Skin Cancer
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22 巻, 1 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
  • 森本 朝子, 尾藤 利憲, 寺嶋 三奈, 下浦 真一, 正木 太朗, 福永 淳, 市橋 正光, 錦織 千佳子
    2007 年 22 巻 1 号 p. 10-15
    発行日: 2007/06/25
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    悪性黒色腫では, 10年以上経過してから再発, 転移を来すlate recurrenceの症例が時にみられる。今回, 初発から12年後に転移を生じた57歳, 女性の皮膚悪性黒色腫を経験した。転移巣の外科的切除を行い, Dac-Tam療法施行したが, その後も再発, 転移を繰り返し, 再発から約半年の経過で死亡した。本症例は術後7年目までは定期検診を受けていたが, その後は自己判断にて通院が途切れていた。現時点では, 皮膚悪性黒色腫におけるlate recurrenceを来す危険因子については明らかでなく, どの患者にも生じる可能性はあるようである。それゆえ皮膚悪性黒色腫においてはlate recurrenceの可能性を常に念頭におき, 定期検診を続ける意義は大きいと考えられる。今後, 皮膚悪性黒色腫の長期に渡る経過観察についても標準的な指針が示されることが望まれる。
  • 井出 葉子, 酒井 咲子, 小沼 博義, 飯島 みわ子, 林 宏一, 宇原 久, 松本 和彦, 河内 繁雄, 斎田 俊明, 鹿間 直人, 亀 ...
    2007 年 22 巻 1 号 p. 16-21
    発行日: 2007/06/25
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    68歳女性。4年前より左頬部に皮疹が生じ, 徐々に増大してきた。初診時, 12.9×9.0×5.4cm大の, 表面がびらん潰瘍化した, 易出血性の巨大結節を認めた。頭部CTにて, 咬筋への浸潤および耳下腺, 顎下腺, 上内深頸部にリンパ節転移を認めた。病理組織学的に, 明るい泡沫状の胞体からなる細胞と, 好塩基性の胞体をもつ細胞の2種類で構成されており, 免疫学的にCAM5.2, BRST-1, EMA, Ber-EP4に陽性を示し脂腺癌と診断した。化学療法と放射線療法 (CDDP 70mg/m2/日, day 1+5-FU 700mg/m2/日, day 1~4, 1コース; 放射線照射2Gy×35fr=total 70Gy) により, 腫瘍が72.8%縮小した。残存腫瘍の根治術を施行し, 術後3年9ヵ月経過するが再発・転移を認めていない。
  • 馬庭 重位, 牧浦 宗彦, 八代 浩, 清水 善徳, 溝口 良順, 岡崎 芳子, 松永 佳世子
    2007 年 22 巻 1 号 p. 22-26
    発行日: 2007/06/25
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    79歳女性。13年前, 右乳房充実腺管癌に対する定型的乳房切断術施行。約半年後より右上肢にリンパ浮腫出現し, 寛解, 増悪を繰り返していた。術後12年経過し, 右上腕屈側に紫斑を伴う紅斑が出現し, その斑上に暗赤色の丘疹も出現した。その後当科を受診し, 皮膚生検の結果脈管肉腫の所見であった。第VIII因子, CD34, CD31は腫瘍細胞に一致し陽性であった。右乳癌術後に患側の慢性リンパ浮腫を生じ, 組織学的に血管肉腫の像よりStewart-Treves症候群と診断した。治療はIL-2静注, 電子線照射を施行した。治療開始約5週間後より右前腕, 右胸部, 右背部にも病変は拡大し, 強い疼痛, 食欲不振, 嘔気, 嘔吐も認められた。疼痛緩和ケアを中心とした治療に変更したが, 意識レベルの低下, 呼吸状態の悪化, 汎血球減少を来し, 当科初診より第115病日目に永眠された。
    本疾患は稀であり, 終末期治療の重要性を実感した。
  • 丸山 浩, 伊藤 周作, 藤沢 康弘, 石井 良征, 高橋 毅法, 川内 康弘, 大塚 藤男
    2007 年 22 巻 1 号 p. 27-31
    発行日: 2007/06/25
