農業に関する用語のセマンティックな標準化を検討し,標準化された農業用語を通して農業情報の相互流通を支援するために,農業オントロジー,農業用語の構築および管理をするためのツールを開発した.オントロジーは,厳格に概念の整理方法を規定してきちんと作成するものから,自然言語処理に使うため構造化された語彙集,一般の辞書レベルまで幅広く定義されているが,本研究では,農業情報の標準化や共有化のキーとなる情報として,一般的な農業用語集,農業ITシステムで扱われているキーワード,また標準化された農業共通語彙などを農業オントロジー情報として収集した.構造化されていない農業用語に関しては,RDF/SKOSに変換し,統一されたフォーマットで管理するオントロジーブローカーを開発した.収集・登録した農業オントロジー情報のマッチングを行い,言葉の揺らぎや,同義語,同意語等の関連付けができるようにし,横断的に検索できるようなWebAPIを構築した.オントロジー構築ツールを通して,現在運用されている農業ITシステムで用いられている農業語彙から,徐々に標準化された農業に関する名称への変換を支援することを目指す.
本論文では電源確保が困難であり,かつ人が情報収集端末を持参して毎日行くことが難しい広域の圃場で環境情報を安定的に収集するために,無人航空機(Unmanned Aerial Vehicle; UAV)の自律飛行による環境情報モニタリングシステムを提案する.本システムを実現するために,メモリ機能,省電力,拡張性,時刻同期の各要素技術の要件を明らかにした上で,その要件に基づいてセンサモジュールを開発し,動作確認を行った.また,情報収集端末とセンサモジュール間においてZigbee通信による安定した環境情報収集可能な通信半径および環境情報送受信時にかかる時間について基礎実験を行い,本システムの利用可能性を示した.最後に,圃場実験では定期的な自律飛行を行えた場合と行えなかった場合の環境情報収集を行い,安定的に収集できることを示した.