナーとは多少異なる融着メカニズムを有すると考えられる.カプセル壁が3nmと薄いMC型モデルトナーの場合,耐ブロッキング性もよく,定着性も良い結果を示した.
Imaging Today
  • 高木 誠一
    2009 年 48 巻 2 号 p. 99-107
    発行日: 2009/04/10
    公開日: 2009/04/13
    ジャーナル フリー
    脱枯渇資源(バイオマス)を原料とするプラスチックの代表であるポリ乳酸(PLA : Polylactic acid)は,1980年代後半に米国でトウモロコシを原料に,コストダウンの目処が立ち,2002年には,米国Cargill-Dow社(穀物メジャーのCargillと化学会社のDow Chemicalの合弁会社,現Nature Works社)が14万トン/年規模の量産プラントを建造し,生産が開始された.ここから,それまで主に農業用マルチフィルムや包装材などに適用されていたバイオマスプラスチックは,電子機器や事務機器などの構造体への適用が研究・開発され,いくつか実用化されるに至っている.しかし,特に,複合機やプリンターへの本格採用のためには,高植物度化,コスト低減はもちろんとして,現状使用の石油系プラスチックに近い高い基本性能と部品として必要な機能性能を獲得する必要がある.本稿では,複合機やプリンターのプラスチックの要求性能とここにきて採用が進んできたバオマスプラスチック技術について紹介する.
  • 牧野 邦夫
    2009 年 48 巻 2 号 p. 108-112
    発行日: 2009/04/10
    公開日: 2009/04/13
    ジャーナル フリー
    トナー製品の充填工程は,カラー化やブランド増加により製品バラエティーが増大し,従来のトナー充填装置(市販品)では,品種切替えによる生産性低下が著しく,低コストでものづくりが出来ないという課題があった.この課題を打破すべく“いつでも どこでも 安く 早く充填できる,コンパクトなオンデマンド充填機”の開発に着手し,流動化充填技術(トナーに空気を含ませ液体状にする独自技術)を展開した充填装置を完成させ2000年より量産展開を開始した.小型にできたことにより,設置スペースを1/40に,電気使用量を1/14に,CO2排出量を約1/2削減できた等,環境改善に貢献できた.その後,さらに生産性向上を目的に市販大量型充填機同等以上の充填能力を有する装置の開発を行い,少量~大量のどの物量でも活用可能な充填装置が完成した.主力機種の大量生産ラインから少量生産ラインであるサテライト充填ラインや,海外生産拠点へも展開しており,オンデマンド充填機としては全世界で67台が稼動している.
  • 佐野 健二
    2009 年 48 巻 2 号 p. 113-117
    発行日: 2009/04/10
    公開日: 2009/04/13
    ジャーナル フリー
    地球温暖化を防止するために,種々の省エネ技術で二酸化炭素の排出量を減らそうとしているが,印刷関係においては紙の再使用が有効である.これは紙が植物を原料とすることと,製造の際のエネルギー消費が非常に大きいためである.紙を再利用するためには使用後,インクやトナーを任意に消去できれば良い.消去可能なインク・トナーの開発が,省エネと,紙の原料である木材資源を節約でき,地球温暖化防止にも有効である.
  • 時松 宏行
    2009 年 48 巻 2 号 p. 118-124
    発行日: 2009/04/10
    公開日: 2009/04/13
    ジャーナル フリー
    近年,地球環境の保全への関心が高まりつつある.この中で省資源や廃棄物削減を達成する技術は重要である.ここでは感光体,現像剤の高耐久化技術,イメージングユニットの長寿命化技術といったライフサイクルの観点からの取り組みについての紹介と,さらには廃トナーレス,消費トナーの低減といったトナー量に関する取り組みについて紹介する.
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