Skin Cancer
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23 巻, 1 号
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  • 岡島 加代子, 大野 祐樹, 金子 健彦, 小宮 格, 岩原 邦夫, 石井 文人, 橋本 隆
    2008 年 23 巻 1 号 p. 11-16
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    42歳男性。発熱, 口内炎, びまん性細気管支炎, 肺炎により発症。同時期に躯幹に小水庖を伴う紅斑, 腹部CTにて腸間膜リンパ節腫大が認められたため精査目的で当院内科入院。皮膚科紹介時には口腔内と口唇の広範囲にびらんを認めた。血清抗デスモグレイン1,3抗体陽性。躯幹紅斑の皮膚生検では, 表皮基底細胞の空胞化と基底層直上の裂隙形成が認められた。蛍光抗体直接法では表皮細胞間にIgG陽性。基底膜部にC3陽性。間接法では, 抗表皮細胞間抗体陽性。ラット膀胱切片を基質とした蛍光抗体間接法はエンボプラキン陽性, ベリプラキン陽性。腹腔内リンパ節生検病理所見も併せて, B細胞リンパ腫を伴うparaneoplastic pemphigusと診断。化学療法, ステロイド内服, ステロイドパルス, ステロイド外用はいずれも, 粘膜症状を改善させることができなかった。発症後, 5ヵ月にて高度の閉塞性換気障害を伴う呼吸器不全のため死亡。
  • 中村 悠美, 川村 龍吉, 小川 陽一, 猪爪 隆史, 柴垣 直孝, 松江 弘之, 金子 明博, 島田 眞路
    2008 年 23 巻 1 号 p. 17-21
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    症例は48歳, 男性。約10年前より左下眼瞼に黒色小結節が出現。1年前より拡大するためH16年6月当科紹介受診。左下眼瞼中心に一部上眼瞼におよぶ黒色の結節性病変が存在, 眼窩内への浸潤も疑われた。組織学的に腫瘍細胞はほとんどがbasaloid cellより構成されていたが, 一部にsquamoid cellも認めておりbasosquamous cell carcinoma (BSCC) と診断した。患者本人が眼球摘出に難色を示したため, 過去の報告に基づきシスプラチン (CDDP) と塩酸ドキソルビシン (ADM) によるCA療法を3クール施行したところ著効を示した。眼球摘出の適応になるような眼瞼部basal cell carcinomaおよびBSCCについて, CA療法は有用であると考えられた。
  • 齋藤 亮, 堤田 新, 古川 洋志, 坂本 泰輔, 齋藤 典子, 山本 有平, 木村 鉄宣
    2008 年 23 巻 1 号 p. 22-26
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    45歳, 男性。1年前に左頬部に腫瘤が出現した。前医で生検を施行されmyxofibrosar-comaが疑われた。当科初診時, 4.5×3.5cm大の弾性軟な腫瘤を認めた。治療は2cmのwide excisionになるように頬骨骨膜と咬筋の一部を切除した。切除後組織欠損はcervicofacial flapで再建した。病理組織学的検査では, 真皮から筋層にかけて多量のムチンを含む比較的境界明瞭な結節性病変があり, 軽度の異型性のある円形や紡錘形の核をもつ細胞が増加していた。免疫組織化学染色ではα-SMA, desmin, S-100蛋白, cytokeratinは陰性で, CD68は陽性であり, myxofibrosarcoma, FNCLCCによる組織学的悪性度はGrade 1, AJCC systemではStage IAと診断した。 補助療法は行わず, 術後2年を経過して再発, 転移は認めていない。
  • 清原 忠彦, 幾井 宣行, 大津 詩子, 森脇 真一, 清金 公裕
    2008 年 23 巻 1 号 p. 27-31
