中国,広西壮族自治区のマカカ属(
Macaca)の分布を明らかにするために,2005年12月に10日間,2008年11月から2009年1月に約2カ月間,中国の広西壮族自治区北部と西部に広がる保護区及び,その周辺地域において,マカカ属4種の聞き込みと観察を試みた.アカゲザル(
Macaca mulatta)は同自治区北部と西部全域の標高100–300 mに,チベットモンキー(
M. thibetana)は同自治区北部の標高400–500 m以上の地域に分布した.アッサムモンキー(
M. assamensis)は同自治区の中-南部の,標高200–400 mの地域に分布した.ベニガオザル(
M. arctoides)は同自治区西部の木論保護区のみに分布するとの情報を得た.これらの結果から,更新世初期に同自治区に分布していたチベットモンキーとアッサムモンキーより遅れて更新世中期に同自治区に到達したアカゲザルは,優位な生態的拮抗関係を通して,有利に分布域を拡大して,チベットモンキーとアッサムモンキーの孤立分布をもたらしたと推定される.
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