農業情報研究
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13 巻, 3 号
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原著論文
  • 福田 裕貴, 林 真紀夫
    2004 年 13 巻 3 号 p. 203-211
    発行日: 2004年
    公開日: 2013/03/31
    ジャーナル フリー
    細霧冷房をはじめとする温室の蒸発冷却法での利用を目的としたVETH (Ventilation, Evaporation, Temperature, Humidity)線図が,三原(1980)により考案されている.この線図を利用すれば,室内気温および室内相対湿度の状態値と温室換気率および室内蒸発散速度との相互関係を一目で知ることができる.しかし,VETH線図は,室外環境や温室諸元が異なると新たに作成する必要があり,手作業での対応は不可能に近い.そこで,必要なパラメーター値を入力することでVETH線図を容易に作成できるパソコン用ソフトウェア(VETH線図作成ソフト)を開発した.さらに,細霧冷房における必要細霧噴霧量を算定することができるソフトウェア(細霧噴霧量算定ソフト),および熱収支法により換気率を算定するソフトウェア(以下,換気率算定ソフト)を開発した.これらのソフトウェアは,冷房設置設計および冷房運転制御において有益なツールになると考える.
  • 佐々木 豊, 奥州 麻也子, 権田 豊, 鈴木 正肚, 蘆田 一郎, 中田 香玲, 山下 沙織
    2004 年 13 巻 3 号 p. 213-225
    発行日: 2004年
    公開日: 2013/03/31
    ジャーナル フリー
    農業分野の情報化の遅れを解消することは重要である.本研究では,ヒューマンウェアに着目し,「ガッコミ」グループによる農業情報化支援手法を提案した.「ガッコミ」は2つの目的のために活動するグループであり,1つ目は農業分野の情報化支援,2つ目は大学生のための情報教育・人材育成である.それは大学生と教職員で運営されている.またこの名称は,学生(学校)とコミュニティ(コミュニケーション)を組み合わせた造語である.「ガッコミ」では,学生ポータルサイトを構築することによって,大学生が情報技術(パソコンの使い方やインターネットでの情報発信の仕方など)を学ぶ.学生ポータルサイトとは,大学生のための有用なWebサイトであり,大学生や大学周辺の地域社会を主に対象としている.そして,大学生の訓練後,「ガッコミ」グループにより,Webサイトの構築やパソコンの勉強などを希望する営農家や農業法人の支援を行う.本稿では,「ガッコミ」の設立,活動を行い,その評価として,1.グループの活動状況,2.学生ポータルサイト構築事業の成果,3.農家や農業法人への支援結果,4.受賞・マスメディア取材業績について述べた.本グループによる農業分野の情報化支援手法は,情報教育・人材育成も兼ねた有効なものであった.
  • 水島 晃, 坪田 亮, 野口 伸
    2004 年 13 巻 3 号 p. 227-235
    発行日: 2004年
    公開日: 2013/03/31
    ジャーナル フリー
    泥炭地に存在する河川痕跡等の性状の相違による,農地面の不陸の発生や,軟弱な泥炭土のため,降雨による地下水位上昇時には,農地の支持力が低下し、農作業機械が農地に入れない状態となる.また,泥炭土の性状は一様でないため,農地面の不陸や農地の支持力に関する対策工法を検討するにあたっては,農地を全面的に調査する必要がある.しかし,その作業量が膨大となり,効率的な調査方法を検討する必要がある.そこで本研究では,農用移動ロボットにより効率的かつ正確で高密度な農地情報及び車両情報の自動取得を試みた.農地情報として,地形情報(標高測定)をGPSとレーザ距離計を使用して計測し,車両情報としてロール角,ピッチ角,滑り率,車両沈下量を計測した.さらに,計測した農地情報・車両情報をGISソフトによってマップ化することでほ場情報を把握した.
  • 野口 良造, 明石 知浩
    2004 年 13 巻 3 号 p. 237-246
    発行日: 2004年
    公開日: 2013/03/31
    ジャーナル フリー
    余暇として園芸活動を行う市民農園参加者のために,栽培技術に秀でた参加者の知識と経験を伴った栽培方法の情報提供を目的とする,作物栽培事例データベースシステム(DBシステム)を開発した.DBシステムはWeb上に構築し,利用者が情報を閲覧あるいは蓄積したい環境を整備した.その構成は,一般情報データベース,事例データベース,日誌データベース,検索エンジン,管理システムとした.一般情報データベースは,宇都宮大学市民農園で栽培された主な作物11種類の基本的な栽培方法の情報をもとに構築し,事例データベースは,参加者の市民農園日誌から抽出した211の事例データから構築した.
  • ―コンバインを例として―
    宮本 宗徳
    2004 年 13 巻 3 号 p. 247-254
    発行日: 2004年
    公開日: 2013/03/31
    ジャーナル フリー
    コンバインは様々な作物条件や気象条件のもとで作業を行うため,その研究開発において,それらの条件に対するロバスト性をいかに高めるかという点が課題となる.これに対して有効な手法として考えられるのがタグチメソッドである.タグチメソッドは,SN比という指標が誤差因子(環境のばらつきなど)に対してロバストなシステムを設計することにおいて有用であることから,さまざまな製品の品質向上を図るための手法として利用されている.この手法では,制御因子(設計因子)に各因子間の交互作用の小さいものを選定する必要がある.この選定過程が手法を正しく適用するために重要となる.しかし,あらかじめ全ての因子間の交互作用を実験的に求めることは現実的に不可能であり,それゆえコンバインの研究開発においては適用が進んでいないのが実情である.さて,近年ニューラルネットワーク(ANN)はさまざまな非線形システムのモデル化に利用されている.そこで本研究では,ANNにより非線形システムであるコンバインのシステムを記述することができれば,あらかじめタグチメソッドを適用する上で問題となる制御因子間の交互作用を明らかにすることができるのではないかという点に着目し,ANNによるモデル化とタグチメソッドによるロバスト設計手法を組み合わせた設計手法の有効性を探る.
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