本研究では,中学校理科教師の視点で「日常生活における知識として重要な内容」及び「授業において扱うこと(教えること)が困難な内容」と捉えている中学校理科の学習内容をそれぞれ明らかにすることから,これからの科学教育課程へ向けての提言を行うことを目的とする.具体的には,戦後改訂された各中学校学習指導要領理科から269項目の学習内容を抽出し,「日常生活における知識として重要」及び「授業において扱うこと(教えること)が困難である」という二つの観点から,それぞれ質問紙を作成した.これらの質問紙を用いて中学校理科教師に対して調査を行った結果,重要度が高く,かつ指導困難度が高い内容は,現行の中学校学習指導要領理科で扱っていない内容として,1分野の水溶液に関する内容の,濃度の表し方,取扱いのある内容として,2分野の気象や天体,人体に関するものであった.
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