大気環境学会誌
Online ISSN : 2185-4335
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51 巻 , 2 号
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あおぞら
総説
  • 近藤 明
    51 巻 (2016) 2 号 p. 77-84
    公開日: 2016/07/11
    ジャーナル フリー
    大気環境学会学術賞を頂いた気象/大気質モデルの開発とその応用の関する研究の概要を、ここにまとめて報告する。1990年からOASIS (Osaka University Atmospheric Simulation System)と命名した3次元非圧縮性、静水圧近似モデルの開発に取り組んだ。OASISを用いて、大阪湾および韓国釜山地域の海陸風循環のメカニズムを明らかにした。都市キャノピを含むOASISモデルを用いて、大阪市の夏季ヒートアイランドの要因は、人工排熱と天空率が小さくなる都市構造に起因していることを明らかにした。広葉樹林と針葉樹林から排出されるイソプレンとモノテルペン類の揮発性有機化合物質(BVOC)の葉重量当たりの排出係数をグロースチャンバー実験より求め、近畿圏の標準BVOC排出インベントリーを作成し、温暖化に伴う気温上昇によるBVOC排出量の増加がオゾン濃度上昇に及ぼす影響を明らかにした。さらに、船舶からの窒素酸化物排出インベントリーを作成し、大阪湾と瀬戸内海を含む地域において、船舶からの窒素酸化物排出量が陸域のオゾン濃度に及ぼす影響を明らかにした。2000年頃からは、インターネットの普及とコンピュータの高性能化により気象/大気質のCommunityモデルの使用が一般化した。CommunityモデルであるWRF/CMAQを導入して硫酸塩と降水内硫酸イオン濃度は越境汚染の寄与が高いことを、またオゾン濃度に及ぼす植物起源および人為起源の揮発性有機化合物質排出量の影響を、さらにPM2.5計算結果は有機エアロゾル濃度を過小評価する問題点を明らかにした。
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  • 伊豆田 猛
    51 巻 (2016) 2 号 p. 85-96
    公開日: 2016/07/11
    ジャーナル フリー
    著者は、1982年以来、東京農工大学農学部で、植物に対する大気汚染物質の影響とそのメカニズムなどに関する研究を行ってきた。この平成27年度大気環境学会学術賞の受賞記念総説では、2001年以降に著者が東京農工大学伊豆田研究室の学生や共同研究者と行った農作物と樹木に対するオゾン、酸性降下物およびエアロゾルの影響に関する研究の成果を概説する。
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  • 弓本 桂也
    51 巻 (2016) 2 号 p. 97-102
    公開日: 2016/07/11
    ジャーナル フリー
    数値天気予報の予測精度を向上させるために、数値モデルの初期条件を適切に推定することから始まったデータ同化に関する研究は、近年の観測データの拡充、数値モデルの発達、同化技術の進歩などを背景に、化学輸送モデルに対しても応用されるようになってきた。本稿では、データ同化を介して化学輸送モデルと各種観測データを融合させる研究例を、データ同化が目指す4つの目的に沿って、筆者が取り組んできた研究成果を交えつつ紹介する。
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研究論文(原著論文)
  • アイザ コルテス, 近藤 明, 嶋寺 光, 本宮 蒼汰
    51 巻 (2016) 2 号 p. 103-110
    公開日: 2016/07/11
    ジャーナル フリー
    本研究では、フライアッシュ製保水舗装 (WRP) のヒートアイランド現象に対する緩和効果を評価した。WRPにおける熱輸送及び水分輸送の一次元モデルを開発することが研究目的である。本モデルでは蒸発効率、体積含水率、及びマトリックポテンシャルをパラメータとして使用した。WRPとアスファルトの野外条件下の熱性能を比較した。最大表面温度差は10:00 Japan standard time (JST) から15 : 00 JSTの間に観測された。アスファルトはWRPより9.1℃高かった。最小表面温度差は20 : 00 JSTから6 : 00 JSTの間に観測された。アスファルトはWRPより0.3℃高かった。これらの実験結果は10.6%の誤差でモデルのシミュレーションによる予測値と一致している。また、表面温度と内部温度は、含水率に依存することが示唆された。夜間では、アスファルトに比べてWRPにおける伝熱フラックスの低減は30.9 W/m2である。また、アスファルトに比べてWRPの顕熱フラックスは、夜間では142.3 W/m2低かった。
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  • 猪股 弥生, 梶野 瑞王, 佐藤 啓市, 早川 和一, 植田 洋匡
    51 巻 (2016) 2 号 p. 111-123
    公開日: 2016/07/11
    ジャーナル フリー
