本研究は, リンドウ採花ステージの客観的評価指標としての未熟蕾の個数に基づく画像情報の有効性に着目し, その実用化のために, 頂花部画像を対象とする自動的な未熟蕾検出の手法と, その具体的手段であるアプリケーションの開発を目的とする. そのために, まず最初に輪郭情報に基づく未熟蕾検出アプリケーションの機能設計および試作を行い, さらに, 実際の頂花部画像を対象に同アプリケーションを用いた未熟蕾検出を試行することで輪郭情報の有効性と課題を検討した. この際得られた検出結果から, 輪郭情報に基づく同アプリケーションの蕾検出感度自体は全対象画像平均で約90%と高かったが, 同時に, 夾雑物由来の誤検出例が蕾検出例と多く混在する問題が指摘された. そこで, 色情報をはじめとする種々の情報を補完的に用いて, 検出例を精度良く選別する方法を検討した結果, まず, “ピーク値平均”, “輝度合計値”, “蕾成熟度”の3情報に基づく蕾検出例と誤検出例の高精度な選別が可能であること, さらには, “蕾成熟度”に基づく未熟蕾および成熟蕾検出例の高精度な選別が可能であることが確認され, この結果, 最終的な未熟蕾検出精度の概算値は約80%となった. 以上の結果から, 実験条件が異なる場合の有効性の検討など, いくつかの課題は残るものの, 開発した未熟蕾検出手法および未熟蕾検出アプリケーションを基盤とする未熟蕾自動検出システムの実現は十分可能と考えられる.
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