大気環境学会誌
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43 巻, 2 号
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  • 茶谷 聡, 森川 多津子, 芦崎 翠, 平井 洋, 國見 均
    2008 年 43 巻 2 号 p. 79-91
    発行日: 2008/03/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    3次元大気シミュレーションを用い, 汚染物質濃度に対する各種発生源や越境輸送の感度を求めた。O3に対しては, 越境輸送の感度が圧倒的に大きく算出された。年や月平均値で見ると, 人為発生源の感度は年を通して負であった。NO2に対しては, 自動車と自動車以外の人為発生源の感度が同等であったが越境輸送の感度も年平均値に対して+32%と高かった。これは, NO2が直接越境輸送されるのではなく, 都市部ではNOの濃度が高いため, 越境輸送されるO3との反応によるNO2の生成がNOではなくO3に規定されるためである。SPMに対しては, 越境輸送の感度が+50%前後で, 続いて自動車以外の人為発生源, 自動車の感度が高く, 植物VOCや海塩粒子の感度は小さかった。SPMに対する感度を成分に分けると, 発生源や越境輸送の直接的な影響だけではなく, O3やVOCが絡む大気中での光化学反応による二次粒子生成や, ガス・粒子問の相平衡などによる, 非線形な影響が見られた。
    本研究により, 汚染物質濃度の低減策を検討するためには, 発生源からの直接排出だけではなく, 越境輸送, 更には光化学反応や相平衡など大気中での非線形的な諸現象を考慮する必要があることが示唆された。
  • 井手 靖雄, 小林 恵三, 堀内 健司
    2008 年 43 巻 2 号 p. 92-99
    発行日: 2008/03/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    温暖化は世界的に最も懸念される環境問題の1つであり, この防止ためには, 車のCO2排出量は, 車の燃費向上等により削減されなければならない。4車線の順風道路が車の空力抵抗の減少となって, 省エネ道路となることが空気力学的に既に示されているので, 今回は, 新たな断面積のスカイトンネル (延長5kmの2区間) の3車線の順風道路について, 交通量2500台/h (大型車混入率20%) の場合の省エネ, 省燃費CO2削減を調査した。省エネ量約9GJ/h (省エネ率35%) で, 少なくとも省燃費量350L/h (省燃費率15%以上), ひいてはCO2削減量900kg/h (省CO2率15%以上) の結果が得られた。
  • 日置 正, 中西 貞博, 向井 人史, 村野 健太郎
    2008 年 43 巻 2 号 p. 100-111
    発行日: 2008/03/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    降水に対する長距離輸送の影響と地域汚染の影響とを個別に評価することを目的として, 主に大陸からの大気汚染物質の長距離輸送の影響を受けると考えられる京都府丹後半島の弥栄町と, 京都府南部および大阪平野等の地域汚染の影響を受けると考えられる京都府八幡市において2000年4月から1年間, 同日降水を採取した。降水中のイオン種濃度, 金属元素濃度, 金属元素濃度比および鉛同位体比の観測結果に後方流跡線解析を適用し, 降水中成分に対する人為汚染物質や土壌元素の長距離輸送および地域汚染の影響を評価した。
    弥栄, 八幡ともにほぼ陰イオンと陽イオンがバランスしていたが, イオン種の当量濃度の総量は弥栄が八幡より大きくなっていた。また, 内陸に立地する八幡に比べ弥栄では海水の影響が顕著であった。主たる発生源が人為起源と考えられる元素では, 八幡および弥栄における濃度レベルおよび濃度変化が大きく異なり, 土壌起源と考えられる元素では比較的一致していたことから, 人為起源元素については大陸および朝鮮半島等からの長距離輸送に加えて地域的な発生源の影響を受けているものと考えられた。降水中のPb/Zn比, Sr/Mn比, Pb/Cd比およびV/Mn比を用いた解析により, 弥栄では長距離輸送される大気汚染物質の影響が想定される場合, これらの濃度比が高くなることが観測された。また, 八幡では都市大気エアロゾル中の金属元素濃度比と降水中の金属元素濃度比が整合的であった。気塊が中国中部や朝鮮半島を経由するときに弥栄で高い鉛同位体比が観測され, 八幡では地域汚染の影響で鉛同位体比が低くなる傾向を示しており, これら金属元素濃度比や鉛同位体比の長距離輸送や地域汚染の指標としての有効性が明らかとなった。
  • 宮崎 光治, 松本 淳, 加藤 俊吾, 梶井 克純
    2008 年 43 巻 2 号 p. 112-118
    発行日: 2008/03/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    We propose herein a new principle to measure atmospheric NO using an NO2 detector. We tested this method to determine whether precise measurements are achievable or not when using a laser induced fluorescence detector for NO2. To convert NO to NO2, O3 is added to the sample air. When adding O3, not all of the NO is used in the generation of NO2: some of the NO does not react with the O3 and some of the formed NO2 reacts with O3.Using a box model we simulated the time evolution of the NO2 concentration after the addition of the O3. We found the optimum condition of reaction time and O3 concentration by both calculation and experiment. To verify the usefulness of ambient air measurements using this technique, observations were conducted. NO concentrations obtained by this system were compared with those of the chemiluminescence technique and resulted in excellent agreement.
  • 鳥山 成一, 日吉 真一郎, 山崎 敬久, 水上 昭弘, 奥村 秀一, 藤崎 進, 溝口 俊明, 木戸 瑞佳, 中村 篤博, 中谷 訓幸, ...
    2008 年 43 巻 2 号 p. 119-125
    発行日: 2008/03/10
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    昇華性を有するガス状ホウ素化合物測定法について, 煙道内外の温度差や分圧等の影響の少ないアルカリ (炭酸カリウム) 含浸ろ紙を捕集剤に用いた煙道内排出ガス採取法 (1形方式) を開発した。更に, 初期に開発したインピンジャーに捕集する煙道外排出ガス採取法 (2形方式) と比較検討した。
    2形方式は, 実際の測定において, 昇華性を有する化合物については煙道内外の温度差や分圧等の影響を避けられないと考えられる。一方, 1形方式の測定値は煙道内排出ガス採取法を採用しているため, 昇華の影響がなく優れていることが明らかとなった。
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