応用生態工学
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3 巻, 2 号
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  • 森 誠一
    2000 年3 巻2 号 p. 151-152
    発行日: 2000/12/21
    公開日: 2009/05/22
    ジャーナル フリー
  • 竹門 康弘
    2000 年3 巻2 号 p. 153-168
    発行日: 2000/12/21
    公開日: 2009/05/22
    ジャーナル フリー
    長良川河口堰に設置されている4本の魚道(左岸呼び水式魚道,左岸ロック式魚道,左岸呼び水式魚道,右岸せせらぎ魚道)について,モクズガニEriocheir japonica(de Haan)の利用実態を,建設省中部地方建設局・水資源開発公団が1995年から5年間実施したミニトラップ調査の資料を用いて分析した.その結果,モクズガニの未成体に関しては,せせらぎ魚道が最も多くの個体を溯上させており,溯上個体中の未成体の割合や,下流の捕獲数に対する溯上率も高いことがわかった.いっぽう,モクズガニの成体に関しては,呼び水式魚道がロック式やせせらぎ魚道よりも多く溯上し,かつ溯上率も高かった.これに対して,ロック式魚道は,未成体・成体ともに溯上個体数のみならず溯上率も低かった.
    また,1995年から5年間の捕獲数の変動を分析した結果,モクズガニの未成体は1997年以後の方が多く溯上しており,河口堰の運用以後の比較においては溯上数の減少傾向は認められなかった.いっぽう,河口から46km地点と57km地点における登り落ち漁の資料を分析した結果,両地点のモクズガニ捕獲数はこの5年間で減少した.とくに未成体の捕獲数については年次間の差は有意であった.これらの結果から,モクズガニ個体群に対する河口堰の影響として,堰による溯上障害はとくにせせらぎ魚道の働きによって軽減されているものの,湛水域において何らかの死亡要因が働き個体数の減少をもたらしていると考えられた.さらに,魚道が成体の配偶場所として働く可能性や,メガロバ幼生が着底する場所や時期などの生活史に与える河口堰の影響について考察した.
  • 稚アユの遡上からみた機能比較
    新村 安雄
    2000 年3 巻2 号 p. 169-178
    発行日: 2000/12/21
    公開日: 2009/05/22
    ジャーナル フリー
    長良川河口堰の呼び水式魚道(左岸側と右岸側)とせせらぎ魚道について,建設省中部地方建設局,水資源開発公団中部支社のモニタリング調査結果からその機能を比較した.1995年から1999年までの5年間の一日当たりの平均遡上尾数を比較すると,右岸呼び水魚道が他の魚道と比較して遡上尾数が少ない傾向が見られた.左岸呼び水とせせらぎ魚道の遡上尾数については有意差がなかった。しかしながら,せせらぎ魚道は集中した日に多くの稚アユが遡上し,一日の中でも短時間に多数の稚アユが遡上した.またせせらぎ魚道は他の魚道と比べ遡上の最大時が潮汐周期の小潮時とよく一致した.自然状態の河川において,小潮時には弱混合により塩水楔の遡上領域が上流側に移動する.せせらぎ魚道はこれと類似した環境が作り出されることが示唆された.
    長良川河口堰からの流出水の量と遡上との関係を見ると,呼び水魚道では流出水が170m3/sec付近を最大に遡上尾数は減少した.せせらぎ魚道についてはこの傾向は見られず流出量の増加とともに遡上尾数が増加した.呼び水式魚道については,稚アユを誘引する呼び水の効果が,流出水の増加により弱められたものと考えられる.せせらぎ魚道は集中的な遡上というアコの遡上生態に即した機能をもち,河口域の魚道として呼び水式魚道よりも機能的に勝っていることが明らかになった.呼び水式魚道と比較して,せせらぎ魚道は開口部が小さく,必要流量も呼び水式魚道より少ない.このことは,治水,利水の両面からもその有効性が高い事を意味している.また,今後の課題として,魚道開口部での滞留による遡上の遅れに関しての検討が必要である.
  • 常住 直人, 中 達雄, 加藤 敬
    2000 年3 巻2 号 p. 179-192
    発行日: 2000/12/21
    公開日: 2009/05/22
    ジャーナル フリー
    近年,取水堰付設魚道については,生物多様性保全の見地から水産重要魚種のみならず,より多様な魚種に対応したものが求められるようになりつつある.その際,問題になるのは農業利水と魚道機能の向上を如何に調和させるかということである.本報文では最近,近自然工法の一環として採用事例が増えつつある粗石付き斜路式魚道につき,利水等との調和を図りつつ多魚種対応が可能か否かを実験的に検討した.
    その結果,局所流況に着目して粗石形状・粗石配置を設定すれば,魚道勾配1/40では通常の堰上げ水位変動範囲で大型魚から小型魚・底生魚まで遡上可能な流況が保たれること,浮遊流下物による閉塞抑制を図るべく粗石を水没させた状態(維持管理が比較的容易かつ低廉な流況)での魚道運用が可能なことが明らかとなった.また,魚道放流量の管理に役立てるべく,当該魚道の上流水位一放流量曲線も示した.
    なお,本魚道は漁労用舟通しも兼用させたため,魚道内表面流速が比較的遅く魚道流況としては若干余裕が見られる状態であった.魚道機能に特化させれば更なる大水深や1/40を超える急勾配でも上記と同機能の流況が保たれる可能性がある。
  • 森川 一郎
    2000 年3 巻2 号 p. 193-198
    発行日: 2000/12/21
    公開日: 2009/05/22
    ジャーナル フリー
    1991年から始められた,「魚がのぼりやすい川づくりモデル事業」により,堰等の河川横断施設による魚類の遡上阻害が順次改善されてきているとともに,モデル河川以外においても改善が進められようとしている.しかし,迷入対策,ハイダムへの対応,各形式の評価等,研究・技術開発の必要な課題も多く,発展途上の技術でもあるため,現場への技術の普及も未だ十分ではない.また遡上効果の確認手法についても体系化にいたっていないなど種々の課題を有している.
