日本放射線技術学会雑誌
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80 巻, 12 号
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巻頭言
原著
  • 塚野 優, 山本 泰司, 白井 匡人, 髙村 真広, 松尾 和明, 宮原 善徳, 楫 靖
    2024 年80 巻12 号 p. 1277-1287
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/20
    [早期公開] 公開日: 2024/10/29
    ジャーナル フリー

    【目的】深層学習を用いたMR画像生成の技術において,学習に用いるデータのパターンを変えることで画像生成の精度に差が生じるかを明らかにする.【方法】学習はT2強調画像またはFLAIR(fluid-attenuated inversion recovery)画像からT1強調画像を生成するモデルとし,pix2pixを用いた.島根大学医学部附属病院で撮像された頭部単純MR検査データを用いて検討した.各機種300症例を準備し,学習データのパターンを機種ごとに4種類作成した(a: 1機種のみで150症例,b: 1機種のみで300症例,c: 1機種150症例と拡張用データ,d: 2機種での300症例).拡張用データは,150症例の画像に対してXY平面の回転を加えた画像とした.各群の学習で生成された画像と評価データの画像について,peak signal to noise ratio(PSNR),structural similarity(SSIM)から類似度を評価した.【結果】2機種とも,学習データaと比べて学習データbではPSNR,SSIMともに高くなった.学習データdでは,PSNR,SSIMともに低くなった.【結語】学習データのパターンにより,MR画像生成の精度に差がみられた.

  • 馬淵 龍, 秋保 亮太, 中井 宏
    2024 年80 巻12 号 p. 1288-1295
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/20
    [早期公開] 公開日: 2024/11/01
    ジャーナル フリー

    【目的】報告されたインシデントレポートに対して行う根本原因分析(RCA)は,事故の再発防止策につなげられる.本研究の目的は,RCA対象となったインシデントレポートについて,発生事例,発生因子,寄与因子と,1~2年,3~5年未満,5年以上の3群に分類された報告者の経験年数との関連を明らかにすることである.【方法】2018年4月~2023年3月において,RCA対象とされた239例から抽出した各項目と報告者の経験年数の間でχ2検定を行い,有意水準5%以下を有意とした時の有意差を求めた.【結果】発生事例では,経験の長い診療放射線技師は患者誤りが多く撮影条件や範囲の誤りが少ない一方で,3~5年未満の診療放射線技師は撮影条件の誤りが多かった(p<0.001).発生因子では,3~5年未満の診療放射線技師では確認不足が多かった(p<0.05).寄与因子では,経験年数の群間差はなく(p=0.19),焦りが最多因子であった.【結語】本調査により,診療放射線技師のインシデント報告において,焦りが経験年数を問わず起こり得る寄与因子であると示唆された.

臨床技術
  • 森 一也, 眞壁 耕平, 関口 諒, 根岸 徹, 土田 拓治
    2024 年80 巻12 号 p. 1296-1304
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/20
    [早期公開] 公開日: 2024/11/01
    ジャーナル フリー

    【目的】血管撮影領域の線量管理には,診断参考レベルで定められた透視線量率の測定結果が用いられており,年1回以上の測定が推奨されている.本研究の目的は,血管撮影装置における長期的な透視線量率の変動について評価することである.【方法】非接続形X線出力アナライザを用いて,血管撮影装置における患者照射基準点の透視線量率の変動評価として空気カーマ率の測定を行った.対象期間は2015年から2022年とし,各年4回測定を行った.初めに,透視線量率の測定を行い,平均値,標準偏差を求めた.次に,測定値の不確かさ,および変動係数を評価した.最後に,透視線量率の測定誤差を求めた.【結果】透視線量率の測定値の平均値,標準偏差は,353.29±9.11 µGy/sであった.各年における不確かさおよび変動係数の最大値は5.41 µGy/s,および0.03であった.また,最大測定誤差は4.67%であった.【結語】血管撮影装置における8年間の透視線量率の変動は,X線測定器の測定誤差を加味しても5%以内であり,安定したX線出力を示した.

