九州歯科学会雑誌
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62 巻, 5 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
総説
  • 椎葉 俊司
    原稿種別: 総説
    2008 年62 巻5 号 p. 119-125
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/06/15
    ジャーナル フリー
    口腔顔面痛は口腔と顔面と痛みを組み合わせた単語である.
    OFPの概念は,米国口腔顔面痛学会(AAOP:American Academy of Orofacial Pain)を中心に,1990年代後半から急速に世界の歯科医学界に普及しつつある歯科の新分野である.OFPは歯原性疼痛と非歯原性疼痛に分けられる.歯科医師はOFPに苦しむ患者に医療を提供する責務があるが,歯科医師は歯原性疼痛には精通しているが非歯原性疼痛の認識は高くないのが現状である.OFPの中には,これまでの歯学教育では対応できないものも少なくない.歯科医師はOFPの原因になる様々な疾患の診断・治療について習熟することが必要である.
  • 口腔心身症——歯科領域でよくある精神障害
    村岡 衛
    原稿種別: 総説
    2008 年62 巻5 号 p. 126-131
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/06/15
    ジャーナル フリー
    歯科領域では口腔顔面痛は避けて通れない問題である.さらに苦痛である以上,心理的な側面が表面化する場合が有る.九州歯科大麻酔科と8年にわたって病診連携を行ってきた.これらの症例の経過,予後について報告し,歯科領域でみられる精神障害に対する考察を行った.その内訳はうつ病性障害,妄想性障害,PTSD,不安性障害,疼痛性障害,身体表現性障害,恐慌性障害などであった.DSM(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)-IVはアメリカ精神医学会が編集した精神疾患の診断基準集であるが,上記の精神疾患の分類はこの診断基準に従った.これらの診断基準を示し,うつ病性障害,妄想性障害,PTSD,疼痛性障害の症例を提示した.病診連携の延長上に麻酔科と4年間にわたって口腔心身症の勉強会を行ってきた.この結果として,歯科医にとって理解しがたいと考えられていた心因が主である病態も診断基準に照らし合わせれば共通の認識をもちうることが解った.元来精神科領域である患者さん,二次的に起こる不安,情動の不安定さに至った患者さん達も歯科と共有できる診断基準を利用することによって症状を緩和する手段がみつかり,解決に向かいうることが解ってきた.また,薬物療法について症例を通して解説し,比較的容易にとりかかれるBrief psychotherapyについても触れてみた.
  • 平田 道彦, 笹栗 智子, 垣内 好信
    原稿種別: 総説
    2008 年62 巻5 号 p. 132-136
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/06/15
    ジャーナル フリー
    西洋医学的には除痛しがたい疼痛症例にも漢方薬による治療が効果的であることを示す.漢方医学の「気・血・水」の概念,五行論に基づく臓腑の生理機能理論は西洋医学体系にはない病態理解と治療に直結するヒントを提供する.
    とくにストレス社会である現代において,「気」の概念は証候の背後に潜む心理的な要因を理解する上で非常に重要である.「気」は西洋医学的な「精神」の概念とは違い,その滞り(気滞)は末梢循環の停滞や浮腫などの身体症状を形成する因子と考えられている.西洋医学的見地からすると,気滞は交感神経の過緊張状態を生む一因と推察され,漢方的にその疏通,緩和を図ることが鎮痛を得る端緒となる.
    また,舌痛症のように心理的な因子が発症に深く関わることが多い疾患では,漢方医学による臓腑の機能との関連で症候を分析することができる.舌面の部位が臓腑と関連するという漢方的知見は西洋医学的には了解しがたい記述である.しかし,それに基づく治療的戦略はしばしば難治性の舌痛症を治癒に導くことができる.
    漢方は様々な疼痛治療に有用であるが,発達した検査機器による情報をも参考にして,より正確な弁証(漢方的診断)を求める姿勢が必要である.
原著
  • 鯨 吉夫, 木尾 哲朗, 鱒見 進一, 槙原 絵理, 大住 伴子, 西原 達次
    原稿種別: 原著
    2008 年62 巻5 号 p. 137-142
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/06/15
    ジャーナル フリー
    本研究は,九州歯科大学教員の健康と生活習慣に関する実態を明らかにし,日々の生活における課題を抽出することを目的として調査を行ったものである.
    1.アンケート回答者の88.1%が現在の健康状態は良好であると回答した.
    2.体力の自信度においては,68.3%が不安要素を持っていた.
    3.臨床系教員においては,一日の生活リズムに不規則な傾向が顕著にみられた.
    4.食事時刻については,一日を通して不規則になる傾向がみられた.特に臨床系教員は,昼食時刻と夕食時刻において不規則な傾向が顕著にみられた.
    5.睡眠時間については,55.4%が6時間未満であった.
    以上の調査結果より,体力の増進,安定した生活リズム,規則的な食事時刻の確保,睡眠時間の確保,などの課題を抽出することができた.今後,健康の維持増進プロジェクトやリフレッシュ対策を積極的に提言していきたいと考えている.
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