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    64歳女性。4~5年前より徐々に増大する頭頂部の腫瘤を主訴に受診。35×20mm大, 境界不明瞭, 弾性硬の軽度隆起する常色調の腫瘤。下床との可動性不良。骨膜上で切除した。組織学的に, 腫瘍は以下3種の腫瘍成分で構成されていた。1. 真皮上層から中層は, 有棘細胞様細胞からなる不規則な胞巣, 2. 真皮中層から帽状腱膜上は, 胞体の明るい細胞からなる充実性の胞巣, 3. 真皮中層から帽状腱膜内は, 胞体の乏しい, 円形の核を持つ細胞からなる小さな胞巣から成り立っていた。これら3種の腫瘍細胞には軽度の核異型を認めるが, 核分裂像はない。3種の腫瘍成分は相互に連続あるいは移行していた。神経周囲浸潤と帽状腱膜内へも浸潤をしていたため, 改めて骨膜, 頭蓋骨外板を追加切除した。腫瘍の残存がないと確認した後に分層植皮術を施行し, 術後1年6ヵ月が経過した現在, 再発はない。
  • 都甲 武史, 太田 正佳, 鈴木 茂彦, 山本 育男, 冨士原 正人
    2007 年 22 巻 1 号 p. 32-35
    発行日: 2007/06/25
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    50歳, 男性。腰部違和感が出現し, CTにて後腹膜腫瘍を指摘された。針生検を2回施行するも悪性所見 (-) のため, 経過観察としたが, 翌年疼痛が出現。CTにて腫瘍の増大が認められ, 再度針生検を施行したところ, 悪性腫瘍を疑う診断結果が得られた。同年, 腫瘍を浸潤した脾臓, 肋骨, 横隔膜と共に切除し, 腹直筋, 広背筋弁で横隔膜および胸壁, 腹壁の再建を行った。腫瘍の主体はmyxofibrosarcoma, 一部はmyxoid malignant fibrous histiocytoma (myxoid MFH) と病理診断された。
    MFHは同一腫瘍内でも部位によって極めて多彩な組織像を呈するため, 針生検を含む少量の生検では細胞の配列形態をとらえることが非常に困難である。したがって, MFHが疑われる場合, 生検を行う際には可及的充分量の組織を採取する事が確定診断を導き出す上で極めて重要であると考えられる。
  • 堀江 正樹, 鈴木 利宏, 籏持 淳, 山崎 雙次, 野島 孝之
    2007 年 22 巻 1 号 p. 36-38
    発行日: 2007/06/25
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    39歳女性の右足底から足背に生じた増殖性の皮下腫瘍を経験した。患者の治療拒否により放置され, 急速に増大した。腫瘍は骨に浸潤性に増殖し, 疹痛のため, 歩行も困難となった。生検時には, 腫瘍は単調な線維性の腫瘍細胞からなり, 免疫組織学的に明らかな分化傾向もみられず, 診断が困難であったが, 手術材料の病理所見ではわずかに扁平上皮細胞の胞巣を混じており, 組織学的に滑膜肉腫と診断し得た。また, 遺伝子学的検索でもSYT-SSX遺伝子複合体の発現が認められた。
  • 黒田 潤, 半田 芳浩
    2007 年 22 巻 1 号 p. 39-43
    発行日: 2007/06/25
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    72歳女性。初診の約3週間前に右下腿の皮下結節に気付いた。初診時, 右膝内側中央部に直径約8mm, 弾性硬の皮下結節を触知し, 皮表は盛り上りなく平滑で淡紅色を呈する。全摘腫瘍の病理組織では, 小型類円形で細胞質に乏しく核分裂像を伴った腫瘍細胞が真皮深層から脂肪組織を圧排しながら増殖し腫瘍巣を形成していた。免疫組織化学染色では抗cytokeratin抗体 (CK20, AE1, AE3, CAM5.2) , 抗chromograninA抗体, 抗Neuron Specific Enolase抗体, 抗CD56抗体に陽性であった。電子顕微鏡で腫瘍細胞質内に有芯顆粒を認めた。以上よりメルケル細胞癌と診断した。腫瘍は辺縁から1cm離して筋膜上の深さで全摘出しており, 原発部位と所属リンパ節にX線を各々計40Gy照射した。術後1年7ヵ月の現在まで再発・転移はない。本症は顔面に好発し紅色で半球状の結節や腫瘤を呈することが多く, 自験例のように盛り上らず, しかも下腿に発生した例は稀のため報告した。
  • ドセタキセル術後補助療法の有用性
    山本 圭子, 八田 尚人, 石井 貴之, 平野 貴士, 藤本 晃英, 森田 礼時, 竹原 和彦
    2007 年 22 巻 1 号 p. 44-48
    発行日: 2007/06/25
