林業経済研究
Online ISSN : 2424-2454
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62 巻, 1 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
  • 原稿種別: 表紙
    2016 年 62 巻 1 号 p. Cover1-
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 表紙
    2016 年 62 巻 1 号 p. Cover2-
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
  • 土屋 俊幸
    原稿種別: 解題
    2016 年 62 巻 1 号 p. 4-6
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
  • 山本 美穂
    原稿種別: 論文
    2016 年 62 巻 1 号 p. 7-16
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    歴史性と地域性を欠いたまま林業の枠組みにおける自然資源管理を論じることはできない。本稿は,第一に,歴史地理学的理解をその基盤とした上で地域構造を解明し,その構造における自然資源管理主体の行動様式を追うことで,自然資源管理の議論の俎上に民有林人工林についての議論を位置づける。題材として,日本の森林計画制度が辿った1950年代からの約65年間に主に焦点をあて,北関東地方の戦後人工林をめぐる資源造成と市場化,再造林問題について取り上げる。資源造成と基盤整備,市場化がどのような背景と契機を得て誰によって担われたかを明らかにする。間伐から皆伐への転換によって全国の育成林業地における構造的位置づけへの理解,地域社会における持続性の理解への重要度がより高まっている。
  • 山本 伸幸
    原稿種別: 論文
    2016 年 62 巻 1 号 p. 17-27
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    国有林が日本林業全体を牽引した1910年代から1960年代までの約半世紀を対象として,近現代日本の森林管理においてテクノクラートとは何であったかを考察することを研究目的とする。方法論としては,林政学,林業経済学の研究蓄積を踏まえ,行政史学,政治史学の技術官僚史論,および歴史社会学のライフコース分析の応用を試みた。その結果,林業技術者運動や林力増強計画といった歴史的出来事に,4世代の森林テクノクラートが遭遇した際にとった行動の分析などを通して,国家や市場の暴力性を前にした,森林テクノクラートのナイーブさが浮き彫りとなった。森林テクノクラートによる森林管理のあり方を考究する一方,その実証研究を一層進める必要がある。
  • 栗山 浩一
    原稿種別: 論文
    2016 年 62 巻 1 号 p. 28-39
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    森林など自然資源に対する市民の要求が利用価値から非利用価値まで拡大したことで,森林の環境サービスの受益者は地域住民だけではなく一般市民にまで広がっている。本研究は,林業経済学分野における市民参加研究を展望するとともに,市民参加や受益者負担の事例を見ることで,自然資源管理に一般市民の意見を反映するための課題を明らかにする。市民参加に関しては,世界遺産に指定されている知床と富士山における訪問者管理を検討し,一般市民の意見を適切に管理計画に反映することの重要性を示した。受益者負担については,滋賀県造林公社の下流費用負担と神奈川県の水源環境保全税を市民の観点から分析し,一般市民の森林に対する要求の変化に対応可能な柔軟な費用負担制度が必要であることを示した。これまでの森林政策では消費者や市民などの需要サイドよりも林業関係者などの供給サイドが優先されていたが,今後は市民の視点から森林政策を評価することが必要である。
  • 岩永 青史, 藤原 敬大
    原稿種別: 巻頭言
    2016 年 62 巻 1 号 p. 40-
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
  • 寺内 大左
    原稿種別: 論文
    2016 年 62 巻 1 号 p. 41-51
