九州歯科学会雑誌
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63 巻, 3 号
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原著
  • —平成15年度~平成19年度—
    西野 宇信, 曽我部 浩一, 永松 浩, 鬼塚 千絵, 佐伯 桂, 井ノ森 巳賀子, 木尾 哲朗, 寺下 正道
    原稿種別: 原著
    2009 年 63 巻 3 号 p. 109-114
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/06/15
    ジャーナル フリー
    九州歯科大学附属病院第1総合診療科は,毎年30人前後の臨床研修歯科医を受け入れ教育している.また,平成20年度からは当科での学生臨床実習が拡充された.そこで,第1総合診療科で行う臨床研修ならびに臨床実習を有意義なものとするために平成15年度~平成19年度の附属病院の予診患者,第1総合診療科を受診した初診患者および担当患者について5年間の動向調査を行った.その結果,予診患者の総数は,平成15年度より平成19年度までで20,610名であり,月別では冬期にやや少ない傾向が認められた.初診患者の総数は,5年間で3,837名であり,受診者数を月別にみると,年度によって変動が見られるもののやや冬季に少ない傾向が認められた.また,初診患者の年齢構成において,すべての年度で最も高い比率を示したのが60歳代であり,一方,最も低いのは9歳以下であり1%前後で安定していた.初診患者の男女比については,すべての年度において女性が男性より多く5年間の男女の割合の平均は男性36%,女性64%であった.初診患者の居住地は,各年度を通して北九州市内が約80%,市内を含めた福岡県内では95%前後で安定していた.初診患者の主訴に対する診断名の領域は,平成17年度以降では比率が安定し40%前後が「歯・歯髄」,約30%が「歯周」,15%前後が「補綴」,「口腔外科」であった.担当患者の総数は,平成15年度より平成19年度までで58,698名であり,平成15年度から19年度にかけて減少傾向であった.以上より,予診患者,初診患者および担当患者に関する調査結果において各項目はほぼ安定しているものの,今後も継続して調査していく必要があると考えられた.
症例
  • 上森 尚子, 尾崎 由衛, 榊原 葉子, 服部 信一, 唐木 純一, 木村 貴之, 柿木 保明
    原稿種別: 症例
    2009 年 63 巻 3 号 p. 115-121
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/06/15
    ジャーナル フリー
    要介護高齢者の直接死因は肺炎が最も多いと言われており,高齢者の肺炎の約半数が誤嚥性肺炎であると推測されている.この肺炎を予防するために介護予防に「口腔機能向上」が導入された.本研究では,某県の介護保険関連施設337施設を対象にアンケート調査を行い,279施設から回答を得た.調査内容の一部である口腔ケアに関する質問項目について,施設の形態別,研修参加および歯科医師への相談体制の有無別に検討した.
    施設の形態を問わず,口腔ケアの必要性に対する意識は高いものの,実際に行うには自信をもてない職員が多いことが明らかとなった.また,口腔ケアに関する研修会への参加や,歯科医師への相談体制を整えることが自信をもって口腔ケアを行うことにつながることも示唆された.以上のことから,今後は口腔ケアに関する教育や歯科医師との連携などの普及に取り組む必要があると考えられた.
総説
  • 冨永 和宏, 土生 学, 吉岡 泉
    原稿種別: 総説
    2009 年 63 巻 3 号 p. 122-132
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/06/15
    ジャーナル フリー
    顎関節症の現在の治療概念を概説した.顎関節症はself-limiting diseaseであるので,治療の方針は可逆的で侵襲の少ないものを選ぶべきである.炎症や咀嚼筋のこりが関節痛や機能障害の原因であるため,特に初期においては投薬での消炎,鎮痛に取り組む.関節の炎症や筋のこりの背景には生活習慣を含むさまざまな寄与因子を基にする過負荷があるため,スプリントだけでなく習慣改善やリラキゼーションプログラムの教育,指導が重要である.投薬などで初期の炎症期を制御した後に開口訓練,マニプレーション,関節パンピング,関節洗浄など開口度を増加させる方法が効果的となる.顎関節は大きな適応能力を持っており,それは顎運動によって活性化する.関節の適応能力を活発にするための理学療法が顎関節症の治療に重要な役割を果たす.寄与因子,予見因子のコントロールと減少が症状減弱後も必要で,それは長期にわたって日課として続けられなければならない.難治性の患者では精神医学的な対応も検討されるべきである.クリックのみの患者や画像上の変化だけで臨床症状の乏しい患者は治療の対象にはならないが,悪習癖を持っているなら習慣改善の教育が勧められる.
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