電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review
Online ISSN : 1882-0875
ISSN-L : 1882-0875
17 巻, 2 号
選択された号の論文の20件中1~20を表示しています
表紙
目次
ごあいさつ
技術の原点
幹事団提案
  • 小川 一人
    2023 年 17 巻 2 号 p. 108-115
    発行日: 2023/10/01
    公開日: 2023/10/01
    ジャーナル フリー

    今の世の中では必要不可欠となったセキュリティ技術だが,多くのPCユーザはこの技術のありがたさを知りつつも,PCの負荷が重くなるなどの理由で,セキュリティ技術によい印象をもっていない.PCの能力が向上するにつれ,既存のセキュリティ技術によるPCへの負荷は軽減される.しかし,問題はいわゆるサイバー攻撃の能力も向上することである.このため,新たなセキュリティ技術が導入され,結果としてセキュリティ技術によるPCへの負荷が軽減されたようには感じないのが実状である.セキュリティ技術に対するこの嫌悪感を少しでも払拭するためにはどのような技術を開発すればよいか.本稿では,この課題に対しどのように取り組まれているかを解説する.

解説論文
SIP研究会提案
  • ―構造制約を利用した畳込みネットワーク構築―
    村松 正吾
    2023 年 17 巻 2 号 p. 116-125
    発行日: 2023/10/01
    公開日: 2023/10/01
    ジャーナル フリー

    本稿では,高次元信号,特に画像データに対する効果的で系統的なデータ駆動型のスパースモデリング手法として畳込み辞書学習を概説する.計測技術の発展とともに多様かつ膨大なデータの取得が可能となった.同時に,信号の推定や予測の高性能化への要求が高まっている.高性能な信号の推定や予測の実現には,対象となるデータを効果的に表現できる生成モデルが必要である.本稿では,領域知識を反映しやすい信号生成モデルの一例として,フィルタバンク理論を適用した畳込み辞書の設計法について解説する.同理論を利用することで,Givens回転操作やシフト操作,バタフライ操作など複数の基本的な局所操作の組み合わせにより,ユニタリ性やフィルタカーネルの対称性などを保持する畳込みネットワークを構築できる.畳込み辞書学習と学習辞書による画像近似の例をとおして,同手法の有用性を示す.

WBS研究会提案
  • 落合 秀樹
    2023 年 17 巻 2 号 p. 126-135
    発行日: 2023/10/01
    公開日: 2023/10/01
    ジャーナル フリー

    持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向け,今後の高速無線通信システムにおいても,周波数効率と電力効率の双方の観点から優れたディジタル伝送方式の創出が求められる.一般に周波数効率の高いディジタル変調信号は,その瞬時電力が大きく変動する.しかし高いピーク電力をもつ信号を線形増幅する場合,増幅器の電力効率は著しく劣化する.よってこれらの間にはトレードオフの関係が存在する.本稿では,現在広く使用されている周波数効率の高いディジタル変調信号を対象に,その瞬時電力の解析手法について取り上げる.特に高次モーメントをその指標とすることで,瞬時電力変動が簡易に評価できることを示す.更にダウンリンク非直交マルチアクセス(NOMA)のように複数の変調信号が重畳される場合について,それらがガウス分布に近づく様子についても高次モーメントの観点から解析する.

NLP研究会提案
  • 藤坂 尚登
    2023 年 17 巻 2 号 p. 136-146
    発行日: 2023/10/01
    公開日: 2023/10/01
    ジャーナル フリー

    散逸のある古典波動系と分散のある量子系の確率的粒子モデルを紹介する.古典波動系の粒子モデルは,離散化された時空間において,位置についての確率密度関数の時間発展が古典波動の伝搬に等価となるように振るまう.エネルギー散逸がない古典波動系の粒子モデルを用いて,内部信号が単一電子や単一磁束量子により表現されるディジタルウエーブフィルタを構成できる.散逸のある古典波動系は減衰振動のある拡散系と見ることができ,粒子モデルは擬似乱数列の並列生成器としても応用可能である.モデルのパラメータを変化させることにより,粒子の運動である擬似乱数列の自己相関を正にも負にも設定することができる.一方の量子系はシュレーディンガー方程式またはパウリ方程式により記述される非相対論的系とする.量子波動のモデルとなる粒子の確率密度関数の時間発展は統計的にこれらの波動方程式に等価なフォッカープランク方程式により記述される.この方程式から同じ移流項と拡散係数をもつランジュバン方程式を得る.偏微分方程式である波動方程式でなく,常微分方程式であるランジュバン方程式によりモデル粒子を記述できるので,このモデル化は,例えば,量子力学的デバイスの回路シミュレータモデル作成の理論的基盤を与えることができる.

SIS研究会提案
  • 鈴木 貴大, 金 相燁, 可児 淳一, 吉田 智暁
    2023 年 17 巻 2 号 p. 147-156
    発行日: 2023/10/01
    公開日: 2023/10/01
    ジャーナル フリー

    光アクセスネットワークでは,様々な高度なアプリケーションの登場による要件の多様化により,従来の専用装置から汎用ハードウェアを使用した構成への変革が進んでいる.SDN (Software-Defined Network) やNFV (Network Function Virtualization) をアクセスシステムに適用することで,多様なアクセスシステムを抽象化し,汎用ハードウェア上のソフトウェアで共通的に制御できる仮想化アクセスプラットホームのSEBA (SDN-Enabled Broadband Access) が一部の海外キャリヤで商用導入されている.更に将来的な姿としては,システムのソフトウェア領域を拡大することで,汎用ハードウェア上のリソースをより低レイヤのアプリケーションとエッジアプリケーションが共有するアーキテクチャも考えられている.本稿では,光アクセスネットワークの仮想化,NFV/SDN技術の標準化動向,OSS (Open Source Software) の開発状況やソフトウェア化領域の拡大のための研究動向に触れた後に,それぞれを実現するための技術の詳細について解説する.

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