  • 樋口 史江, 藤原 佑太, 上堀内 善紀, 大山 有多子, 佐々木 与子, 渡邉 伸作, 舛田 隆則
    2024 年80 巻12 号 p. 1305-1310
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/20
    [早期公開] 公開日: 2024/11/13
    ジャーナル フリー

    【目的】寝台の高さ補正(automatic couch height positioning compensation: AHC)を有するCT-auto exposure control(CT-AEC)使用時における移動用スライドボードが画質と線量へ与える影響について検討すること.【方法】Aquilion PRIME SP/i Edition(80列multi detector CT;キヤノンメディカルシステムズ,栃木)(管電圧:120 kV,管電流:最小値50 mA最大値500 mA, AECのnoise index:15,スライス厚:5.0 mm,回転時間:0.35 s/rotation,ピッチファクタ:0.813,再構成関数:FC03)を使用した.京都科学社(京都)製の胸部ファントムPBU-SS-2型を使用し,患者移動用スライドボードのある時とない時におけるAHCの有無で,画像ノイズとコンソールに表示されたvolume computed tomography dose index(CTDIvol)の比較を行った.【結果】AHCありでは患者移動用スライドボードがあることにより画像ノイズは低下(p<0.05)しCTDIvolは増加(p<0.05)した.AHCなしでは患者移動用スライドボードの有無で画像ノイズとCTDIvolに有意差はみられなかった(p>0.05).【結語】AHCを使用することにより,患者移動用スライドボードを含む撮影は線量の増加を招く.患者移動用スライドボードを含む撮影を行う場合,AHCを使用しないことで線量の増加を低減可能である.

  • 仁宮 健太, 森松 光紀, 原田 暁, 岡田 守久, 有吉 功
    2024 年80 巻12 号 p. 1311-1321
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/20
    [早期公開] 公開日: 2024/11/12
    ジャーナル フリー

    【目的】短時間撮像ニューロメラニンMRIの評価法を検討し,ドパミントランスポータシンチグラフィ(DATスキャン)のDAT結合度(specific binding ratio: SBR)との相関を求め,有用性を検証した.【方法】短時間ニューロメラニンMRIを用いて中脳黒質メラニン含有細胞を反映した中脳黒質高信号領域を次の三つの評価法で計測し,SBRとの相関を求めた.評価法1は中脳黒質高信号領域の体積,評価法2は中脳黒質緻密部3領域の信号強度比,評価法3は評価法2のスコア化である.対象は当院放射線科で頭部MRIとDATシンチグラフィを行った60歳以上の患者54例とした.【結果】すべての評価法においてSBRとの間に有意な相関を認めた.【結語】短時間ニューロメラニンMRIとその評価法は中脳黒質メラニン含有細胞を反映した中脳黒質高信号領域の評価に有用であると考えた.

資料
  • 仲田 佳広, 林 秀隆, 奥田 保男, 相田 雅道, 勝沼 泰, 川眞田 実, 柴田 英輝, 柘植 達矢, 古田 和久, 宮西 忠史, 守本 ...
    2024 年80 巻12 号 p. 1322-1327
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/20
    [早期公開] 公開日: 2024/11/14
    ジャーナル フリー

    2020年に医療法施行規則によりcomputed tomography (CT)の線量管理が厳格化された.線量管理のうえで特に撮影部位に関する情報は,適正な集計をするうえで重要な情報であるが,実際の撮影部位と装置から得られる部位情報では異なる場合がある.本研究ではCT装置から得られる撮影部位情報と施設独自の撮影プロトコルによる実際の検査部位に区分けした場合の線量指標との相違について調査した.われわれは,8施設のCT装置において2014年から2021年までに検査された734784件のradiation dose structured report (RDSR)を収集し,volume CT dose index (CTDIvol)およびdose length product (DLP)について各施設の中央値を集計し比較した.撮影部位の区分け前後でCTDIvolについては頭部,腹部では線量の増加がみられた.DLPについても同様の傾向であった.RDSRを情報元とする線量管理については,目的の撮影部位以外の意図しない部位を含んでいることが多い.正確な撮影部位の区分けによって線量管理の精度が向上するものと考える.

特別企画 会員インタビュー~日本放射線技術学会に貢献された人々~
教育講座—放射線技術学研究におけるPython の活用術—
教育講座─リング型放射線治療装置のコミッショニングと臨床運用─
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