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    大阪医科大学皮膚科において平成7年4月から平成18年12月の約12年間に経験した転移性皮膚癌37例 (男性21例, 女性16例) を集計した。同期間内に当科外来を受診した新患総数に対する転移性癌の頻度は0.08%であった。受診時の平均年齢は64.7歳, 原発巣として肺癌 (9例) , 乳癌 (7例) , 胃癌 (5例) が多くこれらで全体の57%をしめていた。皮膚への転移部位では胸腹部に最も多くみられ, 臨床型では小結節が多発する例が84%と大多数をしめ, 病理組織像は79%が腺癌であった。原発巣が発見されたのちに皮膚転移が出現した例は27例で, 出現するまでの平均期間は20ヵ月であった。また, 皮膚転移が出現したあとに全身検索にて原発巣が発見された症例が10例みられた。
  • 加嶋 亜紀, 緒方 克己, 江良 幸三, 帖佐 宣昭, 古結 英樹, 楢原 進一郎, 瀬戸山 充
    2008 年 23 巻 1 号 p. 32-35
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    75歳男性。既往歴: 糖尿病。約6年前から自覚した左足底の皮下病変につき, 類表皮嚢腫およびその再発として計5回の切除術を受けた。その後左足背外側に発赤, 腫脹が再度出現し, 糖尿病を背景とした感染症疑いで当科を紹介受診。初診時, 左足背外側はびまん性に暗紫色調に腫脹し中央に波動あり。足底には小瘻孔と手術瘢痕を認めた。穿刺液の塗末標本では角化細胞が多数確認された。前医の病理標本では嚢腫状構築がみられ, その壁の基底側から周囲に索状, レース状に軽度異型性を示す基底細胞様細胞の増殖巣を認めた。治療経過: 足背の腫脹も腫瘍性病変によると考え, 足底の切除瘢痕を含め足背にかけ足趾骨を残して切除, 植皮を行った。1年後局所再発したため, 第IV, V趾を含め立方骨関節で離断。約8ヵ月再発は認めていない。
    本症はcarcinoma cuniculatumからのanaplastic transformationと考えた。一方carcinoma cuniculatumの発症母地として類表皮嚢腫が関与した可能性も窺わせた。
  • 七戸 龍司, 堀内 勝己, 大澤 昌之, 川嶋 邦裕, 吉田 哲憲, 高田 明生, 武内 利直, 松村 哲理
    2008 年 23 巻 1 号 p. 36-40
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    62歳男性。初診の半年前から右母指爪下に白色調の病変と周囲の発赤を自覚した。前医で爪の開窓および病変の掻爬処置を受けたが病変の再発を認め, 悪性腫瘍を疑われ当科を紹介された。初診時に右母指爪甲の表面は粗槌で中央部に爪甲欠損部を認め, 爪甲欠損部の中枢側に大きさ6×5mmの淡褐色の腫瘤が透見された。単純エックス線写真では右母指末節骨の骨破壊像が認められ, 右上腕内側には弾性硬の皮下腫瘤が触知された。爪下の腫瘍を切除し, 皮膚欠損部は人工真皮で被覆し, 二期的に分層植皮術を行い再建した。病理組織では有棘細胞様の胞体の広い細胞がカップ状に増殖し, 内腔に角化物を容れた像が認められ爪下ケラトアカントーマと診断した。
  • 木藤 健治, 高沢 裕子, 鶴田 恭子, 村田 浩, 林 宏一, 古賀 弘志, 中藤 奈美, 久保 仁美, 斎田 俊明
    2008 年 23 巻 1 号 p. 41-46
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    64歳, 男性。初診の3年程前に気付いた外陰部の紅斑, びらんが拡大してきたため, 平成17年4月1日, 当科を受診した。初診時, 鼠径部から陰嚢, 陰茎基部にかけて紅斑, 結節, 潰瘍を認め, 右鼠径部には腫大したリンパ節を触知した。FDG-PETで右総腸骨動脈リンパ節までの転移が疑われた。CEAは7.0ng/mlであった。乳房外Paget病と診断し, 原発巣の全摘と腹部大動脈分岐部までのリンパ節郭清を行った。術後EC (EPI, CPA) 療法を4クール行い, CEAは3ng/ml以下となった。平成18年4月よりCEAが7.6ng/mlと上昇し, FDG-PETで左傍大動脈領域リンパ節に集積を認めた。Low dose FP療法を参考にした5剤併用療法 (5-FU, EPI, CDDP, VCR, MMC) の変法を5クール施行し, CEAは2.2ng/mlへ低下し, FDG-PETの集積像も陰性化した。
  • 江尻 浩隆, 野村 正, 野々村 秀明
    2008 年 23 巻 1 号 p. 47-52