    今後の事業の推進に当たっては,モデル河川における経験・知識の普及を図るとともに,さらなる調査検討を行い,現場における柔軟な対応・工夫を支援していくことが不可欠である.
  • 高橋 剛一郎
    2000 年3 巻2 号 p. 199-208
    発行日: 2000/12/21
    公開日: 2009/05/22
    ジャーナル フリー
    魚道の機能評価について,従来の評価を概観し,望ましい評価のあり方を考察した.魚がのぼりやすい川づくり推進モデル事業(1991)以降,魚道が多数造られた1994年以降に砂防学会で発表された魚道関係の講演や論文を調べたところ,限定的な条件下での遡上実験によって効果を推定するものが大半であった.大ダムである小牧ダムの魚道は,魚を遡上させることは可能であったが,最終的に失敗に終わり,単に魚を遡上させること以外のさまざまな要素が関係していることが示唆された.現在の魚道技術の粋を集めて造られた長良川河口堰の魚道については,設置者側が魚道を遡上した魚の個体数などをもとに効果があるとしているものの,独自に魚道の効果や堰の影響を調査している研究者らはアユ,サツキマスなどの生態への堰の影響は大きいとし,魚道の効果に対し厳しい評価をしている.このように,従来の魚道の評価の多くは限定的な条件下での遡上実験によるなど,魚道の機能の一部を取り上げたものであり,これでは不十分である.本来そこに生息していた魚が,特別の保護手段なしに世代交代できる環境を保証するという理念に照らせば,魚の生活にどのような影響を与えているかという総合的な評価が必要である.実際的な調査として,個体群動態に基づいた手法を提案する.水系といったまとまった地域における魚の全体的な分布,季節的な分布・移動や年齢構成・性比などを把握することにより,ダムや魚道の影響を総合的に評価することができる.個体群生態学に基づいた調査の指針を開発すべきである.
  • 水野 信彦, 森 誠一
    2000 年3 巻2 号 p. 209-218
    発行日: 2000/12/21
    公開日: 2009/05/22
    ジャーナル フリー
  • 中村 俊六
    2000 年3 巻2 号 p. 219-224
    発行日: 2000/12/21
    公開日: 2009/05/22
    ジャーナル フリー
  • 和田 吉弘
    2000 年3 巻2 号 p. 225-230
    発行日: 2000/12/21
    公開日: 2009/05/22
    ジャーナル フリー
  • 端 憲二
    2000 年3 巻2 号 p. 231-234
    発行日: 2000/12/21
    公開日: 2009/05/22
    ジャーナル フリー
  • 森 誠一
    2000 年3 巻2 号 p. 235-241
    発行日: 2000/12/21
    公開日: 2009/05/22
    ジャーナル フリー
  • 森林および畑地河川の比較
    長坂 晶子, 中島 美由紀, 柳井 清治, 長坂 有
    2000 年3 巻2 号 p. 243-254
    発行日: 2000/12/21
    公開日: 2009/05/22
    ジャーナル フリー
    北海道南西部,貫気別川流域内の土地利用が異なる2つの小流域(森林河川:森林率98%,畑地河川:畑地率48%)において,河床砂礫構成の違いが底生動物の生息環境と個体数・出現分類群に与える影響について検討した.1998年6月から11月まで2河川の河床に底質サンプラーを設置し,1ヶ月ごとに回収して粒径階別砂礫重量を測定した.総採集砂礫量は,大雨出水の集中した期間のみ森林河川で多くなったが,それ以外の期間では畑地河川で多くなる傾向があり,特に粒径0.1~1mmの細砂量の割合が高くなった.また,畑地河川で採集された底生動物の個体数は,森林河川に比べ10~20%ときわめて少なかった.8月と11月の各採集地点の水深,流速,礫重量,粗砂重量,細砂重量,CPOM量,FPOM量を環境変量として,採集地点と分類群,環境変量との関係をCCAを用いて解析したところ,いずれの月も採集地点は河川ごとに明瞭に分かれ,畑地河川の採集地点は細砂量が最も説明力が強い環境変量であることが示された.また森林河川にのみ明らかに多く出現した分類群は,細砂以外の環境変量の卓越する位置にプロットされたのに対し,2河川で共通して多く採集された分類群は,細砂の卓越する位置にプロットされた.結果として,底質サンプラー内に形成された環境とそこで採集された底生動物は,各河川の生息環境と底生動物群集の特徴を反映したものであることが示唆された.
    今回調査対象とした畑地河川では,台地上の農地開発に起因するガリー状の斜面崩壊が非常に多いため,崩壊地から河道に供給された大量の土砂が河床れきの隙間を充填してはまり石状の底質を形成してきたと考えられる.河川生物の生息環境を改善するには,治山対策により崩壊地からの土砂生産防止を図るとともに,崩壊の発生そのものを予防するための措置として,営農方法の改善や土地利用規制など,土地利用に踏み込んだ対策が重要である。
  • 辻本 哲郎, 池内 幸司, 吉村 伸一, 角野 康郎, 森 誠一, 浅枝 隆
    2000 年3 巻2 号 p. 255-270
    発行日: 2000/12/21
    公開日: 2009/12/02
    ジャーナル フリー
  • 古里 栄一
    2000 年3 巻2 号 p. 271-272
    発行日: 2000/12/21
    公開日: 2009/05/22
    ジャーナル フリー
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