2003 年度から 2010 年度の過去 8 年間における九州歯科大学附属病院保存治療科を受診した初診患者 3,209 名について動向を調査した.総数は 3,209 名で男性 1,169 名(36.4 %),女性 2,040 名(63.6 %)であった.年齢構成は 60 歳代が最多で 19.9 %を占めていた.居住地は 75.4 %が北九州市内であり,92.3 %が福岡県内で占められた.紹介・非紹介の別をみたところ,院外からの紹介 22.5 %,当院他科からの紹介 19.4 %,非紹介 53.8 %であった.非紹介患者の中で,かかりつけ医があるにもかかわらず紹介なしに来院した患者は前報より増加傾向にあった.診断名は多い順に歯 内治療に関するもの 44.6 %,修復治療に関するもの 26.8 %,歯周治療に関するもの 19.0 %であった.治療内容は歯内治療(33.7 %)が最も多く,次いで歯周治療(13.1 %),抜歯(12.9 %)であった.さらに再治療症例は 58.0 %と高い割合を示した.以上の結果は,地域歯科医療におけるさらなる啓蒙・普及活動が必要であることを示唆している.
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