農業情報研究
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12 巻, 1 号
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原著論文
  • 深津 時広, 平藤 雅之
    2003 年12 巻1 号 p. 1-12
    発行日: 2003年
    公開日: 2013/03/31
    ジャーナル フリー
    農業分野において圃場における環境情報や作物の生育情報,生産管理のための作業情報などを知ることは,生産性の向上を目指すうえで重要である.本研究では,安価で設置や使用が容易なフィールドサーバ(センサ・コンピュータ・通信機能をモジュール化した小型モニタリングロボット)の開発を行い,これを圃場に多数設置することで圃場からの情報をリアルタイムにモニタリングし,その情報を元にさまざまな作業や結果を返すことができる圃場モニタリングシステムを構築した.
    本システムでは,Internet ExplorerやNetscapeといったWebブラウザを用いて簡単に情報収集や遠隔操作などを行うことができる.フィールドサーバを実際に圃場に設置し,長期運用実験を行うことで圃場モニタリングシステムの実現性を示した.また本システムを活用することで,圃場の計測や遠隔操作だけでなく農村地域の通信インフラや新たな農業形態への活用としても利用できる可能性を示した.
  • 吉田 智一, 高橋 英博, 大原 源二
    2003 年12 巻1 号 p. 13-23
    発行日: 2003年
    公開日: 2013/03/31
    ジャーナル フリー
    インタネット環境において不足している農業関係のWebコンテンツを充実させる目的で,個別マシンで動作する既存の各種農業生産支援プログラム(レガシーモデル)の有効利用を図り,インタネット上での共有化・モデル統合を可能とする手法について検討した.最初に,レガシーモデルのWeb対応化に際して適用可能な各種のWeb関連技術について比較検討した.次に,XML Web ServiceによるレガシーモデルのWeb対応化を検討するために,一つの題材としてWindows NT/2000/XPのコマンドプロンプトで動作する導入適品種判定プログラムを採り上げ,XML Web Service化を行った.具体的には,XML Web Serviceを実現する仲介ソフトウェアを作成することで,元の導入適品種判定プログラムには一切の変更をすることなくWeb対応化することができた.この試験的な実装を通じて,個々のマシンに散らばって存在しているレガシーモデルをXML Web Service化してWeb対応化することによりモデル統合が可能であること,また,そのためにXML Web Serviceは有効な手段であることを確認できた.
  • -蛍光matrixへの影響
    小西 充洋, 大政 謙次
    2003 年12 巻1 号 p. 25-32
    発行日: 2003年
    公開日: 2013/03/31
    ジャーナル フリー
    蛍光分光計測は植物葉の色素や構造,生理機能の情報を非破壊・非接触で得るのに適している.本研究では,3次元分光蛍光光度計を用いて,暗期乾燥状態におかれたホウレンソウ葉を対象とし,複数の励起波長に対する蛍光スペクトル(励起-蛍光matrix)の経時変化を計測した.その結果,励起波長によらず,450nm, 680nm, および725nmに蛍光極大が認められた(それぞれF450, F680, およびF725).さらに,これらの蛍光強度から算出された蛍光強度比F450/F680とF450/F725は,水ストレス処理初期の比較的相対含水率変化が小さいときにも大きく変化した.これは,暗期条件下の水分欠乏では紫外線防御機能を有する色素等の蓄積は起こらないのでF450はほとんど変化しないが,葉の萎凋による計測領域内のクロロフィル濃度増加のため,F680とF725が大きく減少したことによると考えられた.また,これらの比の変化は励起波長が短いほど大きかった.これは,F450は励起波長が短いほど大きくなるのに対し,F680, F725は小さくなるためと考えられた.このことから,ホウレンソウの相対含水率変化の検知には短波長の紫外線(330 nm程度)によって励起したときのF450/F680およびF450/F725が適していると考えられた.
  • 岡山 毅, 北端 啓司, 村瀬 治比古
    2003 年12 巻1 号 p. 33-43
    発行日: 2003年
    公開日: 2013/03/31
    ジャーナル フリー
    農学分野の多くの問題は非線形性が強く,また,解候補数も莫大であることが多い.そのような問題に対しては従来の決定論的な計算手法による解析が困難である場合が多い.それらの問題を解くもしくは近似解を得る手法として注目を集めているのが,適応的あるいは知能的手法で生物系由来アルゴリズムである遺伝的アルゴリズム(GA)や人工ニューラルネットワーク(ANN)である.本研究で開発したDNAアルゴリズムは(DNAA), GAやANNと同様な生物系由来アルゴリズムである.GAとDNAAの違いは,GAがエキソンのみを考慮に入れているのに対し,DNAAは,エキソンのみならずイントロンも最適化に貢献する要素として取り入れたことにある.エキソンとはタンパク質合成に必要な塩基配列であり,イントロンとはタンパク質の合成の際に情報源として用いられない塩基配列である.イントロンの役割は未だ解明されていないが,その重要な役割の一つが,突然変異による致命的な遺伝情報の破壊を減少させることにあるといわれている.本研究では,人工生命を用いてこの仮定を検証し,そして文字列探索問題とナップザック問題を用いてDNAAの性能を評価した.その結果,エキソンによる突然変異に対する防御が,人工生命が繁殖する上で良い効果を与えていること,そしてより重要度の高いエキソンにより長いイントロンが付加すること,そしてDNAAは,GAと比較し高い突然変異率に対してより安定した推定が行えることが明らかとなった.
  • 李 喆熙, 沈 根燮
    2003 年12 巻1 号 p. 45-54
    発行日: 2003年
    公開日: 2013/03/31
    ジャーナル フリー
    韓国において電子商取引は,急速に拡大しており,特に農産物の流通構造の改善手段として政策的に推進されているし,新しいビジネス・モデルも登場している.農産物を電子商取引(B2C)する場合,卸売市場経由の慣行的取引よりも流通経路が短縮され,農家受け取り価格は20%程度高く,消費者価格は17%程度安くなるが,オンライン上での決済によるクレジットカードの手数料が新しい負担となっている.一方,大量取引(B2B)を促進するため,産地と卸売市場,物流センター間のEDIの導入も政策的に進められている.また,電子市場の構築を可能にするe-marketplaceを通じたB2Bも伸びている.電子商取引は,個人農家,農事組合法人,作目班,村単位で推進する形態など多様なモデルがそれぞれの特性を生かして開発されている.最近は,情報化モデル村を中心とする電子商取引も導入されている.しかし,そのような電子商取引が今後とも伸びて行くためには,安定的な配送のための流通体系の構築,規格化,多様な商品開発,物流費用の節減モデルの開発などが重要である.
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