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    肺癌で皮膚転移が認められる場合の多くは, 既に他臓器にも転移をしており, 皮膚転移に対する切除術は一般的に生命予後を改善しないと考えられている。しかし患者のQOLに寄与でき, かつ病状が許すならば切除術も考慮すべきと考えられている。今回我々は, 肺癌の皮膚転移に対して切除術を施行した6症例について検討した。症例は57歳から76歳までの男性4例と女性2例で, 平均年齢は64.0歳, 組織型は腺癌4例, 扁平上皮癌1例, 小細胞癌1例であった。肺癌の診断から死亡までの平均期間は13.0月, 皮膚転移から死亡までの期間は6.2月で, 諸家の報告と同様切除術は生命予後を改善しないという結果となった。しかし, すべての症例において術後創部は特に問題なく治癒し, 疼痛などの愁訴はすべて改善を認めたことから, 切除術は患者のQOLに寄与することができる重要な手段の一つであると考えられた。
  • 塩原 順子, 宇原 久, 河内 繁雄, 高田 実, 斎田 俊明
    2008 年 23 巻 1 号 p. 53-59
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    2001年から2006年に信州大学皮膚科を受診したCD30陽性リンパ腫は8例であった。これらの症例の臨床像と組織像, 治療および経過を検討した。皮膚原発未分化大細胞リンパ腫は6例で, うち切除あるいは生検した5例を含め, 初回病変は自然消退した。この5例中, 1例は再発なく, その後より小型の同様皮疹が再発した4例も, 未治療で自然消退した。残りの1例は, 放射線療法・化学療法で完全緩解に至らず, 他病死した。二次性のCD30陽性リンパ腫は2例あった。1例は菌状息肉症の大細胞変化で, 放射線療法と化学療法を併用したが腫瘍死した。もう1例は節性未分化大細胞リンパ腫で, 化学療法により緩解した。皮膚原発未分化大細胞リンパ腫は, 単発または複数病巣の症例でも, 自然消退している間は無治療で経過観察すること, また二次性を鑑別することが重要と思われた。皮膚原発例については良好な予後が期待できると思われた。
  • 青木 見佳子, 新井 栄一, 川名 誠司
    2008 年 23 巻 1 号 p. 60-65
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    77歳, 女性。約3週間の経過で出現した右前腕外側の潰瘍形成を伴う紅色結節を主訴に受診。組織学的には明瞭な核小体と大型異型核, 好酸性で豊かな細胞質を有する中型から大型の細胞が, 脂肪組織を主坐として真皮上層まで浸潤している。腫瘍細胞は免疫酵素組織学的にCD8, Granzyme B, TIA-1を発現し, CD4, CD56は陰性である。一部の細胞はCD30を発現している。皮膚病巣部から採取された材料においてTCRc β1遺伝子再構成を認める。その後, 約8年間に計7ヵ所の同様の皮膚結節が出現したが, 単純全摘など局所療法のみで経過は良好であり, 自然消退するものもみられた。CD30+anaplastic large cell lymphomaとするにはCD30の陽性率が低く, またsubcutaneous panniculitis-like T-cell lymphomaとするには腫瘍細胞が大型で, 好酸球浸潤・真皮浸潤が強い。以上より, 現在のWHO-EORTC分類ではcutaneous peripheral T-cell lymphoma, unspecifiedとせざるを得ない細胞障害性分子が陽性のcytotoxic lymphomaの1例と考えた。
  • 福本 毅, 鬼木 俊太郎, 松田 聡子, 山田 陽三, 堀川 達弥, 錦織 千佳子, 柴垣 亮, 大島 孝一
    2008 年 23 巻 1 号 p. 66-71
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    症例は, 74歳男性。2004年12月に右大腿に紅班を自覚し, 結節を伴うようになった。2005年6月に皮膚生検を行い, 芽球様異型リンパ球の広範な皮膚への浸潤を認めた。この細胞は, 免疫組織学的特殊染色ではCD4, CD56, CD123, TdTが陽性, cCD3, CD45RO, CD20, CD79a, TIA, LFA-1が陰性であった。遺伝子検査では, T細胞レセプター, 免疫グロブリンH鎖の遺伝子再構成がなく, またEBウイルスのterminal repeatが認められないことよりCD4+/CD56+hematodermic neoplasmと診断した。CHOP療法6クールにて一旦完全に緩解を認めたが, 5ヵ月後に, 両大腿の皮膚とその所属リンパ節に再発を認めた。皮膚病変は外科的に切除した。その1ヵ月後には所属リンパ節への腫瘍細胞の浸潤, 次に髄膜浸潤を認め, いずれも電子線照射を施行した。しかし, その後末梢血中への腫瘍細胞の白血化を認め, 2006年10月に多臓器不全・脳幹部出血にて永眠した。
