先の報告で我々は,二成分現像剤の帯電現象をトナーとキャリア間における電荷移動の平衡過程とする帯電モデルを提案した.今回,前報のモデル速度式を再度考察し,その一部に修正を加えた.さらに,モデル速度式からキャリア比電荷(キャリア飽和帯電量)(
qec)とトナー-キャリア比
Ctの関係および帯電速度定数(
kobsd)と
Ctとの関係を新たに導出した:
1/
qec=-1/
qlimt[(
k-1st/
k1sc)+1/
Ct] and
kobsd=
k1[1+(
k-1st/
k1sc)
Ct]
ここで,
k1および
k-1は正,逆方向への擬一次速度定数,
stおよび
scはトナーおよびキャリアの比表面積を表す.
これら二つの関係式の成立することがモデルトナーを用いて確認され,トナー比電荷(トナー飽和帯電量)(
qet)と
Ctとの関係,および上記関係式から得られるパラメター,
k1sc/
k-1stおよび極限帯電量
qlimt,の実験値が互いによく一致することが判明した.また,モデルトナーの表面にあるCCA量の比,2.0,Arrheniusプロットから得られる衝突係数
Zの比,今回得られた正および逆方向のそれぞれの速度定数
kobsdの比,および速度定数の比が互いによく一致した.これらの結果は,本モデルから得られる速度式や種々の関係式が帯電現象の動的な過程と定常状態を矛盾なく繋いでいることすなわち本モデルの妥当性を示すものである.
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