    ベンゾ[a]ピレン(BaP)は発癌性を有することから、環境省によって優先取組物質に指定された有害大気汚染物質であり、微小粒子中に存在している。本研究では、2000~2013年度に測定されたBaP濃度データをもとに、日本におけるBaP濃度の属性別 (一般環境 (180–211地点,N=25387)、固定発生源周辺 (46–61地点、N=7351)、沿道 (46–61地点、N=11841)) 及び地域別 (日本全国 (JPN, N=44579)、阪神 (HAN, N=7598)、関東(KAN, N=12766)、九州 (KYU, N=2280)、瀬戸内 (SET, N=6228)、東海 (TOK, N=3268)、本州日本海沿岸 (SOJ, N=8923))にBaP濃度のトレンド解析を行った。JPNにおける[BaP] (解析値)は、固定発生源周辺で高く、次いで沿道、一般環境の順に低くなっていた。[BaP]は、明瞭な季節変動をしつつ、減少する傾向が認められ、2002~2012年の減少率は一般環境で49% (年間減少率:6.0%/yr)、固定発生源周辺で40% (4.6%/yr)、沿道で53% (6.6%/yr)であった。地域別にみると、[BaP]はKYUやSETの固定発生源で高かった。これは固定発生源からの排出に加えて、大気循環場の季節変動も夏季の高[BaP]をもたらす要因であることが示唆された。HAN及びKANでは、高[BaP]は2000年代前半には沿道であったが、2000年代半ば以降には固定発生源になっていた。SOJにおける[BaP]は日本国内で最小値であった。2005~2012年の期間、JPNの一般環境における減少率 (6.8%/yr) は日本海沿岸の遠隔地である能登における減少率 (2.9%/yr) の約3倍であった。SOJ及びKYUにおける越境輸送寄与率はそれぞれ約11–34%、4–44%と見積もられ、KYUでは越境輸送寄与率が年々増加傾向にあることが示唆された。
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  • 富山 一, 小林 伸治, 田邊 潔, 茶谷 聡, 高見 昭憲
    51 巻 (2016) 2 号 p. 124-131
    公開日: 2016/07/11
    ジャーナル フリー
    大気汚染予測システムの精度向上に寄与する入力値となることが期待される、火力発電による排出量を時間配分する方法を開発した。線形重回帰分析により、月、曜日、時刻および不快指数を説明変数とする発電電力量の回帰式を利用して、将来期間の発電電力量を1時間単位で推計するモデルを構築した。モデルの精度を評価するために、モデル構築の学習期間とは異なる検証期間で交差検証した結果、モデルに十分な再現性が確認された。総発電電力量を発電方式別の発電電力量として割り振ることでガス火力および石油火力発電による発電電力量を推定し、時刻別排出量比を算出した。回帰係数に着目すると、平日と休日で日内24時間変動、月別、曜日別、不快指数別に顕著な差異が認められた。一般電気事業者9社の回帰係数を比較した結果、一般電気事業者の操業管区に地域特性があることが確認された。また、東京電力の2008、2010、2012、2014年の年ごとの回帰係数を比較した結果、年による違いがあることも確認され、東日本大震災後の節電の影響と考えられた。排出量の時間配分をする上で地域特性と年特性を考慮する必要性があることが確認された。
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  • 井田 明, 岡島 美咲, 岸本 伊織, 呉 偉嘉, Ramasamy Sathiyamurthi, 中嶋 吉弘, 加藤 俊吾, 茶谷 聡, ...
    51 巻 (2016) 2 号 p. 132-143
    公開日: 2016/07/11
    ジャーナル フリー
    大気中の光化学オキシダントは、揮発性有機化合物とOHが反応し、NOXとの後続反応により生成する。そのため、人為起源のみならず植物起源の揮発性有機化合物 (以下BVOCs) についても数多くの研究がなされている。しかし、スギから放出されるBVOCsについては日本固有種であるがゆえに測定された例は少なく、特に総OH反応性測定に関しては研究例がない。そこで本研究ではスギから放出されるBVOCsについて総OH反応性測定および化学分析の観点から検討した。化学分析はガスクロマトグラフ水素炎イオン化法 (GC-FID) および陽子移動反応型質量分析法により23種類のBVOCsを測定し、得られた濃度から算出されたOH反応性の和と、総OH反応性測定装置により測定された総OH反応性を比較した。主要なBVOCsを測定したにもかかわらず、化学分析により測定した総OH反応性の説明率は38.8%に留まった。さらに、GC-FIDで検出されているが、化学物質が同定されていない未同定の化学成分がOH反応性にどの程度寄与するかを測定した。この方法により13種類の未同定BVOCsの存在が確認され、そのうちピーク強度が最大であったのはモノテルペン酸化体の一種であった。この成分は総OH反応性の18.1%を占めると推定され、その寄与を同定された成分と合わせると総OH反応性の56.9%を説明可能となった。
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研究論文(技術調査報告)
  • 鎌田 茜, 直江 寛明, 池上 雅明, 出牛 真, 梶野 瑞王, 眞木 貴史
    51 巻 (2016) 2 号 p. 144-152
    公開日: 2016/07/11
    ジャーナル フリー
    2013年6月19日、北陸地方において低気圧に伴う梅雨前線が大雨をもたらしたにもかかわらず100 ppbv以上の高濃度の光化学オキシダント (Ox) が観測された。本研究では、光化学反応に適さない状況下で生じたOx濃度上昇のメカニズムについて、気象要素と大気汚染物質の観測値、客観解析値、領域大気汚染気象予測モデル (NHM-Chem) 計算値を用いて詳細な解析を行った。その結果、Ox濃度上昇は日本海沿岸の広範囲で観測されたメソαスケール (200~2000 km) の現象と、この現象に先行して1~2時間のうちに能登半島付近の数10 kmの範囲で観測されたメソβスケール (20~200 km) の現象に分類することができた。このうち、メソαスケールの現象は低気圧後面のOx高濃度域の流入が原因であると推測された。渦位や相対湿度を用いた解析やNHM-Chemによるオゾン (O3) 予測値からは、梅雨前線北側の力学的圏界面が沈降し、成層圏O3のdry intrusion (乾燥貫入) が低気圧後面で発生していたことが確認できた。一方、メソβスケールの現象については、同時刻にメソβスケールの低温域と南西風とのシアーが能登半島付近を南下していたことがわかった。
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