九州歯科学会雑誌
Online ISSN : 1880-8719
Print ISSN : 0368-6833
ISSN-L : 0368-6833
69 巻, 4 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 清水  博史
    2015 年 69 巻 4 号 p. 77-86
    発行日: 2015年
    公開日: 2024/04/27
    ジャーナル フリー
    本総説では,非貴金属および貴金属用の機能性モノマーの構造と金属との接着のメカニズムについて解説し,次いで金属接着技術を応用した補綴装置について述べた.一般に機能性モノマーは,金属酸化物被膜や金属表面そのものと反応する親水基,メチルメタクリレートと共重合する疎水基および耐久性に影響するといわれている中間構造の3パーツから成っている.金属接着技術が用いられる最もよく知られた固定性補綴装置は接着ブリッジとオーバーキャスティングである.一方,金属接着技術は可撤性補綴装置の作製と修理にも有用である.しかしながら,条件が格段に厳しく,クラウン・ブリッジほどの接着耐久性はない.
  • 川元  龍夫, 森田  淳平, 一田  利道
    2015 年 69 巻 4 号 p. 87-93
    発行日: 2015年
    公開日: 2024/04/27
    ジャーナル フリー
    顎変形症患者に対して,顎口腔機能の獲得,顔貌の改善を目的に外科的矯正治療が広く適応されている.この総説では国内の各施設から報告された外科的矯正治療症例の統計的検討に関する報告27編と本学附属病院矯正歯科を受診した骨格性不正咬合患者のデータベースをもとに,我が国での外科的矯正治療の経時的動向を調査した.その結果, 1.年別手術件数は増加しているが近年では大きな増減がないこと,2.男性患者より女性患者が多いが近年では男性患者の割合が増加していること,3.手術時年齢が上昇していること,4.下顎単独手術の割合が減少し,上顎単独手術,上下顎移動術の割合が増加していること,5.下顎枝矢状分割術における骨片固定法は,ワイヤー固定からスクリュー固定を経て近年ではプレート固定が多く適応されていることが示唆された.
  • 歯科保健指導における食行動変容のための視点
    中道  敦子
    2015 年 69 巻 4 号 p. 94-102
    発行日: 2015年
    公開日: 2024/04/27
    ジャーナル フリー
    歯科衛生士は,歯科保健指導によって全身の健康に貢献するために,対象者の日常生活や食行動を良く知る必要がある.その上で,対象者を行動変容させるために,適切な助言を行わなければならない.  本稿では,肥満などの生活習慣病の予防のために,咀嚼回数を増加させる具体的な研究を紹介した.筆者らの研究では,一口量を減らして食事を摂る事が,結果として咀嚼回数を増加させることを食品の実食によって検証した.さらに,一口量を減らして食事を摂ることは,嚥下に適した食塊の形成につながることも確認した.続いて,一口量を減らすための食べ方として,丸かじりよりもナイフやフォークなどの食具を使用する方が一口量が少なく,咀嚼回数が多くなるとの塩澤らの報告を紹介した.加えて,筆者らが作成した行動変容が必要な対象者をスクリーニングするための短縮版食行動質問票を紹介した.  これからの歯科衛生士は,対象者への助言の科学的根拠となる研究を蓄積していくことが重要である.その研究視点は,日常生活の些細な事象についての実証であると考える.
  • 藤井    航
    2015 年 69 巻 4 号 p. 103-107
    発行日: 2015年
    公開日: 2024/04/27
    ジャーナル フリー
    嚥下造影(VF)を用いて健常者において加齢が咀嚼嚥下に及ぼす影響について検討を行った.固形物において,咀嚼時間と回数は加齢と共に増加する.咀嚼回数と加齢が食塊咽頭進行に影響しており,固形物では嚥下前食塊咽頭進行が加齢と共に変化する.高齢者において,食塊が嚥下反射開始前に喉頭蓋を超えて容易に咽頭にまで進行することは,咽頭の感覚が低下し嚥下反射の閾値が上昇したためであると考えられる.早期の食塊咽頭進行と喉頭の感覚低下が関連して,高齢者において咀嚼中に不顕性誤嚥が起こる可能性が示唆される.
feedback
Top