哺乳類科学
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42 巻 , 1 号
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総説
  • 金子 之史, 前田 喜四雄
    2002 年 42 巻 1 号 p. 1-21
    発行日: 2002年
    公開日: 2008/07/23
    ジャーナル フリー
    日本人の研究者による哺乳類の学名の記載とその学名を付与した模式標本の保管状況を把握することは,哺乳類学の基礎である分類学を確立するためには欠くことができない.しかし,日本の哺乳類研究者がいままでに記載発表した哺乳類の新種·新亜種などの学名と模式標本のリストは今泉(1962)を除いてなく,それも未完である.日本におけるこのような状況を改善するために,2000年までの日本人哺乳類研究者が記載した学名と出典文献のリストを作成した.このリストには “nom.nud.” などの無資格名も含んだ.結果として,適格名206のうち,模式標本が現在も保管されている学名は64(31.1%),模式標本が消失した学名は57(27.7%),および模式標本の所在が未調査(“N.V.”)の学名は85(41.3%)となった.以上の結果から,我々は動物学標本と文献を永久に保管できる国立の自然史博物館の設立を強く希望する.
  • 矢竹 一穂, 梨本 真, 島野 光司, 松木 吏弓, 白木 彩子
    2002 年 42 巻 1 号 p. 23-34
    発行日: 2002年
    公開日: 2008/07/23
    ジャーナル フリー
原著論文
  • 吉田 洋, 林 進, 堀内 みどり, 坪田 敏男, 村瀬 哲磨, 岡野 司, 佐藤 美穂, 山本 かおり
    2002 年 42 巻 1 号 p. 35-43
    発行日: 2002年
    公開日: 2008/07/23
    ジャーナル フリー
    本研究は,ニホンツキノワグマ(Ursus thibetanus japonicus,以下ツキノワグマと略す)による針葉樹幹の摂食量と,他の食物の摂食量との関係ならびにツキノワグマの栄養状態の年次変動を把握することにより,クマハギ被害の発生原因を食物環境面から解明し,さらに被害防除に向けた施策を提案することを目的とした.ツキノワグマの糞内容物分析の結果,クマハギ被害の指標となる針葉樹幹の重量割合は,1998年より1999年および2000年の方が有意に高く(p<0.05),逆にツキノワグマの重要な食物種の一つであるウワミズザクラ(Prunus grayana)の果実の重量割合は,1999年および2000年より1998年の方が有意に高かった(p<0.05).また,ツキノワグマの血液学的検査の結果,1999年および2000年より1998年の方が,血中尿素濃度は低い傾向にあり,血中ヘモグロビン濃度は有意に高かった(p<0.05)ことより,1998年はツキノワグマの栄養状態がよかったと考えられる.以上のことから,クマハギ被害は,ツキノワグマの食物量が少なく低栄養の年に発生しやすく,ウワミズザクラの果実の豊凶が被害の発生の指標となる可能性が示唆された.したがって,クマハギ被害は,被害発生時期にツキノワグマの食物量を十分に確保する食物環境を整えることにより,その発生を抑えられる可能性があると考えられた.
  • 高橋 裕史, 梶 光一, 吉田 光男, 釣賀 一二三, 車田 利夫, 鈴木 正嗣, 大沼 学
    2002 年 42 巻 1 号 p. 45-51
    発行日: 2002年
    公開日: 2008/07/23
    ジャーナル フリー
    洞爺湖中島において移動式シカ用囲いワナの一種であるアルパインキャプチャーシステム(Alpine Deer Group Ltd., Dunedin, New Zealand)を用いたエゾシカ Cervus nippon yesoensis の生体捕獲を行った.1992年3月から2000年2月までに,59日間,49回の捕獲試行において143頭を捕獲した.この間,アルパインキャプチャーの作動を,1ヶ所のトリガーに直接結びつけたワイヤーを操作者が引く方法から,電動式のトリガーを2ヶ所に増設して遠隔操作する方法に改造した.その結果,シカの警戒心の低減およびワナの作動時間の短縮によってシカの逃走を防止し,捕獲効率(捕獲数/試行数)を約1.1頭/回から3.5頭/回に向上させることができた.