  • 影山 潮人, 新田 悠紀子, 大野 稔之, 小池 文美香, 森谷 鈴子, 市原 周, 大橋 春彦
    2008 年 23 巻 1 号 p. 72-75
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    84歳, 男性。既往歴に胃癌と前立腺癌がある。2年半前より膀部に5×6cm大, 暗赤色の小結節を伴う局面あり。組織像では, 真皮浅層から深層にかけてびまん性に胚中心細胞様細胞の浸潤を認め, 一部濾胞様構造を呈し, 形質細胞と反応性のT細胞の浸潤をみた。異型細胞はCD20陽性, CD4, 8, 5一部陽性, CD10, 23陰性であり, MALTリンパ腫と診断した。末梢血と骨髄に異型細胞なく, 全身検索で他に病変を認めず。Sister Mary Joseph結節様皮疹を呈した皮膚原発MALTリンパ腫を経験したので報告した。
  • 三橋 真理子, 原 弘之, 松永 晶江, 須田 たかね, 岡田 知善, 照井 正
    2008 年 23 巻 1 号 p. 76-79
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    66歳男性。既往歴に慢性腎不全あり。初診の1年半前より頬部に黒色の丘疹を自覚し, 当科を受診した。初診時, 左下眼瞼下方に10×10mm大の黒色の丘疹を認めた。病理組織所見では, N/C比の高い基底細胞様細胞で構成される多数の胞巣がみられ, 腫瘍胞巣内, 嚢腫内, 間質内に石灰化を伴っていた。血清Ca値, P値は正常であり, 異栄養性石灰化を伴う基底細胞癌と診断した。基底細胞癌の石灰化について詳しく検討された報告例はほとんどない。今回貴重な症例を経験したので, 文献的考察を含め, 石灰化の特徴や発生機序について考察した。
  • 入澤 亮吉, 山本 俊幸, 泉 美貴, 坪井 良治
    2008 年 23 巻 1 号 p. 80-86
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    巨大尖圭コンジローマはBuschke-Löwenstein腫瘍とも呼ばれ, 主に外陰部で外方に向かって増殖し, 巨大化するHuman papilloma virus (HPV) 感染症に由来する腫瘍性病変である。外観は悪性を思わせるものの, 組織学的には良性の所見をとることが特徴とされる。転移することはないが, 局所での浸潤が深部におよび致命的になることも少なくないため, 治療は根治的切除が一般的である。今回我々は肛門周囲に出現した巨大尖圭コンジローマに対し焼灼術を施行し, 良好な結果を得たので報告する。
  • 八巻 ふみ, 檜垣 淑子, 赤堀 亘, 中村 年伸, 吉池 高志, 祖父尼 哲
    2008 年 23 巻 1 号 p. 87-92
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    乳癌, 肺癌を合併した多発性Bowen病の症例について報告するとともに, 本邦で報告があった多発性Bowen病の251例のうち内臓悪性腫瘍を合併した91例に関する統計的観察を述べる。症例は79歳, 女性。既往として8年前に乳癌, 1年前に右耳後部の有棘細胞癌の診断にて切除術を受けている。胸部の多発する褐色皮疹を主訴に来院した。病理組織学的にいずれもBowen病と診断した。その後の全身精査にて肺癌が発見された。発癌因子で明らかなものはない。
  • 村井 真由美, 原 弘之, 清水 秀直, 須田 たかね, 下島 博之, 三浦 勝浩, 斉木 実, 石塚 光, 照井 正
    2008 年 23 巻 1 号 p. 93-97