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    本研究は森林・林業の分野であまり検討されてこなかったインドネシアの石炭開発について,東カリマンタン州西クタイ県を事例に1)石炭開発の現状,2)焼畑民の開発に対する対応・認識と生活への影響を明らかにし,森林と焼畑社会の今後の課題を検討した。石炭開発の現状として,「非林地」では鉱業事業許可が乱発行されていた。全ての石炭企業が露天採掘法を採用しており,今後大規模な森林減少,地域社会の改変が生じる可能性が存在した。村人は原生的森林が広がる「林地」の石炭開発を土地に対する補償金獲得のチャンスと認識し,企業進出地域で焼畑などを行い,慣習的土地所有権を主張していた。「林地」の森林保全には採掘許可の制限や生態系サービスへの支払い等の代替策が必要であると考えられた。一方,村人が資源利用を行う「非林地」では,現在の生活を維持するために石炭開発を拒否する意向でいた。今後,「非林地」では村人と企業の間で土地交渉が行われるだろう。また,石炭開発の多額の補償金は地域の経済・社会を変化させつつあった。森林・林業研究者も石炭開発をめぐるガバナンスに参画し,森林と村人の利害に関わる情報を提供していく必要がある。
  • 鈴木 遥
    原稿種別: 論文
    2016 年 62 巻 1 号 p. 52-62
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    本稿はインドネシアの紙パルプ企業による森林保全の取り組みにおける企業とNGOの相互関係を,世界有数のパルプ・製紙企業であり,インドネシアの巨大財閥シナルマス(Sinar Mas)の主要部門であるアジア・パルプ・アンド・ペーパー社(APP)に着目し,APPが2013年2月に公表した森林保全の取り組みである森林保全指針(Forest Conservation Policy)の実施過程を事例にして考察した。分析の結果,APPは,APPとThe Forest Trustとの協働およびRainforest Allianceによる評価を軸に,Greenpeaceをはじめとする森林保全指針の内容や枠組みに対して主に意見するNGO,主に傘下企業による森林管理の不徹底を批判するNGOなどの意見を取り入れ森林保全指針を実施,改善してきたことがわかった。森林保全指針の実施過程では,APPとNGOは対立関係ではなく,企業の取り組みにNGOが内包され,より総合的な森林保全の主体が形成されようとしている点が示唆された。ここでは森林保全の取り組みを主導する企業はもとよりNGOも,企業との協働を前提として活動するよう質的に変化していると考えられた。
  • 藤原 敬大
    原稿種別: 論文
    2016 年 62 巻 1 号 p. 63-74
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    チークは,最も経済的価値が高い熱帯広葉樹の1つであり,その材質は,高密度,高い耐朽性や寸法安定性,装飾性によって特徴付けられる。インドネシアは,チークの世界三大生産地の1つであるが,主要な生産者であった林業公社によるジャワの国有林での生産量が減少している。一方で拡大する私有林が,新たなチーク材供給源として期待されている。本稿は文献調査を通じて,(1)国有林と私有林の特徴や現状について整理し,(2)新たなチーク材の供給源としての私有林の可能性ついて検討し,(3)チーク材の安定供給に向けて国有林と私有林が取り組むべき課題について提示した。伝統的な国有林管理は,功利主義と科学林業で特徴付けられる。一方で一般的な私有林管理では,共同管理のための森林計画や管理組織が存在せず,また樹木は地域住民の生活の必要に応じて伐採される。国有林と私有林の管理の実態は大きく異なり,それゆえ生産されるチーク材の材質にも大きな差がある。チーク材の安定供給のためには,国有林では地域住民と協働して長期間安定的にチーク林を管理していくこと,私有林ではチーク材の「質」と「量」の課題に取り組むことが必要である。
  • 岩永 青史
    原稿種別: 論文
    2016 年 62 巻 1 号 p. 75-83
