農業情報研究
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15 巻, 1 号
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原著論文
  • 合崎 英男
    2006 年 15 巻 1 号 p. 1-13
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/11
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は, 生ごみ分別・回収活動の協力意向に影響する要因を統計的に検討することである. 選択実験形式の質問紙調査の結果, つぎの点が明らかとなった. 第1に, 生ごみ分別・回収への協力意向に影響を及ぼす条件として, 1週間あたり生ごみの回収頻度, 同じ生ごみ回収場所を指定された世帯数, および同じ回収場所を指定された世帯のうち生ごみ分別・回収に協力する世帯の比率が確認された. 第2に, これらの3条件に対する評価は世帯によって異なることが確認された. そのような評価差をもたらす個人特性として, 消費活動における環境配慮に関する態度および世帯員数が確認された.
  • ―千葉県における都市・農村比較―
    栗原 伸一, 霜浦 森平
    2006 年 15 巻 1 号 p. 15-24
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/11
    ジャーナル フリー
    多くの農村では, 急速に進む高齢化や過疎化によって, 多面的機能を有する地域資源の維持管理が難しくなってきている. また, 地域を問わず, 子供に対する犯罪や高齢者の孤独死の増加なども危惧されている. しかしながら, こうした地域の問題は, 本来, コミュニティが正常に機能していれば, その多くは防げる性質のものである. 本研究では, そうした問題意識のもと, コミュニティに関する意識調査を千葉県の住民に対して実施し, その実態と評価の要因を都市・農村間で比較分析した. その結果, 農村では現在でも高齢者などによって伝統的な文化・行事が守られ, 比較的地域住民のまとまりが強いが, 都市ではコミュニティでの共同活動は環境美化作業など限定的であることが確認された. そして何れの地域でも, そうした活動への参加は, 町内会や自治会行事であるためという, ネガティブな理由であった. また, コミュニティに対する満足度評価の要因分析を通して, 婦人や若者の意見を反映したり, 新旧住民の交流の機会を創造することによってコミュニティを再評価させることや, 既に様々な面で地域の柱の一つとなっている町内会・自治会を上手く利用することも, コミュニティ活動の促進には有効であることが示唆された.
  • 前山 薫, 南石 晃明, 本田 茂広, 法隆 大輔
    2006 年 15 巻 1 号 p. 25-47
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/11
    ジャーナル フリー
    本稿では, 農業経営支援システムでの利用を前提とした農業技術体系データベースの効率的な構築手法を具体的に提案する. 本手法は, 作成準備段階, 農業技術体系データ作成段階, データベース登録段階の3つのプロセスによって構成されている. プロセスに従い作成作業を進めることで, 作成担当者の知識や経験の多寡に大きく左右されない比較的均質な農業技術体系データを省力的に作成することができるなど, 農業技術体系データベースを構築するのに有効な手法であることが明らかとなった. さらに, 登録データの充実, 精度向上, 営農計画への活用に向けては, 基礎データの体系的な収集・整理・共有化, 作業能率の標準化, 関連システムの連携強化及び操作性向上, 利用者の知識・能力向上支援が課題であることも明らかになった.
  • 磯島 昭代
    2006 年 15 巻 1 号 p. 49-60
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/11
    ジャーナル フリー
    米に関する消費者意識を解明する研究として, これまで主に選択肢式のアンケート調査やグループインタビューなど少人数を対象とした面接調査が行われてきた. アンケート調査で得られる自由記述回答文は, 大量の定性的データであり, 新たな知見を得る重要な情報源と考えることができる. これまでこうしたデータを分析する有効な手法がなかったが, テキストマイニング手法の開発により, 大量の文章データを計量的に分析することが可能となった. そこで, アンケート調査で得た自由記述回答文にテキストマイニングを適用し, 米に関する消費者意識の解明を試みた. その結果, 消費者の米に対する関心は「米購入」, 「日本の米と農業」, 「安全性」に大きく分けられることがわかった. さらに, 「米購入」に関しては専業主婦層が, 「日本の米と農業」に関しては60歳以上の男性が, 「安全性」に関しては農薬の使用に敏感な人がよく記述する傾向にあることが明らかとなった.
  • ― 輪郭情報と色情報に基づく未熟蕾自動検出の可能性 ―
    庄野 浩資, 峠 愛美
    2006 年 15 巻 1 号 p. 61-76
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/11
    ジャーナル フリー
    本研究は, リンドウ採花ステージの客観的評価指標としての未熟蕾の個数に基づく画像情報の有効性に着目し, その実用化のために, 頂花部画像を対象とする自動的な未熟蕾検出の手法と, その具体的手段であるアプリケーションの開発を目的とする. そのために, まず最初に輪郭情報に基づく未熟蕾検出アプリケーションの機能設計および試作を行い, さらに, 実際の頂花部画像を対象に同アプリケーションを用いた未熟蕾検出を試行することで輪郭情報の有効性と課題を検討した. この際得られた検出結果から, 輪郭情報に基づく同アプリケーションの蕾検出感度自体は全対象画像平均で約90%と高かったが, 同時に, 夾雑物由来の誤検出例が蕾検出例と多く混在する問題が指摘された. そこで, 色情報をはじめとする種々の情報を補完的に用いて, 検出例を精度良く選別する方法を検討した結果, まず, “ピーク値平均”, “輝度合計値”, “蕾成熟度”の3情報に基づく蕾検出例と誤検出例の高精度な選別が可能であること, さらには, “蕾成熟度”に基づく未熟蕾および成熟蕾検出例の高精度な選別が可能であることが確認され, この結果, 最終的な未熟蕾検出精度の概算値は約80%となった. 以上の結果から, 実験条件が異なる場合の有効性の検討など, いくつかの課題は残るものの, 開発した未熟蕾検出手法および未熟蕾検出アプリケーションを基盤とする未熟蕾自動検出システムの実現は十分可能と考えられる.
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