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    39歳男性。右下腿の悪性黒色腫 (NM, stage IIc) を拡大切除し, 2年間かけてDAV療法を8コース施行した。最初の化学療法施行から7年後に下肢の紫斑と汎血球減少が出現した。現症: 両下肢に径5mm大までの種々の大きさの紫斑を多数認める。皮膚生検で真皮内に赤血球の血管外漏出と白血病細胞のびまん性浸潤がみられた。骨髄生検にて急性骨髄性白血病 (巨核芽球性白血病) と診断された。血小板輸血にて紫斑は軽快した。アルキル化剤を用いた化学療法後に白血病が発症しており, 治療関連白血病と考えられた。
  • 川上 千佳, 杉田 和成, 椛島 健治, 戸倉 新樹
    2008 年 23 巻 1 号 p. 98-101
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    63歳女性。初診の5ヵ月前に前額部に紅色皮疹が出現し, その後, 後頭部, 耳介後方, 頭頂部にも拡がった。近医皮膚科で外用治療を受けたが改善しないため, 当院を受診した。初診時, 頭部に多発する結節を認め, 皮膚生検で腺癌の所見を得た。CTにて, 左肺門から下葉にかけて不正形陰影とその周囲に数mm大の多発結節を認め, 気管支鏡下生検で肺癌と診断された。転移巣は頭蓋内, 肝臓, 副腎にも認められた。化学療法と放射線療法により, 原発巣と皮膚転移巣の縮小をみた。
  • 黄 詩敏, 和田 了, 吉池 高志
    2008 年 23 巻 1 号 p. 102-106
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    84歳女性。4年前に有棘細胞癌の切除後に左の鼠径部から右前頭部に移植された皮膚表面に褐色乳頭状隆起する結節が多発。病理組織学的に脂漏性角化症。植皮部の辺縁から生じた病変は急速に中央に向かって進展, 融合した。有棘細胞癌切除時の臨床, 病理組織像を検討したところ, 脂漏性角化症内より発生した有棘細胞癌であり, 切除された組織像と植皮部に再発したそれとは類似 (clonal type) していた。採皮部の左鼠径部にはその後脂漏性角化症の発生を認めず, 植皮上に多発する特異な臨床像は, 植皮側である右側頭部の局所要因によってもたらされたと考えた。
  • 平田 央, 中西 健史, 今西 久幹, 原田 輝一, 石井 正光
    2008 年 23 巻 1 号 p. 107-110
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    80歳, 男性。79歳時より前額部および左前腕に紅色腫瘤が出現し, 次第に増大してきた。左前腕部紅色腫瘤の皮膚生検で, 真皮にGrenz zoneとその下層にび漫性の密な腫瘍細胞の浸潤を認めた。免疫染色では, 腫瘍細胞はLCA (+) , CD4 (+) , CD56 (+) , CD3 (-) , CD5 (-) , CD8 (-) , CD10 (-) , CD20 (-) , CD30 (-) , CD34 (-) , CD79a (-) , TIA-1 (-) , グランザイムB (-) , TdT (-) , MPO (-) , bcl-2 (+) であった。サザンプロット法にてT-cell receptorおよび免疫グロブリンH鎖の遺伝子再構成を認めなかった。造影CT, FDG-PETにてリンパ節腫脹や遠隔転移は存在しなかった。以上より, 本症をCD4+/CD56+hematodermic neoplasmと診断した。
  • 鈴木 理永, 西澤 千尋, 阿部 澄乃, 山崎 滋孝, 池田 志斈
    2008 年 23 巻 1 号 p. 111-116
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    68歳, 女。2006年10月から左大腿の紅色結節が出現・徐々に増大したので, 2007年3月1日に当科を受診した。初診時, 左大腿伸側に直径約3cmの易出血性有茎性紅色腫瘍があり, 切除術を施行した。病理組織では, 表皮内から真皮にかけて有棘細胞様異型細胞が増殖している部位と, 腺腔構造を形成しムチンを含有する細胞の増殖した部位が隣接していた。扁平上皮癌成分と腺癌成分が同一腫瘍内部にみられたので, adenosquamous carcinoma of the skinと診断した。
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