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    頭部血管肉腫は極めて予後の悪い腫瘍であるが, 最近では新しい治療法により予後に若干の改善がみられるようになっている。治療法と予後との関連を検討するため1995年~2005年の11年間に金沢大学皮膚科で経験した12例 (男性8例, 女性4例) の頭部血管肉腫について解析した。
    12例中9例は広範囲切除 (マージンの平均2.5cm) を含む集学的治療を行った。手術を行わなかった2例を含む4例にrIL-2を使用した。6例で電子線の術後照射を, 2例では再発病変に対し放射線治療を行った。ドセタキセルによる化学療法 (weekly TXT) を3例の肺転移巣の治療に, 5例で術後補助療法として行った。
    局所再発は5例にみられた。7例に肺転移が出現し, 12例中7例が原病死した。術後にweekly TXT療法を行った群は行わなかった群に比べ有意に生存期間が長かった。
  • 坂元 花景, 小泉 直人, 益田 浩司, 竹中 秀也, 加藤 則人, 岸本 三郎
    2007 年 22 巻 1 号 p. 49-52
    発行日: 2007/06/25
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    症例1は71歳女性。初診の数ヵ月前より左第5指爪部に違和感や出血を, 1ヵ月前より圧痛を認めるようになった。初診時, 爪甲中央部爪下に赤色局面を認め, 部分抜爪の上, 生検を行ったところ, ボーエン病が疑われた。再度生検を施行し, 有棘細胞癌と診断した。骨膜上で剥離し, 全爪部を含め腫瘍を切除した。人工真皮植皮術を施行し, その後全層植皮術を行った。症例2は65歳男性。認知症にて他院に長期入院中。約1ヵ月前に右第4指をドアに挟み, その後より同部位に出血, 腫脹が出現した。初診時爪下に約1cmの弾性軟の結節を認め, 生検にて有棘細胞癌と診断。局麻下にDIP関節にて切断術を施行した。爪下の有棘細胞癌は稀であり, また生検が抜爪を伴うため患者の同意が得られにくく, 診断が遅れることも多いが, 必要に応じて繰り返し生検することも必要であると考えられた。
  • 加茂 理英, 梅香路 綾乃, 今西 久幹, 原田 輝一, 石井 正光
    2007 年 22 巻 1 号 p. 53-56
    発行日: 2007/06/25
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    基底細胞癌は顔面に好発する腫瘍である。臨床的には典型的な臨床像をとることから診断は容易である。しかし, 躯幹に生じた場合, 様々な臨床をとり診断に苦慮することがある。患者は83歳, 女性。1999年頃より右鼠径部の腫瘤に気付いた。徐々に増大し出血・滲出液を生じるようになり, 2005年7月当科を受診した。初診時, 右鼠径部に53×45mmの易出血性の黒褐色有茎性腫瘤が存在し, 右鼠径部リンパ節は腫大していた。臨床的に, 悪性黒色腫, エクリン汗孔癌, 基底細胞癌などを疑い皮膚生検を行った。病理組織学的に基底細胞癌と診断した。鼠径部に有茎性基底細胞癌が生じることは比較的稀である。有茎となる要因はまだ明らかにされていない。躯幹では基底細胞癌が有茎腫瘤を呈する可能性も考慮すべきである。
  • 浅井 かなこ, 岩田 浩明, 神谷 秀喜, 北島 康雄
    2007 年 22 巻 1 号 p. 57-61
    発行日: 2007/06/25
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    症例は61歳男性。2000年から出現した右顔面の結節・潰瘍の急激な拡大を主訴に当科を受診した。初診時には右眼窩を中心に著しい腫瘍性の潰瘍がみられた。組織は典型的な結節・潰瘍型の基底細胞癌であり, 臨床所見から破壊型基底細胞癌と診断した。腫瘍の減量を目的として可及的な腫瘍摘出術とクライオサージェリー, 放射線治療を施行した。1年後に辺縁部から再発して再度腫瘍摘出術を追加した。その2年後CTで肺に多発結節像, 肝に6cm大の腫瘤像を認め, 肝臓からの針生検で基底細胞癌の転移と診断した。
    その後の再々発に対しては, 原発巣への放射線治療のみ施行し, 転移巣への治療は行っていない。1年後に腫瘍による悪液質に陥り永眠された。
  • 渡邉 理枝, 三上 正史, 北見 周, 秋山 正基, 末木 博彦, 飯島 正文, 清水 祐紀
    2007 年 22 巻 1 号 p. 62-67
    発行日: 2007/06/25
