農業情報研究
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27 巻, 4 号
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原著論文
  • 谷本 和俊, 堀口 学, 南石 晃明, 佐々木 崇, 李 東坡
    2018 年 27 巻 4 号 p. 64-74
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル フリー

    近年,稲作分野における水田センサネットワークの研究開発や商品化が進み,導入・活用事例も増加しつつある.今後,全国の稲作経営へ普及するためには,水田センサネットワークの導入・運用コストの低減が大きな課題となると考えられる.特に大規模稲作経営においては,センサノード数が数百に達する場合も想定され,データ通信に関わるコストが水田センサ導入の制限要因の1つになると考えられる.しかし,実際の水田圃場環境下における数百ノードを有する大規模無線センサネットワークの挙動に関する既往成果は知られていない.そこで,本稿では水田圃場試験結果に基づいて,給電に乾電池を用いた実運用環境におけるフルメッシュ型の無線センサネットワークの消費電力の計測を行い,稼働期間推計を行った.その結果,ネットワーク通信パラメータのチューニングにより省電力効果が向上し,稼働期間が大幅に改善されることが明らかになる等,水田圃場における大規模実運用に資する基礎的知見が得られた.

  • 樽本 祐助, 阪谷 美樹, 吉川 好文
    2018 年 27 巻 4 号 p. 75-82
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル フリー

    肉用牛繁殖経営の減少により,子牛の生産数が減少傾向にある.子牛供給の安定化には,肉用牛繁殖経営の生産性向上が重要である.近年,分娩間隔が長期化しており,その短縮化が求められている.そこで生産性向上の手段として,分娩間隔に注目し,システムダイナミックスを用いた経営モデルを作成した.このモデルの特徴は,生育期間を厳密に考慮すること,繁殖雌牛の飼養頭数規模に上限を与えたことにある.産後初回交配日数の初期値80日や,種付け回数初期値の1.6回を変化させてシミュレーションした結果,分娩間隔の1日の短縮は,繁殖雌牛100頭規模の経営において,年間0.24頭の子牛生産数の増加と12.8万円の利益をもたらす.

  • 霜村 瞭, 延原 肇
    2018 年 27 巻 4 号 p. 83-94
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル フリー

    近年,農業分野においてドローンの活用事例が増えている.しかし,ドローンが原因の事故件数も増加している.特に,墜落や接触などの事故は深刻な被害になる可能性があるため安全対策が必須である.本研究では,この問題を解決するためドローンを構成する要素の中でも危険性の高い高速回転するプロペラに着目する.これを機体内部に格納し,コアンダ効果を応用した新たな推進機構を有する安全運用型ドローンを提案し,この推進機構の設計最適化を行う.設計最適化には,複数の設計変数および目的変数の組み合わせが存在し,それらの設計候補の数は膨大なものとなる.また,1つの設計候補の性能評価のための流体シミュレーションには計算コストがかかる.本研究では,比較的数の少ない設計候補を自己組織化マップ上に写像することで,最適な設計候補が存在する領域を視覚化し,設計候補の選抜を行う.評価実験として,推進機構に6つの設計変数を設定し3DCADを用いた設計候補作成と,ドローンの飛行に必要である推進力の評価に流体シミュレータを用いて108候補を生成する.これらについて体積流量と重量の2つの目的変数を設定し,自己組織化マップを適用する.最適化により得られた設計候補群に関して,基準となる設計に比べて約7%の推進性能向上を実現していることを確認する.

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