79歳女性。13年前, 右乳房充実腺管癌に対する定型的乳房切断術施行。約半年後より右上肢にリンパ浮腫出現し, 寛解, 増悪を繰り返していた。術後12年経過し, 右上腕屈側に紫斑を伴う紅斑が出現し, その斑上に暗赤色の丘疹も出現した。その後当科を受診し, 皮膚生検の結果脈管肉腫の所見であった。第VIII因子, CD34, CD31は腫瘍細胞に一致し陽性であった。右乳癌術後に患側の慢性リンパ浮腫を生じ, 組織学的に血管肉腫の像よりStewart-Treves症候群と診断した。治療はIL-2静注, 電子線照射を施行した。治療開始約5週間後より右前腕, 右胸部, 右背部にも病変は拡大し, 強い疼痛, 食欲不振, 嘔気, 嘔吐も認められた。疼痛緩和ケアを中心とした治療に変更したが, 意識レベルの低下, 呼吸状態の悪化, 汎血球減少を来し, 当科初診より第115病日目に永眠された。
本疾患は稀であり, 終末期治療の重要性を実感した。
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