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    87歳女性。約8年前より右II指に小結節が出現。その後, 徐々に増大したが放置していた。数ヵ月前より疼痛を伴うようになったため心不全で入院中の病院より当科を紹介され受診した。右II指PIP関節背から指腹部にかけて5×3cm大, 不整形の暗紅色結節があり, 表面は細顆粒状で凹凸不整, びらん, 出血を伴っていた。組織では, 表皮から連続性に不規則棍棒状~索状に腫瘍細胞が増殖し管腔様構造を伴い, 一部では腫瘍胞巣が真皮深層まで浸潤性に増殖していた。腫瘍細胞は核の大小不同, 異型性, 核分裂像を伴う類円形細胞より形成されていた。腫瘍巣の辺縁部では表皮が索状に分枝癒合し管腔様構造を伴っていた。腫瘍辺縁より5mm離して右II指をMP関節で切断したが, 約1ヵ月後に心不全のため死亡した。
  • 太田 まゆみ, 堀部 尚弘, 大島 昭博, 八木 宏明, 橋爪 秀夫, 瀧川 雅浩
    2007 年 22 巻 1 号 p. 68-71
    発行日: 2007/06/25
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    79歳, 男性。初診の13年前より右腋窩に自覚症状のない皮膚病変が出現した。近医にて, ステロイド外用剤やUVB照射療法を受けたが, 1年前より拡大傾向が顕著となった。当科の紹介受診時, 右腋窩に紫紅色多形皮膚萎縮が限局して存在していた。皮膚生検にて真皮上層に異型リンパ球が密に浸潤し, 多くはCD3+CD4+CD7+CD45RO+CD45RA-であった。サザンプロット法にてT細胞受容体の遺伝子再構成が証明された。皮膚以外へのリンパ腫細胞の浸潤はなく, Stage Iaのunilesional mycosis fungoidesと診断した。局所および予防的全身電子線照射療法により皮疹は色素沈着を残し完治した。治療後1年6ヵ月間, 皮疹の再発や他部位での新たな病変の出現はない。
  • 伊藤 康裕, 村上 正基, 辻 ひとみ, 柏木 孝之, 飯塚 一
    2007 年 22 巻 1 号 p. 72-76
    発行日: 2007/06/25
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    症例1は64歳, 男性。初診の約2年前から右足底の黒色斑に気付いたが, 徐々に増大してきたため当科を受診した。右足底外側に2×3cm大の辺縁不整の茶褐色から黒褐色の色素班を認めた。手術前日にテクネシウムフチン酸を用い, リンパシンチグラフィーを施行し右鼠径, 右膝窩に集積像を認めた。術中2.5%パテントブルーとガンマープローブを併用し, 右鼠径, 右膝窩に1個ずつ青染したリンパ節を摘出した。
    症例2は74歳, 女性。初診の約4年前から右手掌の黒色斑に気付いたが, 徐々に増大してきたため当科を受診した。右3, 4指基部, 手掌に不整型で濃淡に差のある黒色斑を認めた。黒色斑は4指では一部背側まで広がっていた。症例1と同様にリンパシンチグラフィーを施行し, 右肘窩と右腋窩の2ヵ所に集積像を認め, 術中に右肘窩に2個, 右腋窩に1個の青染したリンパ節を摘出した。
  • 廣瀬 寮二, 山岡 俊文, 楠本 美奈子
    2007 年 22 巻 1 号 p. 77-80
    発行日: 2007/06/25
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    66歳男性が右足底の15×22mmの黒色斑を主訴に受診した。左右非対称性, 辺縁不整, 色調は一様であるが濃黒色を呈した。表在リンパ節の腫大はなかった。臨床所見から悪性黒色腫と診断したため, 皮膚生検は行わず広範囲切除を計画した。術前のセンチネルリンパシンチにて右鼠径部に1ヵ所のみ集積を認めた。原発巣の広範囲切除の直前に, 色素法を用いセンチネルリンパ節を1個摘出した。術後の病理検査の結果, 原発巣の腫瘍はわずか0.8mmの厚さで, Clarkのlevel IIであったが, リンパ節の一部に転移を認めた。その後, 腸骨動脈周囲リンパ節におよぶ広範囲の郭清術を施行したが, 郭清されたリンパ節には転移は発見されなかった。また全身のCTにて遠隔転移は発見されなかった。原発巣は1mm以下の薄い腫瘍であったにもかかわらず, すでに転移していたことになる。したがって悪性黒色腫の浸潤癌では厚さに関係なく全例センチネルリンパ節生検をすべきと考えた。
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