  • 小倉 剛, 佐々木 健志, 当山 昌直, 嵩原 建二, 仲地 学, 石橋 治, 川島 由次, 織田 銑一
    2002 年 42 巻 1 号 p. 53-62
    発行日: 2002年
    公開日: 2008/07/23
    ジャーナル フリー
    沖縄島に移入されたジャワマングース(Herpestes javanicus)の食性と在来種への影響を把握するために,沖縄島の北部地域において捕獲した83頭のマングースの消化管内容物を分析した.餌動物の出現頻度と乾燥重量は,昆虫類(71%,88mg),爬虫類(18%,27mg)および貧毛類と軟体動物(12%,33mg)が高い値を示した.また,哺乳類,鳥類,両生類および昆虫類以外の節足動物もマングースに捕食され,マングースの餌動物は極めて多岐にわたっていた.マングースが捕食した餌動物の体重を算出すると,哺乳類,鳥類,爬虫類および昆虫類がほぼ均等の重量で消失していることが示唆された.一方,餌動物の個体数と繁殖力を考慮すると,爬虫類への影響は極めて大きいと考えられた.さらに餌動物として,固有種や絶滅のおそれが高い動物種が同定され,マングースがこれらの動物に直接影響を与えていることが明確になった.現状を放置すれば,海外の多くの島嶼で起こったマングースによる在来種の減少および絶滅が,沖縄島でも繰り返されることは明らかである.沖縄島では2002年3月までの予定で,やんばる地域に侵入したマングースの駆除が実施されているが,やんばる地域における駆除の完了は急務であり,これ以降の駆除事業の継続が強く望まれる.さらに駆除した地域へマングースを侵入させない方法を早急に確立する必要がある.
報告
  • 立石 隆
    2002 年 42 巻 1 号 p. 63-69
    発行日: 2002年
    公開日: 2008/07/23
    ジャーナル フリー
    秩父山地雲取山南北両面の標高 1,000~2,018m の森林内(区域I:標高約 1,000~1,400m,区域II:標高約 1,400~1,750m,区域III:標高約 1,750~2,018~1,700m)で捕獲されたヒメネズミの繁殖活動について検討した.雄では精巣および精嚢長径がともに 8.5mm 以上の全個体において,精巣上体尾部に精子が観察された.これらの個体は大部分体重 14.0g より重かったことから,この体重を越えた雄を成体とみなした.雌では膣開口,妊娠および哺乳が認められた個体は大部分体重 12.0g より重かったことから,この体重を越えた雌を成体とみなした.いずれの区域においても春から秋にかけて繁殖が行われたが,標高のより低い区域(IおよびII)では夏に繁殖が低下する傾向がみられた.年間を通じての平均胎仔数は4.00であり,標高の違いにより胎仔数に有意差は認められず,北海道から九州まで1腹胎仔数における地域的な変動は少なかった.1繁殖期中に2回出産する雌が存在することは確実であった.
  • 木村 吉幸, 丹治 美生, 佐藤 洋司, 大槻 晃太, 渡邊 憲子, 加藤 直樹
    2002 年 42 巻 1 号 p. 71-77
    発行日: 2002年
    公開日: 2008/07/23
    ジャーナル フリー
    福島県に生息するコウモリ類の調査を,福島県内の37調査地点において1999年8月から2000年12月に実施した.その結果,21調査地点で確認されたコウモリ類は,コキクガシラコウモリ(Rhinolophus cornutus),キクガシラコウモリ(Rhinolophus ferrumequinum),フジホオヒゲコウモリ(Myotis fujiensis),モモジロコウモリ(Myotis macrodactylus),アブラコウモリ(Pipistrellus abramus),クビワコウモリ(Eptesicus japonensis),ヒナコウモリ(Vespertilio superans),チチブコウモリ(Barbastella leucomelas),ウサギコウモリ(Plecotus auritus),ニホンコテングコウモリ(Murina silvatica)およびニホンテングコウモリ(Murina hilgendorfi)の11種であった.これらのうち,クビワコウモリとチチブコウモリの2種は,福島県では初記録である.
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