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    木材加工産業による活発な私有林材利用が見られるインドネシアのジャワ島において,木材加工企業,製材所および農民の行動と森林面積の増減との関連を探り,私有林利用の持続可能性を明らかにした。事例としたタシクマラヤ県においては,私有林材の移送に際して必要となる原産地証明書でチェックされた材の量が利用実態に合致しており,管理が良好に行われていた。一方,私有林材需要の拡大は,同県の森林面積増減に影響していた。調査対象B社の需要の拡大が木材を供給する農民の伐採量を増加させ,森林面積を減少させた。その対策として実施された契約造林および農民の自主的な植林によって2007年時点での森林面積は増加したが,原木買取価格の上昇が続いたことで,植林を上回る速度で伐採が継続し,2010年時点の森林減少へとつながった。さらに,供給の増加に伴い多くの製材所が設立された結果,その製材能力は村全体の木材供給量を上回り,結果的に原木不足に陥っていた。このように,天然林面積の減少→木材供給不足→私有林材の利用→私有林面積の増加,という流れに加え,私有林材利用の増加→私有林面積の減少,という続きのシナリオが存在することが明らかになった。
  • 芳賀 大地, 永田 信
    原稿種別: 論文
    2016 年 62 巻 1 号 p. 84-95
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    これまでの林家研究では森林資源や,労働力,家計構成,施業体系などが重視され,情報への注目は僅かであった。そこで,林家の保有する情報とその伝達経路,さらにそれが木材生産に与える影響を明らかにすべく,林業経営に重要な造林補助金と,その受給要件である森林経営計画をめぐって,栃木県において調査を行った。調査の結果,普及指導事業においては,林業経営の普及は主に森林組合を通じて行われていた。森林組合は広報誌や会合を利用して情報伝達を行っており,森林経営計画については施業受託地の周辺から広げていく戦略をとっていた。組合員アンケートの結果でも,森林組合の広報誌や会合が主な情報伝達経路であることが裏づけられた。木材生産行動決定の推定モデルを作成したところ,森林経営計画の情報伝達が利用間伐に結びつく可能性が示された。また,相談相手の存在や現実的な留保価格を持つ林家が利用間伐を行っていること,利用間伐と皆伐には相関がみられることなどから,コンサルティングの有効性が示唆された。
  • 相川 高信, 柿澤 宏昭
    原稿種別: 論文
    2016 年 62 巻 1 号 p. 96-107
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    地方分権下の市町村の森林政策の展開を検討するため,合併5市の森林・林業分野の自治体計画を調査した。実効性のある計画のあり方を把握するため,計画の内容だけではなく,策定と実施プロセスについても分析を行った。調査の結果,全ての計画が,森林政策の基本理念や,森林・林業の将来像を明らかにしていた。計画の策定段階では,全ての市が委員会を設置し,有効な議論を行うための様々な工夫がなされ,十分な検討時間が確保されていた。計画の効果的な実施のため,市役所職員が計画の策定と実施に継続的に関与していた他,市町村と地域関係者との協働体制を発展させていることが明らかになった。計画の目標や基本的な枠組みの設定と,委員会での議論の場の設定において,ナレッジ・プロデューサーの役割が重要であった。計画の策定・実施を通じて,市町村独自の森林政策が発展していたことが示された。さらに本研究から,市町村の森林政策を有効なものにするためには,市町村職員の人材育成と,市町村と地域関係者との協働体制の発展が重要であることが示された。
  • 佐藤 宣子, 中川 遼, 正垣 裕太郎
    原稿種別: 短報
    2016 年 62 巻 1 号 p. 108-115
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/08/28
    ジャーナル フリー
    FIT制度の導入を契機として,木質バイオマス発電所の建設が各地で進んでいる。それに対応して素材生産や流通構造が変化することが予想される。本報告では,大分県日田市にて2013年11月から稼働している発電所(5,700kW/h)の燃料用チップ原料の収集を担当している日田木質資源有効利用協議会のうち,5事業体の対面調査を実施した。同発電所は32円/kW(税別)で売電できる「未利用木材」を100%用いている。対面調査の結果,森林組合で素材取扱量の15%程度,素材事業体で20〜30%が発電用燃料として出荷されていた。発電所の稼働後,(1)主伐割合の高まり,(2)採材方法の変化,(3)主間伐ともに単位面積当たり出材量の増加,(4)市場を経由しない直送比率の高まりという4点の変化があった。採材方法の変化によって,これまで建築用材として出荷されていた直材部分が発電用燃料として出荷されており,木材のカスケード利用という点での課題があること,また原木市場の機能を変化させる必要性を指摘した。
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