日本画像学会誌
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49 巻, 5 号
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原著論文
  • 西浦 美都子
    2010 年 49 巻 5 号 p. 384-390
    発行日: 2010/10/10
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    色再現方法として,原稿に忠実な色再現方法の他に,好ましい色再現方法がある.好ましい色は記憶色と関連していると言われているが,環境や文化によって記憶色は異なる傾向にある.
    世界各国における好ましい色を知るために,その評価方法について検討を行い,千葉大学の小林裕幸教授が提案する新しいサンプル提示法である「系統的配置法」を応用して,京セラミタ独自の好ましい色の評価方法を確立した.各国共通で記憶色を持つような対象物の選定,シーンの特定に配慮した質問方法を考案し,全世界的に調査可能な評価方法を確立させた.この評価方法を用いて,日本およびその他5カ国で好ましい色の調査を行ったのでその結果と合わせて報告する.
  • 世古 丈裕, 島田 利郎, 廣岡 信行, 中山 信行
    2010 年 49 巻 5 号 p. 391-397
    発行日: 2010/10/10
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    個別要素法 (DEM) による数値シミュレーションは,電子写真プロセスにおけるトナー,キャリアといった現像剤粒子の挙動を求める有力な手法となっている.しかし,DEMでは,粒子間の電磁相互作用を考慮しながら全粒子に対する運動方程式を陽的に解くため,計算負荷が膨大である.高速化の諸施策は精度が犠牲になる場合が多いため,並列計算が有効であるが,従来提案されている粒子分割法,領域分割法では並列化効率が低く,プロセッサ数を増加させても速度がすぐに飽和することが大きな問題であった.本研究では,力分割法による並列計算アルゴリズムをDEMに適用し,多数のプロセッサを用いた場合でも従来にない高い並列化効率が得られることを実証した.本手法を用いて現像プロセスのシミュレーションを行い,大規模計算により高精度な結果が得られることを示した.
Imaging Today
  • 藤井 雅彦
    2010 年 49 巻 5 号 p. 399-403
    発行日: 2010/10/10
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    我が子を見守る親のごとく,インクジェット技術の進展を期待を込めて見守り,またその進展に少なからず寄与してきた.喜ばしいことに我が子は今なお成長,いやインクジェットは進化を続けている.その進化にはこれまた子育て同様,可能性をさらに伸ばす,あるいは苦手を克服する2つの方向性が見られる.すなわちインクジェットの持つシンプルなプリントプロセスを生かした様々なアプリケーションへの展開であり,メディアとインクの相互作用のみに画像形成を依存するゆえの性能限界への挑戦である.
    その両者の技術開発の切り口にも違いが見られ,前者は要素技術の進化が中心であり,後者はシステムとしての進化に注目すべきものがある.
    本稿ではこの2つの進化の方向に沿って,インクジェット技術の現状と今後の見通しを述べる.
  • 加賀田 尚義
    2010 年 49 巻 5 号 p. 404-411
    発行日: 2010/10/10
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    環境に配慮した水性での新規インクジェット用白色インクの開発を行った.従来は紙の増白剤として用いられてきた中空樹脂粒子を色材として用いることで,沈降を抑制しながらも高い白さの印刷を実現した.水性の白色インクを実用化することにより,特別な排気装置を必要としない,メンテナンスや印刷に特別なスキルが必要ないなどの利点が生じる.また白色インクをインクジェット技術に適用することで,白さを調色できるなどの機能を搭載可能にし,パッケージプルーフにおける新しいワークフローの提案を実現した.白色インクの印刷物の測定方法,白さについて検証を行なう中で,透明媒体に印刷した場合は,明度だけではなく遮へい性も品質として考慮に入れる必要があることが分かった.
  • 朝武 敦
    2010 年 49 巻 5 号 p. 412-416
    発行日: 2010/10/10
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    産業用インクジェットの分野では,速乾性,基材選択性,VOCフリー等の点でUV硬化型方式が広がりつつあり,新規に上市されるプリンターはUV方式が主流となっている.従来,ラジカル重合型インクが広く用いられてきたが,近年,カチオン重合型インクが注目を集めている.本報告では,UVインクの概要から重合機構を説明し,ラジカル重合型インクおよびカチオン重合型インクの特徴について説明する.合わせて最新の技術開発事例についても紹介する.
  • 大西 勝, 横山 和英, 安藤 幸雄
    2010 年 49 巻 5 号 p. 417-423
    発行日: 2010/10/10
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    繊維産業は圧倒的な価格競争力を持つ中国が市場を席巻している.先進国では,優れたデザイン,オリジナル性,短納期,少量生産,高付加価値型の生産を行う必要性が益々高まっている.その志向に合っているのがインクジェットプリンタを使うデジタル捺染技術である.
    本稿では,以下のデジタル捺染に使用するインクジェットプリンタを紹介する.
    (1) テキスタイル用の高速と中・低速のテキスタイルインクジェットプリンタ.
    (2) 昇華染料を布地に熱転写する昇華転写インクジェットプリンタとダイレクト昇華インクジェットプリンタ.
    (3) Tシャツ等の縫製品にプリントする衣類用インクジェットプリンタ.
  • 森 徹
    2010 年 49 巻 5 号 p. 424-430
    発行日: 2010/10/10
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    産業分野へのインクジェット技術の応用にあたり,材料開発,製造技術開発のそれぞれにおいて開発物の性能確認・評価・検証が重要な役割を担う.インクジェット技術の工程と必要とされる技術要素及び評価・検証の方法についてFUJIFILM Dimatix社の研究・開発用インクジェットプリンター/マテリアルプリンターを例に解説し,解決すべき開発物の課題や研究・開発用インクジェットプリンターの効用を紹介する.
  • 小林 広美
    2010 年 49 巻 5 号 p. 431-438
    発行日: 2010/10/10
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    プラスチック樹脂などの材料を,削り出すのではなく,必要な分だけを緻密に積み重ね高速に硬化させながら,成形品に近い品質で樹脂パーツを作り上げる,積層造形とラピッドプロトタイピング.金型を作らずにCADのデジタルデータから直接パーツを作るという,従来の切削加工と全く異なるこの画期的な製造方法は1980年代に初めて実用化され,今や世界中の製品設計現場にて,試作や少量多品種生産に幅広く活用されてきている.さらに成熟したインクジェット技術が量産によって低価格で提供されたことで,3Dプリンターという小型装置が発展した.低価格化,簡易操作で,非常に高精度・高解像度のパーツが成形できる3Dプリンター,その最新事情や応用分野,そして今後の可能性を述べる.
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